ドミニカ共和国のサムライと「交剣知愛!」

【写真】 守屋 信郎(もりや のぶお)さん 静岡県伊豆の国市在住平成24年度第2次隊(9月) ドミニカ共和国派遣予定
守屋 信郎(もりや のぶお)さん 静岡県伊豆の国市在住

【画像】今回は、この9月に剣道隊員としてドミニカ共和国へ派遣された元高校教員の守屋信郎さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA静岡デスク武馬千恵)

守屋さんがシニア海外ボランティアに応募された経緯を教えてください。

ドミニカ剣士と共に

これまで何人かの外国人剣士と剣を交え、現代の日本から失われつつある日本の良さを追及する外国人の真摯な姿勢に感銘と刺激を受けていたこともあり、高校英語教員退職時に新たな目標として、シニア海外ボランテイアによる剣道交流を考えました。家族の了解を取り付け、昨年春にセルビア派遣に挑戦しましたが、スキルや発展途上国に対する認識不足なのでしょう。残念ながら合格には至りませんでした。

現地に届けた剣道用具

このままでは終われない…と一念発起し、健康管理はもとより剣道についても研究を重ねました。さらに昨年8月には県立高校英語教員兼剣道部顧問として30年来の知人であり、ドミニカ共和国で剣道隊員として活動中の福嶋克尚氏の協力を得て、ドミニカ国サントドミンゴの3道場を訪問し、発展途上国の現状を把握したうえで秋の選考に臨みました。当時、福嶋氏は赴任して10ヶ月でしたので、まさか同国から剣道指導の派遣要請があるとは思ってもみませんでしたが、おそらく前述の現地訪問が事情に精通しているという評価を得られたのでしょう、合格することが出来ました。

選考合格後、静岡からドミニカ共和国へ物資支援を行われたとお聞きしましたが、詳しく教えて頂けますか?

ドミニカ共和国国旗

退職後、再任用教員として勤務した沼津商業高校はいわゆる剣道の古豪で多数の優れた剣士を輩出してきましたが、昨今の若者の武道離れにより、10年ほど前から剣道部は廃部状態となり、使われなくなった剣道用品が道場に山積みの状態でした。これらを活用して、赴任地であるドミニカ共和国の剣道を発展させることができればと思い、高校や剣道部OBをはじめ、生徒会およびインターアクト部(ボランティア部)の生徒たちや、ドミニカ共和国JICA事務所、現派遣隊員の福嶋氏など多くの協力を得て寄贈させていただきました。

さていよいよシニア海外ボランティアとしてドミニカ共和国へ派遣されます。抱負を教えてください。

剣道用品の梱包を手伝ってくれた生徒会役員

公用語であるスペイン語の習得も現地訪問をきっかけに開始し、任務に支障がないようさらに実力を磨いています。

福嶋氏(左)守屋氏(右)

ドミニカ共和国ではサント・ドミンゴ自治大学(UASD大学)の授業を含めると3桁近い人たちが剣道を楽しんでいますが、福嶋氏からの報告によると国際試合であるメキシコ大会ですら各選手が現地集合で参加したといいます。剣道人口は少なくないといってもドミニカ共和国剣道連盟が組織として脆弱であることを示す一例でしょう。

プンタカナから望むカリブ海

また現地は治安の悪さもあり、夕方からの稽古に子供が参加しにくいという現状があります。日本の各道場では、夕方の比較的早い時間帯に大人が子供の稽古をつけ、終了後大人同士で稽古をするという形態が常識となっており、これにより円滑な世代交代が行われています。この7月には五百年の伝統を持つUASD大学に、ラテンアメリカ一帯に誇れるほど立派な新道場が完成したので、ここを拠点に与えられた2年間で可能な限り指導システムの強化を図るとともに、福嶋氏の後をしっかり引き継ぎ、今回寄贈した剣道用品を活用してJICAの援助なきあとも彼らが自ら剣道を楽しめるよう、また剣道人口を少しでも増やしていけるようお手伝いできればと願っています。

ありがとうございました。遠く離れたドミニカの地で稽古の声が響き渡り、国際大会で多くの選手が上位に入賞されるのを楽しみにしています。