「国際協力とは−協力隊経験を経て−」

【写真】藤田 裕子(ふじた ひろこ)さん 愛知県刈谷市在住22年度1次隊・エクアドル・看護師
藤田 裕子(ふじた ひろこ)さん 愛知県刈谷市在住

JICAボランティア平成25年度春募集が4月1日からスタートします。今回はエクアドルの山岳地域で看護師として巡回診療の任につかれ、昨年6月に帰国なされた青年海外協力隊OGの藤田裕子さんに、応募動機や活動内容、今後の展望についてお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課 鍋島)

自然環境の厳しい人里離れた地域での活動、お疲れさまでした。ご帰国後、日本の生活には慣れましたか。

協力隊の任期を終え日本に帰国して、早いもので8ヵ月という時間が流れました。生活のリズムや便利さにはすぐに慣れます。でも物事の捉え方や考え方が派遣前後で思った以上に変わっており、自分自身に戸惑うことも多い8ヵ月でした。

藤田さんがボランティア活動に関わるきっかけはどのようなものでしたか。

現地の子どもたちと

中学生のとき図書館で偶然手に取った本の中で紹介されていた保健師さんの記事を読み、青年海外協力隊という名前を初めて目にしました。こんな素敵な仕事があるのだという衝撃と同時に、自分には叶えることのできない夢のような話だと感じたのを覚えています。
その後、人と関わり役立てる仕事をしたいと思い、看護師として総合病院の母子周産期集中治療室・分娩室と消化器内科病棟に勤務しました。命の誕生に限らず、命をお看取りすることもあり、たくさんの方の人生の大事な瞬間に立ち会わせていただきました。生や死についての考え方や受け止め方について考えることも多く、5年間の勤務経験を活かし、自分がより必要とされるところで働きたいという思いから、協力隊への応募に踏み切りました。
しかし学生のころタイへボランティアで訪れたこと以外、これまで国際協力に関わった経験は全くなく、国際協力とは、「支援する側」が「支援される側」に単に支援を提供するものだと考えていました。

エクアドルの任地では予防医療というお仕事に取り組まれていたと伺いましたが、どのような活動をなされていたのでしょう。

子どもたちへの衛生指導の様子

山岳農村部に位置する町の無料診療所での唯一の女医さんとの二人三脚での巡回診療が主な活動です。衛生習慣の改善を目的とした衛生指導や、望まない妊娠を防ぐための教室、子育て教室などを行いました。インフラ整備が不十分な地域での手洗い指導や衛生指導はかなり難しく、アプローチの仕方や内容について考慮しても、最後まで手応えがなかったことが心残りです。
望まない妊娠を防ぐための教室では、地域で頻繁に起こっている若年妊娠を防ぐことを目的に町中すべての高校を周り、そのリスクをはじめ、自分が生まれることができた奇跡や妊娠のメカニズムと自分の体を知ること、親になることの大変さ・責任などを自ら考え理解できるように工夫しました。生徒たちは意欲的に学んでくれ「命がこんなにも大変な思いをして生まれるものだと初めて知った。母親に感謝したい」などの意見も出ました。

藤田さんにとって国際協力とはどのようなものですか。

町中の学校を周っての巡回指導

2年間の活動中、私の周りにはいつも支えてくれる仲間がいました。国際協力は一方通行ではなく、互いに思い合う気持ち、信頼、相手に対する敬意がないと成り立ちません。隣にいる人が困っていたら手を貸す、それと全く変わらないことなんだと今では心から思います。
そこに相手を思う気持ちがあり、自分も困っていたら助けてもらう。それは何も国際協力に限ったことではなく、人間関係を作っていくうえで必要なことと何ら変わりありません。
国際協力とは、「自分の周りにいる人と助け合っていくのと少しも違わない、思いやりを持ちあう心」だと考えるようになりました。
国際協力という言葉の意味が参加前とは自分の中でがらりと変わりました。

今後の展望などございましたら教えていただけますか。

今回の協力隊員の経験と、活動する中で出会った女性たちとの出会いなどから、女性の健康や性、妊娠出産、子育てなど生涯を通じた援助がしたいと考え、助産師の資格を取得するために大学院へ進学することになりました。すべての命が幸せに満ちて生まれ育つよう、自分にできることを精一杯やっていきたいと思います。

今春からは大学院で再び学窓に戻られるとのこと、更に看護の技術を高め、今後も国際協力の現場に生かしていただければと思っております。ありがとうございました。