【2月号】「みんなでラジオ体操!」

【写真】藤野 靖子(ふじの やすこ)さん 北海道出身、名古屋市在住JICA中部 研修業務課 メディカルコーディネーター
藤野 靖子(ふじの やすこ)さん 北海道出身、名古屋市在住

今回は、JICA中部メディカルコーディネーターの藤野靖子さんにお話を伺います。藤野さんの発案で昨年11月からJICA中部でお昼休みを活用して研修員とともにラジオ体操を行っています。発案のきっかけ、意外な?効果とは・・・。
(聞き手:JICA中部市民参加協力課)

はじめに、自己紹介をお願いします。

ラジオ体操の指導中

私は現在JICA中部健康管理室に在室しておりますメディカルコーディネーターの藤野靖子と申します。
健康管理と国際看護学の看護師として、毎年約600名JICA中部に来られる研修員の健康管理に関わっています。来日前から帰国まで関わっていますが、最近増えているのが、生活習慣病などの持病。研修員としての来日に影響はありませんが、生活習慣病は日常生活の積み重ねなので、来日しただけで改善することは何一つないのですが、せめて、健康管理を預かる者として、改善のために何かできることはないかと常々考えていました。

それで、ラジオ体操を始めようと思われたわけですね。

はい。初めは、小さな提案でした。
お昼ご飯の後、みんなで何か運動ができたらいいな・・・
体を動かして気持ち良くなるし、食後の眠気もなくなるし、つまりは太りにくくなるわけだし・・・
何かしたい・・・できたら研修員も職員も一緒に・・・手軽で楽しくて短くて・・・

そこで思いつきました。
日本人なら誰でも音がかかれば体が動くアレ! 
オシャレでもなんでもない普通のアレ!
夏休みに子供会でポイントカード作って最後にノートや鉛筆をもらったアレ!

そうだ、ラジオ体操だ!

ということで、早速、医学的な効果と、食後に行うメリット、運動の換算量(何と同等か)等について調べ、健康管理室としての見解、研修員にとってのメリット、JICAの意図との合意性を周囲にアピールしました。

なぜ、「ラジオ体操」だったのでしょうか。?

みんなで楽しく体を動かします。

日差しが少なくなるこの季節、同時に寒さもやってきて、木々の葉は落ち、どうしても人はメランコリックになりやすくなります。
日が短くなることと、鬱の相関関係はすでに証明されているのですが、研修員にとっては、自国ではない家族と離れている孤独感や食事の内容、寝具、空気の匂いなど自国と違う要素が加わると、鬱に移行しやすくなるので、本当に心配になる季節なのです。

ところが、「軽度の運動」を週に3回行うことで、鬱になりやすい傾向を予防することができるのです。この「軽度の運動」に相当する運動量は、自ら進んで行いたくなるようなもので、かつ有酸素運動30分ほどの効果に匹敵するものになります。有酸素運動で分泌するセロトニンが同程度分泌されることが重要です。

運動強度も含め、それに該当する運動内容を考えてみると・・・。
・一人でウォーキングを30分する。
・一人でヨガトレーニングを30分する。
一人で行うものが多く、あまり気分が晴れそうにありません。

首をゆっくり回したり、呼吸を繰り返すこともおすすめなのですが、楽しいと感じて繰り返すことができるかという点で疑問です。

そこで思いついたのが日本人になじみのあるラジオ体操でした。
ラジオ体操は3分半と短い運動ですが、有酸素運動30分と同等の効果があります。
そして日本人のメタボ予防&対策希望にも効果があります。
昼食後(食事開始から)30〜60分に、軽度の運動をすると、血中の血糖が使用され、運動した指令が下ります。
その結果、
1.血糖値が上がりにくくなる→2.インシュリンがさほど出ない→3.脂肪細胞へ糖が運ばれなくなる
4.1・2により、午後の眠気がおこりにくい
ということが挙げられます。
よって、太りにくくなり、午後の仕事もはかどるという効果と、「ラジオ体操第1』は、背中の筋肉を刺激する運動ですので、1週間程続けると、広背筋付近の褐色脂肪細胞が活性化されて、内臓脂肪から痩せていきます。

周囲の反応はいかがでしたか?

もちろん女子職員にはとても好意的に受け入れられました。
「痩せる」ことが明確だからです。
また、海外事務所滞在経験が長い職員、元協力隊員からもとても前向きな同意を得られ、嘱託医からも力強い応援をいただき、昼食後のラジオ体操が始まりました。
研修員も一緒に行っているので、英語バージョンでラジオ体操を行っていますが、日本人になじみがあるラジオ体操は英語の説明に変わっても関係なく体が動くもので、むしろ英語の説明に職員が噴き出すこともあります。
初日の体操に参加した研修員の感想は、
「楽しかった」
「どうしてみんな(日本人)はできるの?練習してきているの?」
「日本人が痩せている理由がわかったよ」
などと口々に、午後の研修へ戻っていきました。
それからは、平日13時15分に、なごや地球ひろば2階にて継続して行っています。

藤野さんから始まったこの取り組み、今後どのようになっていってほしいですか?

参加スタンプカードもあります。

スタンプたくさん貯まりました。

研修員は研修スケジュールにより毎日参加できるわけではありませんが、できるだけ参加したいと言ってくれます。やはり、「痩せる」「姿勢がよくなる」という効果、そして「日本人職員が多く参加して楽しく行っている」「一緒に参加して楽しい」ということが理由のようです。体操の後、参加者と写真を撮りあったり、他のグループの研修員とジャンプや腕をまわしたりと楽しげに参加してくれるのを見ると、本当にうれしい気持ちになります。
日本ではこんな楽しい時間があったよと、持ち帰ってくれると嬉しいです。
そして、みんなでラジオ体操を行い、その様子が各国に伝わり、研修員の国にも定着して、ラジオ体操を通して、世界中に楽しい健康管理が広まることを願っています。