静岡県の共生力を地域のパワーへつなげるために

【画像】加山勤子(かやま いそこ)さん

財団法人静岡県国際交流協会 総務課長
加山勤子(かやま いそこ)さん

財団法人静岡県国際交流協会の総務課長として活躍されている加山さんにお話をお伺いします。
(聞き手:静岡県国際協力推進員 鈴木知恵)

現在のお仕事を選んだきっかけは何ですか。

 以前、化粧品会社の海外事業部に所属していました。アジアが主なお客様だったのですが、輸出業務や商品説明の翻訳、販売員さんを対象とした研修などに携わっていました。シンガポールやマレーシア、台湾等との取引がありましたが、商品の成分規制や販売法など仕事において、また、販売員さんとのやりとりなど日常生活においても、言葉だけではなく、様々な異文化による違いがあり、興味深く楽しくもありましたが、反面、とまどいも大きかったように思います。ビジネスなどでの場面では、文化や習慣、常識の違いから、大きな問題に発展することも少なくはありませんでした。
 結婚を機に退職し、次の仕事も前職の経験を生かせればと希望していたところ、静岡県国際交流協会の求人に応募して、勤めることになりました。

静岡県国際交流協会(SIR)で取り組んでいることについて教えてください。

 多文化共生情報ネットワークや、国際理解教育事業などに長く関わっています。ネットワーク事業では、県内にある32の市町国際交流協会や行政、NPO団体等、多文化共生に関わっている関係者を対象とした連絡会の開催や、外国籍住民相談員や通訳を対象とした研修会等を実施しています。
 外国籍住民の支援においては、必要な情報を、必要な時に届けることが、今まで以上に重要になってくると思います。3月に起きた東日本大震災では、情報・コミュニケーション弱者であることの悲劇を目の当たりにし、情報提供の大切さを、改めて感じました。
 外国籍住民への情報発信として、生活ガイドの発行や、ホームページ上で多言語情報を掲載し、皆様に利用していただいています。現在は、相談員さんとチームを組み、母国と日本との制度や習慣の違いなどを踏まえた情報伝達について、検討しています。今年度中には、当協会のホームページ上で、今までのような日本人からの一方的な情報とは違う形で、情報を提供する予定です。外国籍住民の方が、このサイトを見れば参考になる、興味深いと思ってもらえるようなものを目指しています。
 緊急時の対応は、平時からの延長にあるということを念頭に、外国籍住民支援・共生を進めている関係団体、関係者と共に、今後も事業進めたいと思っています。

国際理解教育セミナー「アース(明日)カレッジ」が5年目を迎えたそうですね。

 もう一つの柱として、当協会では、地域に関わる様々な組織や個人とともに話し合いながら考え、多様性を認め、相互理解の進んだ理想的な社会づくりにつなげることを目的とし、国際理解教育事業に取り組んでいます。
 JICA静岡県デスクと連携し、1年に1度、国際理解教育セミナー「アース(明日)カレッジ」を開催しています。このセミナーは、興味がある県民をはじめ、東京や名古屋からも楽しみにして来てくれる方々が一同に会し、国際理解教育について、じっくり考える日として設けている日です。国際協力・異文化理解・多文化共生などのテーマを元に、参加型ワークショップを体験し、興味を持つきっかけとなり、参加してくれた方たちが、今後の行動や活動につながることを期待して実施しているものです。
 講師は、青年海外協力隊や転勤などによる海外での活動や生活から、また、静岡県に住んでいる留学生や外国籍住民が、それぞれの体験や思いを乗せ、様々なプログラムを紹介しています。国際交流や国際協力は、外国語が話せる人、国際経験がある人など一部の人たちが活動する場だと思われがちですが、アース(明日)カレッジは、多様な人が集まれば集まるほど、気付きも楽しさも膨らみます。同じ環境や社会にいても、多様な考えがあるのです。遠い国の方と意外にわかりあえたりすることや、また、ずっと思っていた常識があっさりくつがえされたりすることも多くあります。

今年度も開催されるそうですが、昨年とは異なる形式だと伺っています。詳しく教えてください。

 今年度は、静岡市や三島市などで毎年開かれている馴染みのある国際交流フェスティバルやフェアなどの中で、講座を紹介することになりました。異文化交流から一歩踏み出し、共生への手がかりになればと実施するものです。
 1つのプログラムを作りあげるために、講師の方たちは、何回も集まり、参加者が楽しく、そして気づきを得ることが出来るよう工夫を凝らし、多くの時間を費やします。
 今年は、やはり震災があったので、絆という言葉をみなさんに伝えたいという強い思いがありました。〜国際都市SHIZUOKAで、もし大震災が起きたら〜と題して、本当に大切なものは何かを、みんなで考えました。参加者は、世代・国を超えて、一緒に作業したことに地域社会の縮図を感じ、真剣にワークショップに取り組んでくれました。講師の思いは参加者へ届き、この大きな課題を解決するきっかけとなっていることを実感できたことが、本当に嬉しかったです。是非皆さんも一度静岡でワークショップを受けてみませんか。

今後の展望について教えてください。

 急激な社会情勢に伴い、国境を越えた人の行き来はますます活発になることから、国際交流、国際協力の取り組みは、今後も重要となってくると思います。
 日常生活では世界とのつながりが多くあるにも関わらず、共生や理解への一歩を踏み出している人は少ないように思います。
 外国籍児童が多く集住している学校を見ると、あたりまえのように多文化共生が進み、子供たちの多様性に対応する力に、大変驚かされます。グローバル化が進む中、今後最も必要とされる力が自然に身についているのです。
 外国籍住民の支援、共生が、実は私たちにとって今後身につけなければならない重要なパワーであることに気づき、一人でも多くの方が、積極的に様々な事業に関わっていただけるよう、事業を展開していきたいと考えています。

● 素晴らしいお話ありがとうございました!隣にJICA静岡県デスクを置かせていただき、加山さんとお仕事をご一緒できることを大変嬉しく思っております。今後ともどうぞ宜しくお願い致します!

 

【画像】

国際理解教育 担い手育成講座にて

【画像】

22年度アース(明日)カレッジ全体会 世界のつながりを、体感するワークショップ

【画像】

23年度開催 アース(明日)カレッジ in しずおかにて子供を対象としたワークショップ

【画像】

外国籍住民支援事業 外国人を対象とした防災セミナー