創立20周年!多文化で豊かなまちづくりのコーディネーターとして

【画像】筒井 美幸(つつい みゆき)さん

財団法人三重県国際交流財団(MIEF)企画・総務課長 三重県四日市市出身
筒井 美幸(つつい みゆき)さん

 今回は、MIEFの企画・総務課長であり、青年海外協力隊OGでもある筒井美幸さんに、三重県の国際化についての思いを伺いました。
(聞き手:JICA三重県デスク 三輪田 貴)

MIEFの主な業務について教えてください。

 MIEFでは、「多文化共生の推進」、「国際交流の推進」、「国際協力の拡充」、を業務の3本柱にしています。県内各地域でこれらの活動に取り組むNPOや市民団体などの情報を広く集め発信するとともに、多様な主体が多文化共生推進に積極的に関わってもらえるよう、事業のコーディネートをすることを通じて、県域レベルで国際化を推進することが私たちの主な仕事です。
私たちの事業展開のキーワードは「連携・協働」です。少ない職員で県域レベルの国際化に貢献するには、多様な主体との連携・協働が欠かせません。協働事業を通じて地域でも関心を持つ人が増え、新しい活動につながることも期待しています。
 連携・協働の具体事例のひとつとして、外国人住民支援のための「財団パートナー制度」があります。通訳・翻訳、日本語、医療、災害の各パートナー制度があり、たとえば、通訳・翻訳パートナーであれば、すぐれた外国語・日本語能力をお持ちの方を募集し、通訳・翻訳を必要としている団体などに紹介をするという制度です。日本語、医療、災害の各パートナーは、募集だけでなく、スキルアップ研修を通じた育成にも取り組んでいます。
 MIEFの発行する日本語学習教材「みえこさんのにほんご」シリーズも、県教育委員会や三重大学などとの協働で制作したもので、学校を中心に高い評価をいただいています。日本語学習支援に関する書籍、資料などはデータベース化し、ホームページにも掲載しています。

現在のお仕事に就かれたきっかけを教えてください。

もともとは幼稚園教諭、保育士として働いていたのですが、たまたま青年海外協力隊の募集要項を見つけ、幼児教育という職種でも参加できると知り、興味を持ちました。英語への苦手意識があり、「無理かな」とも思いましたが、相談をしたJICA職員の方から「派遣国が英語とは限らないし、幼児教育のキャリアもあるのだから受験してみたら」と勧められ、受験しました。受験せずに後から後悔するより、受験してダメならあきらめようと思ったのです、かなりポジティブ思考でしたね。
 幼稚園教諭隊員としてドミニカ共和国に派遣され、帰国後は、今までの経験が活かせて地域に貢献できる仕事を探していました。縁あって、JICA中部で1年間、協力隊の募集広報などの業務に携わりました。それがきっかけで、県職員やMIEFの方ともつながりができ、職員採用試験を受験しました。この時も「まずは受けてみよう」という気持ちが強かったです。
 今でこそ、三重県は外国人の数も多く、仕事柄常に外国人に関わっていますが、保育士の頃は、外国人と関わる仕事をすることになるとは想像もしていなかったですね。

現在のお仕事のやりがい、難しさについてお聞かせください。

 難しいことはたくさんあります。しかし、それがやりがいにつながっていますね。
今、地域は外国人労働者なしには社会が成り立たなくなっていると思うのですが、外国人労働者、その家族が安心して暮らすためには、本人の努力だけでなく、様々なサポートが必要となってきます。
支援をする、受けるという中で大きな壁になっているのが、異文化、多文化な人を受け入れる、という視点ではないかと思います。
たとえば、日本では「事前に備える」という考え方があると思いますが、この地域に多く暮らす中南米の方には「備え」の考え方はあまりありません。何かあったらその時に考える、訴えるというのが基本的な考え方だと思いますが、それだけでも大きな差です。
一番いいのは双方歩み寄ることですが、一度出来上がった思考回路や意識を変えるのは簡単ではありません。放っておいたらなんとかなるわけではなく、お互いが歩み寄るきっかけを日常的に作っていくことが大切で、様々な機会を通じて働きかけるしかないと思っています。
その切り口はたくさんあって、役所のすべての部署に私たちが関与する余地があります。この仕事は、ルールやレールがあるわけではなく、創り上げていかなければならないものです。試行錯誤しながら道を開いていくのは、その時々で苦しくなることもありますが、それを超えた時にはお互い笑顔で話ができると信じていますので。

協力隊の経験は、お仕事のどのようなところで活かされていますか?

 先ほど異文化、多文化を受け入れる、ということが大きな壁、と言いましたが、それを協力隊の活動の中で経験し、乗り越えたということが一番大きいですね。協力隊を経験して、外国人の方々が置かれている状況がわかり、日本にいる人たちの気持ちがよくわかるようになりました。心が広くなったのかもしれません。
MIEFの仕事は、地域全体で異文化・多文化を尊重したまちづくりに貢献することですから、協力隊でその壁を乗り越えるプロセスを経験できたことは、今の仕事を進めていく上で大きな力になっていると思っています。

三重県にも多くの協力隊OBがいますが、ボランティア経験の社会還元という点からもMIEFの事業に関わる余地がありそうですね。

 そうですね。私も経験しているように、協力隊経験者は、それぞれが赴任国で、「外国人」となり、異文化を受け入れるという経験をされてきています。これは、海外で生活したことのない人にはない武器だと思います。たとえば、私どもが育成している災害時外国人サポーターは、災害時における外国人住民支援活動を行うボランティアですが、ただの通訳ではなく、外国人住民の心の支えになってもらうことにも大きな期待が寄せられています。心の支えになるためには、外国人住民のバックグラウンドを知り、気持ちを受け止めることが大切ですが、「外国人」としての経験を持ち、異文化を肌で感じた協力隊経験者にはその素養があると思うのです。このような事業に協力隊経験者が、もっと多く関わっていただきたいですね。

MIEFは今年設立20周年を迎え、記念イベントも開催されるそうですが概要を教えてください。

 JICAも関わっている、なんとかしなきゃ!プロジェクト実行委員会に後援を頂いて、なんとかしなきゃ!プロジェクト著名人メンバーである、紺野美沙子さんに講演をしていただくことになっています。講演では、「UNDP親善大使として見たこと、感じたこと」というテーマでお話しをいただきます。
講演の後には、記念交流会を行い、これまでお世話になった方々に感謝の気持ちをお伝えするとともに、留学生のみなさんによる民族音楽・舞踊などを楽しんでいただきながら、これからもご支援いただけるようお願いすることとしています。

JICA三重デスクでも、なんとかしなきゃ!プロジェクトの紹介ブースの設置などをさせていただく予定です。2011年4月にMIEFは、公益財団法人化される予定とお聞きしておりますが、今後の展望についてお聞かせください。

 公益財団法人になっても、今までどおり、多様な人々と共に創る多文化を尊重できる社会の実現に向けた取り組みをすすめていきます。そのためには、地域のみなさまに信頼され、期待される財団となることが必要で、職員は各担当業務を通じて地域との関係づくりを地道にすすめていかなければならないと考えています。
 また、地域で必要とされるサービスは何か、ということを常に意識し、それを事業としてコーディネートできる能力が身に付くよう、日々の業務を通じて学んでほしいと思っています。職員一人ひとりが自分の能力を高めるとともに公益性、効率性、コスト意識を持ちながら事業運営することで、県民のみなさまをはじめ地方公共団体や企業のみなさまから「外国人住民に関することはMIEFに相談しよう」という流れを創っていけるよう、“オール財団”で取り組んでいきたいと思います。

ありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにさせて頂きます。


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「地域の国際化セミナー」で司会を務める筒井さん。

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ドミニカ共和国で幼稚園教諭隊員として活動されていた当時の筒井さん。

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通訳・翻訳パートナー交流会の様子。

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MIEF発行の日本語学習教材「みえこさんのにほんご」シリーズ

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外国人住民を対象とした防災セミナーの様子。