【4月号】国際協力事業で思うこと

【写真】立場 正夫(たてば まさお)さん 熊本県天草市出身、愛知県名古屋市在住JICA中部 市民参加協力課 市民参加・民間連携協力アドバイザー
立場 正夫(たてば まさお)さん 熊本県天草市出身、愛知県名古屋市在住

今回は、JICA中部で主に民間連携事業を担当している立場正夫さんに、国際協力事業への思いについてお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

自己紹介および現在担当している業務について教えてください。

ODA事業紹介セミナーの様子

私は、JICA中部で市民参加・民間連携事業を担当しています。この事業は、2010年から民間企業とともに、その技術や製品、サービスなどを活用しながら開発途上国が抱えている様々な課題や問題を解決するために設けられた事業です。一方で開発途上国からも日本の民間企業が持っている優れた技術や製品への期待も高く、教育改善、保健衛生の向上、環境保護、災害防止などに対する貢献が求められております。この3ヵ年間では「自転車一体型の浄化装置と簡易凝固剤を利用した安全な飲料水の確保」および「電動バイクの普及による環境問題の緩和」など少しずつですがその成果が表れてきています。

国際協力に携わったきっかけとこれまでの経験についてお聞かせください 。

日中医学教育センタープロジェクト(臨床講義風景)

日本語で学ぶ中国の医学生との意見交換

私が国際協力に携わる原体験は、大学生時代の開発途上国への旅行です。現地では、私の弟や妹と同じ年齢の子どもたちが学校にも行けず観光客目当てにおみやげ物を売っており、日本との違いや貧困の厳しさを体験しました。我々も一歩間違えば、この貧困に苦しむ毎日を送っていたのではないかと思うときに、自分でも何か出来ることはないかと考え、その選択結果としてJICAで働くことにしました。最初に配属された部署は、開発途上国からの研修員受入れ事業でした。各国の人々との交流から始まりましたが英語ができず身振り手振りの会話に苦労したことを昨日のように覚えております。
次に中国との関わりです。日中友好病院や日中医学教育センタープロジェクトで日中双方の調整役として働きました。当時の中国は「改革開放」を謳い最先端技術の導入や工場、インフラ施設の近代化に向けて邁進していました。プロジェクトでは、日本の若い専門家と年齢の高い現地専門家との間で技術移転、指導が行われ、お互いに敬意を払いつつ、真剣に取り組んでおられたことが強く印象に残っております。現在、中国が「世界のもの造り大国」となったのもこのように先人の苦労の積み上げがあったからではないでしょうか。

立場さんがモットーとされている国際協力に対する考えた姿勢などがあれば教えてください。

日本の技術協力は、ただ単に調査報告書や提案書を提供し、その後は相手国の自主性に任せるのではなく、その作成に至るプロセスや一つ一つの手法や技術、事柄をしっかりと定着・習得させる点にその特徴があると思います。また、受け手も不器用ながらも真剣かつ誠実に学ぶなど双方の「思いや熱意」が相乗的な効果を発揮していると思えます。もう一つの特長として、開発途上国が抱えている課題や問題を解決するために受け手とともに悩み、苦悩するなどその痛みに寄り添うことで双方の信頼感を醸成している点です。常に開発途上国の人たちに思いを馳せ、彼らの目線に合った取組み姿勢が求められると思います。

最後に、市民の方へのメッセージをお願いします。

マスコミ報道や各種の地域活動の中で開発途上国の課題や問題が紹介されています。世界ではまだまだ、学校にも行けず、十分な栄養も取れない厳しい貧困や重たい感染症、災害で苦しむ人が多くいます。その現実を直視し、その苦悩や痛みを共感、寄り添うことから国際協力を始めてはいかがでしょうか。その上で無理せず、自分に出来ることを行動に移すことが重要です。最後に、先の東日本大震災では多くの開発途上国の人々からいただいた「絆や思い」も大切にしましょう。