〜国際交流は「地域づくり・未来づくり」の基盤の1つ〜

財団法人愛知県国際交流協会 交流共生課課長
栗木 梨衣さん

財団法人愛知県国際交流協会(以下AIA:(エーアイエー))にはH14年4月よりJICA愛知デスクを配置させていただき、私で3代目となる国際協力推進員が勤務しています。2005年の愛知万博では愛・地球博ボランティアセンター職員として活躍された経験もある栗木課長にAIAの事業や愛知県の国際化の現状についてお話を伺います。
(聞き手:JICA愛知デスク国際協力推進員 佐藤江梨子)

普段お世話になっている栗木課長に改めてインタビューするのは緊張しますが、どうぞよろしくお願いします。

いえいえ、こちらこそ緊張しますが、よろしくお願いします。

愛知県の国際化に大きく影響したのは、やはり2005年に開催された「愛知万博」という印象が強いですが栗木さんは当時、愛・地球博ボランテァイアセンターではどのような仕事をされていたのですか?

 ボランティアセンターでは、会期前は、国際・研修グループで外国からの来場者へのおもてなしの企画と、ボランティアやボランティアリーダーへの研修の企画・実施を、会期中は、西ボランティアセンターでボランティアと博覧会協会とをつなぐコーディネーター的な役割を担っていました。
 外国からの来場者へのおもてなしについては、AIAの仕事とかなり共通するところがあり、どちらかと言えばその延長として取り組めたのですが、研修に関しては、3万人対象という今まで経験したことのない大規模なもので、しかも国際だけではなく、福祉、環境といった多様な分野の方たちが参加していたので、ものすごくいい経験になりました。

愛知県では万博をきかっけに各市町村と万博に参加した120カ国がフレンドシップ交流国としてパートナーを組み様々な国際交流事業が行われていましたね。

 そうですね。万博が始まる前に、参加国関係者と市町村関係者とのマッチングパーティがあったのですが、そのころはまだお互いによくわからない…というかチグハグな雰囲気がありました。万博を通して交流を図りたいと考えている日本側と、万博はビジネスチャンスと考えている参加国側では、何となくかみあわないというか…。でも、万博が始まり、そして終了した今ふりかえってみると、フレンドシップ事業はとてもいい成果を生みだしたと思います。市民主体で「おもてなし」をしたことによって、今でも市民主体の国際交流が継続しているところがたくさんありますし、そうじゃなくてもその地域の人たちにとって、フレンドシップパートナー国は「特別な国」になったと思います。そんな「特別な国」が愛知県に120カ国もあるなんて、ステキな感じがしませんか?

ほんとステキです。私たちの住む愛知県が120カ国もの国とつながりがあるなんてなんだか嬉しいですね。万博が終わった後の地域の様子はいかがでしたか?また、その後の取り組みなどあれば教えてください。

 万博終了直後は「これから何を楽しみに生活していけばいいんだろう?」ぐらい地域では万博に力が入っていたのですが、あの万博は、国際交流の楽しさ、大切さが再認識されたと同時に、地球規模の課題について多くの方たちに知ってもらえたことなどとても有意義だったと思います。今でも、様々な場面で「万博効果かな」と思えることがあります。
 AIAとしては、万博の成果を形として残したいという想いで、市町村、国際理解教育NGOと協働で、フレンドシップ国際理解教育教材の作成に取り組んでいます。万博参加国120カ国をテーマに、子どもたちに地域のこと、地球のことを知って考えてもらうプログラムを掲載した参加型教材です。

フレンドシップ国際理解教育教材づくりではJICAも青年海外協力隊のOB/OGを中心に途上国での経験お伝えする形で関わらせていただいていますね。教材は「へぇ〜!」とか「そうなんだ!」といろんな国を身近に感じながら楽しく学ぶことができ地域のことから地球のことまで考えられるのでJICAの開発教育/国際理解教育関連のセミナーやイベントでも活用させていただいています!

 

愛知県ではAIAやJICA、地域の関係団体が一緒になって国際交流や国際協力に関するイベント、セミナーを実施していますが栗木さんがこうした協働事業を通じて感じることについて教えてください。

 「協働」はとても大変ですが、ものすごく大きな力になると思います。今までいろいろな形でいろいろな人たちと協働してきましたが、協働しなければよかったと思ったことは一度もありません。そのプロセスにおいては、なかなか理解し合えなかったり、思い通りに進んでいかなかったり、時間がかかったり…といろいろ大変ですが、そこをじっくり取り組めば取り組むほど、ある日突然、スムーズに進みだし、事業もいいものに…。この達成感は、忘れられませんよネ。この地域は関係者がとても仲良く、ワールド・コラボ・フェスタや国際理解教育セミナーをはじめ、いろいろな場面で協働事業が進んでいるので、すごく楽しいです

私たちも「協働事業」を通じて地域の関係団体とのつながりができることで、自分たちの事業だけでは見えない地域の状況や関係団体の取り組みなどについて理解を深めるきっかけになっていると感じます。

 

国際交流の持つ可能性について栗木さんの思いをお聞かせください。

 AIAで仕事をしていると、「なぜ国際交流をするのか?」という疑問によくぶつかります。最近は特に「多文化共生」が重要になっていることもあって、「国際交流は時代遅れ」的な発言も聞かれたりして残念だなと思うのですが、私自身は「国際交流」をとても広くとらえています。国際交流を通して気づいたこと、学んだことは、自分自身の生活や地域をふりかえることにつながります。そうやってみんなが主体的に地域に関わっていけば、自然に「多文化共生社会」が実現できるのではないかな…と。「外国人と仲良くなること」だけが「国際交流」ではなく、国際交流は「地域づくり・未来づくり」の基盤の1つと思うのです。
 同時に最近は、「外国人と仲良くなること」もすごく重要なことだと思っています。フレンドシップ国際理解教育教材で「ボスニア内戦」を取り上げたのですが、その中でとても印象的な言葉がありました。ボスニアでは昨日まで仲良くしていた友人、あるいは家族がある日突然殺し合ってしまっただけでなく、終戦後もわだかまりや憎しみの感情が残り、和平合意から10年以上経った今でも人々の心が癒されていない状況だそうです。その状況を解決しようと様々な取り組みが行われているのですが、その1つに憎しみ合う民族の人たちが一緒に野菜を育てる「コミュニティ・ガーデン・プロジェクト」というのがあります。そのプロジェクトで、自分と異なる民族の少女ナダと大の仲良しになったエミナが、「もう二度と戦争が起きないためにはどうすればいいと思う?」と尋ねられた時の答えが「ナダと戦うなんて考えられない。みんな友達になればいいんだよ!」目からウロコというか、国際交流の原点を思い出したというか、私にとってはすごく説得力のある言葉でした。「国際交流」は時代遅れではなく、こんな時代だからこそ、とても大切なのではないかと思います。

JICA中部への期待や今後の抱負を教えてください。

 現在取り組んでいるフレンドシップ国際理解教育教材は、来年度120カ国すべてが完成する予定なので、その教材を活用していろいろな事業を展開していきたいですネ。教材作成にあたっては、青年海外協力隊OB/OGの皆さんにご協力いただいたのですが、活用についても一緒に何かできるといいなと思っていますので、その時にはよろしくお願いします。

こちらこそ、その時は宜しくお願いします。私自身も含めJICAボランティアが帰国後各国での経験をこうして地域に伝えることもJICAボランティア経験者として大切な活動の一つだとおもっています。本日はお忙しい中どうもありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!!


※1ワールド・コラボ・フェスタ
毎年10月に開催される国際交流・国際協力フェスティバル。AIA、JICA中部
名古屋国際センター、名古屋NGOセンター、名古屋国際交流団体協議会が協働で実施。
※2国際理解教育セミナーinなごや
毎年1回開催する国際理解教育の参加型ワークショップセミナー。
AIA、名古屋国際センター、名古屋NGOセンター、NIED・国際理解教育センター、JICA中部が協働で実施。

関連リンク
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万博でのボランティア活動

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万博のボランティア研修の様子

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教材づくり研修の様子 参加型で教材を作りあげていく

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教材づくり研修に参加する栗木課長

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国際理解教育教材「わたしたちの地球と未来」