【2月号】人々の『ために』ではなく、人々と『ともに』

【写真】吉田 文(よしだ あや)さん 岐阜県安八郡出身、愛知県名古屋市在住認定NPO法人アジア日本相互交流センター・ICAN 海外事業部 部長
吉田 文(よしだ あや)さん 岐阜県安八郡出身、愛知県名古屋市在住

2013年11月8日から9日にかけて、非常に大型の台風ハイヤンHaiyanがフィリピン共和国中部を通過し、広範な地域において甚大な被害が出ました。
今回は、フィリピンにおいて危機的状況にある子どもたちの生活改善に20年間にわたり取り組まれ、台風被害に対してもいち早く緊急救援を行っている、認定NPO法人アジア日本相互交流センター・ICANの吉田文さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

はじめにICANの活動、また自己紹介、担当されている事業などについて教えてください。

ICANは、名古屋に本部を、フィリピンのマニラとミンダナオに6つの事務所を持ち、路上や紛争地、災害被災地に暮らす子どもたちなど「危機的状況にある」子どもたちとともに、教育や医療、平和構築、緊急救援といった活動を行っています。合言葉は「人々の『ために』ではなく、人々と『ともに』」。一方的に支援をするのではなく、事業地の人々や日本の皆さんと「ともに」活動を進めていくのがICANの活動の特徴です。私は主に、路上の子どもたちの権利を守るプロジェクト(JICA草の根技術協力事業として実施)を担当しつつ、国際理解教育やフェアトレード、スタディツアー、広報業務なども担っています。

台風被害を受けた現地の状況と、ICANのされている緊急救援についてお聞かせください。

被災の様子

被災地の子ども

今回の台風で特に大きな被害を受けたレイテ島東海岸沿いの町では、ほぼ100パーセントの建物が倒壊し、生計手段であった田畑も大きな被害を受けました。被災直後は通信や交通も遮断された状態で救援物資がなかなか届かず、半壊した家屋に「HELP」の文字が書かれ、子どもたちが食料を求める看板を掲げて国道沿いに立つなど、状況は非常に深刻でした。そんな中、ICANはフィリピンでの約20年間の活動経験を活かし、救援物資とともにいち早く被災地に入りました。被災直後は、食料を中心とした救援物資の提供をしていましたが、12月からは雨風をしのぐための住宅建設資材の提供に移っていきました。現在では建設資材の提供を続けながら、子どもたちが勉強を再開するための仮設教室の建設を行っています。嬉しいことに、家屋や道路に掲げられていた「HELP」の看板が「Thank you ICAN」の文字に、今どんどん変わっています。

現場での活動中、印象に残ったことをお聞かせください。

食料物資提供の様子

これまでにICANは、食料物資約10,000世帯分、住宅建設資材約1,500世帯分、仮校舎建設資材25教室分の提供を行ってきました。この膨大な量を迅速に配布できたのは、現地で一緒に活動をしてくださる約50名の地元ボランティアの力が大きいと思います。自身も被災者でありながら、トラックからの物資の積み下ろしや仕分け、配布などを一緒にやってくださり、物資を受け取った被災者に「一緒に頑張ろう」「きっと大丈夫」と励ましの声もかけていました。この災害に立ち向かうため、私たちICAN職員とボランティアが一丸となっている姿は、まさに合言葉「人々の『ために』ではなく、人々と『ともに』」の通りでした。

救援活動をするにあたっての課題をお聞かせください。

提供した建設資材で家を建てる家族

活動資金が足りていないことです。今後は、住宅建設資材の提供を約3,000世帯、校舎の修理・建設を25教室、生計手段回復のための農業の再建を16村で実施したいと思っていますが、建設資材は1世帯分で約2万円、学校1校を建設するには約300万円かかります。1人でも多くの方が安全な家で安心して暮らせるよう、そして子どもたちがまた勉強を再開できるよう活動を進めていますが、被害が広範囲にわたっており、資金集めが追い付いていないのが現状です。

最後メッセージをお願いします。

復興のために、まだまだ私たちができることはたくさんあります。どうか末永くICANの活動と被災地を見守り応援していただけると嬉しいです。これからも私たちは被災者に寄り添い、ともに活動を続けていきます。

ありがとうございました。これからもフィリピンの人々とともにある活動を展開されますことを期待しております。