【12月号】アフリカの小さな電気のはなし

【写真】川上 康博(かわかみ やすひろ)さん 愛知県名古屋市在住中部電力株式会社(所属部署:国際事業部コンサルティング・協力グループ長)
川上 康博(かわかみ やすひろ)さん 愛知県名古屋市在住

開発途上国が抱える課題解決を支援するため、JICAが実施する援助手法のひとつに「技術協力」があります。これは専門家の派遣、必要な機材の供与、人材の日本での研修などを通じて、開発途上国の経済・社会の発展に必要な人材育成、研究開発、技術普及、制度構築を支援する取り組みです。これらを最適な形で組み合わせて実施する「技術協力プロジェクト」では、民間企業や大学、NGOなどと連携し、蓄積された経験や知識、ノウハウを各方面で活用してもらうことで、より複雑で高度な課題に対応するとともに、より広範に成果を普及させることを目指しています。
今回は、南部アフリカに位置する世界最貧国の一つマラウイの貧困削減のため実施された「地方電化推進プロジェクト」において、総括を務められた中部電力株式会社の川上康博さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

自己紹介および担当されている事業等について教えてください。

未電化村での調査(マラウイ)

私は水力技術者として、中部電力で国内のダムや水力発電所の調査・設計・施工に携わってきました。会社として海外事業に取り組み始めたころ、JICAから募集のあった長期専門家に応募し、2002年から2004年までマラウイに派遣されたことが国際協力への第一歩になりました。
2004年に帰国してからは、社内で本格的に海外業務に取り組むこととなり、2006年には再びマラウイに派遣され、地方電化推進プロジェクトの総括となりました。マラウイ案件終了後は、最近までラオスやザンビアの技術協力プロジェクトなどの活動をしていました。JICA中部とも縁が深く、小水力に関する研修などで10年以上お世話になっています。来年2月にはアフリカからの研修員を受け入れて、系統技術の研修を実施する予定です。

JICAの技術協力では、どんな役割を果たされましたか。

クリニックに設置された太陽光パネル(マラウイ)

最初に長期専門家として派遣された2002年当時、マラウイでは家屋電化率が4パーセントで地方電化事業が始まったばかりでした。まずは限られた予算の中で、いかに優先順位をつけ電化手段を決めていくのか、どのように現地調査を行うのか、さらには基本的な設計と予算はどのように作成していくのかなど、地方電化計画全般について指導しました。2006年に技術協力プロジェクトが始まってからは、配電・太陽光・小水力・財務管理の専門家とともに、設計や施工管理といった、より具体的な事業化に向けてカウンターパート(現地受入機関の技術者)とともに業務を進めていきました。

現場でのエピソードや、プロジェクトにあたり心がけたことがあれば教えてください。

カウンターパートとの話し合い

ありきたりのことかもしれませんが、ずっと心がけていることがあります。カウンターパートと議論をすること、実行させること、そして結果についてまた話し合うことです。小さな失敗も本人の気づきを促すために必要なことだと思っています。
マラウイに赴任してすぐのことなのですが、未電化村の小さなクリニックに、日本の援助で入れた太陽光発電の検査に立ち会いました。確か100ワット、つまり蛍光灯と白黒テレビ、小さな冷蔵庫が使える程度の小さなシステムだったのですが、現地のシスターに感謝された言葉は忘れません。「灯油ランプは暗すぎたので、夜中に傷口を縫ったり無事に出産してもらったりすることが難しかったのが、明るい蛍光灯のおかげで処置ができ、患者の苦しむ姿を見なくてすむようになりました。ありがとうございます。」

JICA中部なごや地球ひろばでは、企画展「貧困・エネルギー」を開催中です。12月14日(土)には連動イベントとして「中部から世界へ」と題し、中部電力とJICAが開発途上国で実施しているエネルギー支援についてパネルトークを開催します。みなさまへのメッセージをお願いいたします。

カウンターパートとともにビールを

最初から国際協力に興味があったわけでもなかった私が、縁あってアフリカの地を踏むことになり、改めて電気の重要性を知ることとなりました。手元を照らす小さな電気も、工場を動かす大きな電気も、今あるエネルギーを有効に使いながら安定的に供給するのが私たちの使命だと思っています。また、同じように途上国においてそのサポートを行うことも、非常に意義深いことだと思っています。
12月14日は他国での事例も織り交ぜながら、これまでの経験や思いをお話しさせていただこうと思います。ぜひ、なごや地球ひろばにお越しください。

ありがとうございました。パネルトークではさらに詳しく現場のお話をお伺いできればと思います。