【10月号(1)】「アフガニスタンの平和と発展のために」

【写真】サフィ・ハミドゥラさん 名古屋大学大学院国際開発研究科修士課程2年生、名古屋市在住JICA「未来への懸け橋・中核人材育成プロジェクト」長期研修員
サフィ・ハミドゥラさん 名古屋大学大学院国際開発研究科修士課程2年生、名古屋市在住

今回はアフガニスタンのカブール市出身のサフィ・ハミドゥラさんにお話を伺います。
アフガニスタンの復興を支援するJICAの「未来への懸け橋・中核人材育成プロジェクト」(通称PEACE)の一環として、現在多くのアフガニスタンの行政官や大学教員が日本の大学院で学んでいます(2011年から5年間で合計500名が来日予定です)。サフィさんはその一人として、2012年9月に来日し、名古屋大学大学院国際開発研究科修士課程2年生に在籍しています。
(聞き手:JICA中部 研修業務課)

はじめに自己紹介と留学先として日本を選んだきっかけを教えて下さい。

農民と対話するサフィさん(中央)

私はアフガニスタンの農業灌漑畜産省(以下、農業省)から派遣される形で名古屋大学で勉強しています。アフガニスタンでは長らくの紛争を経て、国土が荒廃し、希望を持てない人が多くいます。治安もなかなか改善しません。私は「報道官」として、ユニセフや行政改革委員会等を経て2008年以来農業省で働いていますが、常に「どのように人々の声に耳を傾ければ、国に平和がもたらされるのか」を考えてきました。
カブール大学3年生の時に、学生と警察が衝突し、大学が閉鎖した時期がありました。この期間にユニセフの少年兵保護プログラムに参加する等、新たな経験ができましたが、「もっと勉強したい」という思いも同時に強く持つようになりました。より語学の障壁の低い英米への留学も視野に入れていましたが、奇跡的な戦後復興を遂げた日本でこそ学ぶことが多いだろうと思い、PEACEの長期研修員制度に応募しました。日本で学びたいという希望者は多く、競争率が高いため、自分が長期研修員の一人に選ばれて大変光栄だと思っています。

現在学んでいらっしゃるテーマを教えて下さい。

修士論文のテーマとして選んだのは、これまでの業務とも関連する「平和構築におけるメディアの役割」です。自分は農業省の報道官補佐として、国内メディアや国際機関などの対応に加え、地方部の農民への啓発活動としてラジオプログラムを担当してきました。特にアフガニスタンのように治安の不安定な国では、地方農民の必要とする知識や技術を直接指導することには限界があります。他方で、紛争後の農民の生活の安定と向上は、平和をもたらす上では重要な要素です。ルワンダやコロンビア等他国の経験を学びながら、アフガニスタンで何ができるのか、日々考えています。まだ確たる結論は出ていませんが、帰国後は元の職場に戻る予定なので、アフガニスタンの平和構築に少しでも貢献できるような研究にしたいと思っています。

将来の夢は何ですか?

カブールの公園で。

ラマダン明けを祝うごちそう

「交渉人」となってアフガニスタンの平和の実現に貢献することです。一国の平和のためには、基礎となる経済の発展、対立するグループ間の相互理解など、時間がかかるけれども取り組むべき課題が多いです。意見や利害の異なるグループ双方の立場を考えながら、だれもが納得できるような解決策を提示できる、そんな「交渉人」になりたいと思っています。「報道官」としての経験と、今回日本で研究している内容はいずれも自分の将来に役立つと思います。

将来、3人のお子様にはどのような大人になってほしいですか?

長男はレゴ遊びが大好きです

アフガニスタンでは、戦争で親をなくし、家を失い、夢を持てない子供が多くいます。そんな子供たちに「一緒に頑張ろう」と言える人間、そして、そんな子供たちにとって「ああいう風になりたい。」と思ってもらえるような人間になってほしいと思っています。
PEACE事業では家族の来日が認められていますが、二つの面から大変有難いと思っています。第一に、アフガニスタンのように治安が不安定な国では、家族の安否が気になるため、離れて暮らすことによる不安がきわめて大きいものです。そして第二に、日本という言葉も文化もまったく違う国で、苦労しながらも新しい、何物にも代えがたい経験を子供たちにさせてあげられているということ。
この経験をもとに、子供たちには母国ひいては世界のために貢献できる、強くて優しい人間になってほしいと願っています。

続いて、サフィさんのご家族にもお話しを伺いました。