JICA中部 市民参加協力課
倉田 まゆみ(くらた まゆみ)さん 愛知県岡崎市出身、在住
写真:倉田まゆみさん ガーナ北部の村の子どもと
今回はJICA中部で、草の根技術協力事業等を担当している倉田まゆみさんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)
今年4月末まで、2年間、在ガーナ日本国大使館の専門調査員として経済・経済協力班で、日本企業支援や民間セクター開発・産業振興・人材育成分野などの経済協力案件を担当していました。
6月からJICA中部の市民参加協力課で働いています。主に草の根技術協力を担当していますが、そのほかにも民間連携事業、ボランティア事業、開発教育、研修事業など、幅広く担当する予定です。
近所の子どもたちとガーナ版甲子園のグランド整備
高校1年生のときから何となく、自分の頭で考える力を育てない日本の教育に疑問を持ちはじめ、モノにあふれ便利さを追求した日本の生活・社会を問いはじめ、気づいたころには日本の高校を中退して単身海外へ出ていました。その頃から、世界で起きていることに関心を持ち始めました。
私が途上国に興味を持つ大きなきっかけとなった出来事は、10年前、ここ愛知県・長久手で開催された「愛・地球博」です。そのとき海外の大学に通っていた私は、夏休みで一時帰国しており、毎日のようにせっせと万博会場へ足を運んでいました。その中でも、活気と熱気に沸くアフリカ共同館に魅了され、一緒に働きたい!と思うようになり、『たまたま』ナイジェリア政府の役人に「ナイジェリア・パビリオンで働いても良いよ」と言われ、私とアフリカのつながりがスタートしました。
以後、アフリカを見たい!と思い、大学卒業後、外務省在外派遣員制度という制度を活用し、ガーナへ飛び立ち、初めてのアフリカ生活をガーナでスタートさせました。また、万博で出会ったウガンダ北部で元こども兵の社会復帰プログラムを実施する国際NGOの現場活動を視察したり、日本の小学校で彼らの活動を講演するお手伝いもさせていただきました。
世銀日本基金によるガーナ貧困削減プロジェクト開会式典にて
一緒に働いた現地職員たちと
「自立」と「パートナー」です。「自立」することは今や途上国だけではなく、我々が暮らす日本のような先進国でも同じことが言えると思いますが、これは国の自立でもあり、個々の自立でもあります。国際協力は、モノをあげる、建物を建てるなどに留まらず、それらのツールを通じて、彼らの「自立」につながる支援を、同じ目標を目指すパートナーとして一緒に考えるべきだと思っています。彼ら一人ひとりが自立し、国としていつか援助卒業国になること、その過程において何ができるのか、何が必要なのか、それを国レベルだけではなく現場レベルでも考えることが大切だと思っています。そして、いつか将来、私たちのような国際協力に携わる人間やその仕事が必要ではなくなることが私の願いでもあります。そんな日を夢見て、今必要とされている支援を、現場の声に耳を傾けながら、一歩一歩、一緒に歩んでいくことが、今私たちに出来ることだと思っています。
ここ中部地域には、優良な地場産業、優れた技術・ノウハウ・知識を持ち備えた大学・団体・自治体・企業が多く存在していると感じています。それらのステークホルダーの方々のお声を聞きながら、少しでも途上国の人々の「自立」につながるお手伝いをさせていただけたらと思っています。また、地元にいるたくさんの小中高の学生が自分の身の回りや世界で起きていることに関心を持つ「きっかけ」作りができたら嬉しいです。