「国際理解教育」は健やかな今とよりよい未来を拓く鍵!

【画像】伊沢令子(いざわ れいこ)さん

NPO法人NIED・国際理解教育センター 代表理事 ファシリテーター
伊沢令子(いざわ れいこ)さん

NIED・国際理解教育センターは、JICA中部と協働して開発教育・国際理解教育指導者研修(実践編)ならびに教師海外研修を実施し、中部地域における国際理解教育のためのセミナーやイベントにおいても中心的な存在となっています。

今回は、今月5日にJICA中部で開催される開発教育・国際理解教育の「実践報告フォーラム」のご準備に忙しい代表の伊沢さんにお話しをうかがいます。
(聞き手:市民参加協力課 鍋島光博)

こんにちは。特定非営利活動法人NIED・国際理解教育センターの伊沢令子です。名古屋で生まれ、小学校低学年をアメリカで過ごし、小・中・高と名古屋、大学は京都、卒業後は名古屋に戻り英語関係の職に数年関わり、子どもの小学校入学を機に再度の社会復帰をと思案中に出会った「国際理解教育」にはまり、今に至ります。

その本職以外、もう一つライフワークだと感じている仕事に大学の非常勤講師があります。中京大学(現代社会学部と国際英語学部)で「国際理解教育論」を担当させていただくようになって、今年で12年目となり、愛知学院大学の「コミュニケーション論」は今年で4年目です。

【現在のお仕事を選ばれるきっかけは何だったのでしょう?】

子どもたちが幼稚園を卒園するのを機に、何かライフワークとなる仕事を見つけたいと思案中に出会ったのが「国際理解教育」です。子どもたちを通して見る日本社会はなんだかとても「いびつ」で、大人にとっても子どもにとっても生きにくい社会だと感じていました。何がそうさせているのか?どうすればもっと一人ひとりの良さが活かされ、誰もが生きやすい社会になるのか?その問いに答えるような仕事はないものか、と考えていたとき「国際理解教育」に出会いました。今から18年前のことです。

「一人ひとりが個別に持つ持ち味と能力を最大限に活かし、自分自身や自身の生きるコミュニティ(地域・地球)に心を込めて手を入れる力を養う」という国際理解教育の理念と「自分をふりかえり他者から学ぶ」「気づきから行動へ」という参加型の謳い文句には新鮮な驚きを覚えました。「この教育は、私が今感じている社会のいびつさや人々の生きにくさを変えて行く鍵になる!」というその時の直感は、今も色あせません。

【国際理解教育とファシリテーターというお仕事について簡単にご紹介頂けますか?】

『人権、環境、開発、共生、平和など人類共通の課題を理解し、課題を解決しながら、よりよい未来を共に築く「力」を育む教育』これが国際理解教育です。人や世界と肯定的に出会い、多様性を受容しつつ、よりよい共通の未来をさぐり、ビジョン達成のための可能性を様々に追求し、他者と共に具体的に動くようになる。このプロセスを「情報・知識」「気づき」「スキルトレーニング」を交えながら、参加型で提供する教育です。

安心感の持てる肯定的な出会いと場を用意し、参加者それぞれが持つ経験や知恵を引き出し、互いから豊かに学び、そこから新しい発見や合意を見いだすことを「参加型」で支えるのがファシリテーター(活性化させる人・引き出す人)の役割です。教育ファシリテーター、開発ファシリテーター、まちづくりファシリテーター、会議ファシリテーター…。ワークショップ、体験学習、ワールド・カフェ、AOH、コンセンサス会議、フューチャー・サーチ、PRA…。今や20年前とは比べものにならないくらい「ファシリテーター」「参加型」という言葉は溢れ、その役割も手法も、大きな可能性を持つ重要なものとして認知されてきたことは嬉しいことです。

【お仕事をされていて難しいと感じたこと、嬉しかった事について教えて頂けますか。】

難しいことは、提供するワークショップのねらいと参加者のニーズの接点を早めに見極めること。参加者の期待を満たしながら、ワークショップのねらいも達成するためには、予定調和や落としどころを持つ安心感の罠にはまらず、そのつど「ねらい・参加者の意識の流れ・参加者のニーズ」に即したプログラムに変えていく「柔軟性」や、ある程度の「経験知」が必要だという点です。

嬉しいことは、参加者の効力感や自己肯定感の高まりに、私も貢献できたと思う時。時間と思いと空間を共有した人々が、志を同じくするテーマ・コミュニティの仲間として、ゆるやかにつながっていることが感じられた時。参加者の考える力、発見する力、共に創り出す力に、こちらが励まされる時。点が線でつながり、線が面となり、面が立体へと立ち上がっていくような…、真っ白だった紙に、無尽の形が次々に現れ、広がり、鮮やかに彩られていくような… 参加者のエネルギーは私のエネルギーとなります。

【中部地域に限らず国際理解教育のセミナー等で多くの参加者を集められていますが、中部地域における国際理解教育の理解度・浸透度についてはどのようにお考えですか?】

この地域の多様なセクターとの協働で11年続く「国際理解教育セミナーinなごや」。JICA中部とNIEDの協働で10年続く「開発教育指導者研修」。愛知県国際交流協会の事業で、県内市町村の国際交流担当職員と共に作る「国際理解教育教材」作りは、執筆を続けて5年になります。

参加した人から人へと伝え続けられ、参加者が次の提供者になる好循環も上手く回り「国際理解教育」や「参加型」に関心を持って情報にアクセスする人はもちろんのこと、教育現場で、まちづくりの場で、市民活動の場で、多様な年齢層の担い手が確実に増えていると感じます。

【今後、国際理解教育の発展・拡大にはどのようなことが必要なのでしょうか?】

関心はあってもなかなか教材を探したり、準備したりする時間を確保することが難しい忙しい教員のためのモデル・プログラムや、学校をあげての研修や(愛知県はユネスコ・スクールを増やしていく方針を出しましたね)、「参加型」を実践するための外部からのサポート機能が充実するといいと考えます。

そのサポートを誰がするのか?ということと、学校現場に留まらず、教育ファシリテーターの質的向上の機会をどう確保していくのかは課題です。

しかし「参加の文化を広げる」ための1つのキーワードは「地産地消」(言い換えると、自立と循環と共生)と「ネットワーク」だと考えます。関心を持ち学んだ人々が、自分たちのテーマ・コミュニティで参加型や国際理解教育を実践推進し、それらのコミュニティがゆるやかにつながりながら更に学び続ける(=小回りのきく小さな円がいくつもできて、それらが所々重なりながら繋がり広がっていく)。これは、今、JICA中部とNIEDが協働してやり始めていることだと思います。広がるといいですね。

【毎年多くの開発教育・国際理解教育関係者を集める実践報告フォーラムの開催が近いですが、意気込みについて一言。】

ご紹介の通り、今年も2月5日(日)に「JICA中部主催 開発教育・国際理解教育実践報告フォーラム2012」が開催されます。これまでの10年間、JICA中部—NIED協働で、改善を続けてきた「開発教育・国際理解教育指導者研修(教師海外研修含む)」の実践報告会です。1年間の研修成果として、個人の実践報告は「ポスターセッション形式」で、研修全体の実践報告はテーマ毎の「ワークショップ形式」で、教師海外研修報告は、研修先であるバングラデシュとブラジルに分かれ、それぞれアトラクティブに報告いたします。

「ヒントが見つかる!仲間に出会える!」というのが、この実践報告の謳い文句です。50名の研修参加者と100名を越える一般の参加者が集う、にぎやかで楽しい参加型報告会です。是非、ご参加下さい!

ありがとうございました。 今後もご活躍を楽しみにしています。

 

関連リンク
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ワークショップは人々のアイデアの結合と発展

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中部地域での協働でまとめられた教材例

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指導者研修の様子

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フォーラムでの実践報告