【11月号】「敬意・誠意・熱意」を持って

【写真】寺尾 和彦さん                                名古屋市名東区在住NPO法人ホープ・インターナショナル開発機構(HIDA)          JICA中部コスモスクラブ(JICAシニア海外ボランティアOB・OG会)
寺尾 和彦さん                                名古屋市名東区在住

■写真:寺尾 和彦さん

今回は寺尾 和彦さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

はじめに、自己紹介および支援活動経験について教えてください。

カウンターパートと同僚SV(パキスタン)

みなさん、こんにちは。私は、開発途上国を対象とした地域開発の研修・研究を行う国連機関に長年勤務いたしました。仕事柄、開発支援、国際協力、ボランティア活動などに深く関わり、多種多様な人との接触の中で、途上国の現状やそれぞれ相手の立場に立った物の見方・考え方などの多様な価値観を学びました。
そして、実際に途上国の現場に出向いて、これまでに培った国際感覚や得意分野の知識を活用することで現地の人々と一緒になって課題に取り組み、喜びや感動を共有したいとの思いで、退職後にJICAシニア海外ボランティアに参加しました。任地パキスタンでは、渉外促進(グループコーディネーター)として同僚のシニアボランティアやカウンターパートなどとの連絡調整業務にあたり、変化のある毎日を過ごすことが出来ました。

台風の痕跡(フィリピン)

食料配布(エチオピア)

帰国後まもなくして東日本大震災が起きました。所属のNPO法人ホープ・インターナショナル開発機構(HIDA)からの派遣で被災地に入り、支援が行き届かないなおざりになっている地域を主体に空と陸から生活支援物資を配布しました。
その他にも、パキスタンで起きた河川の大洪水、エチオピアでの深刻な干ばつ、フィリピンを襲った最大級の台風被害では、日本政府の人道支援活動の一環で、HIDAからプロジェクト・マネージャーとして現地カウンターパートと一緒に被災地に入り、支援から取り残された地域に物資を供給しました。現地の被災者が「もう誰も来てくれないと思っていた。遠く日本から来てくれて、私達は一人ぼっちじゃないと心強く感じました」と小さな我が子を抱えながら感謝のまなざしで話してくれたことをよく覚えています。

貯水槽建設(エチオピア)

HIDAでは今年の初めに、きれいな水の供給と保健衛生改善事業を立ち上げ、事業推進・管理のため私はプロジェクト開始時に1ヶ月あまりエチオピアを訪れました。6,300人の村の住民に安全な水へのアクセス(現状はアクセス率0パーセント)の確保とトイレを設置するなどして保健衛生の啓発活動を行うものです。水源となる高地の湧き水をろ過してコンクリート壁で汚染から保護し、地形の高低差を利用して水源から村の給水所までパイプラインを敷設、水圧確保のため途中に貯水槽を設けることで水供給を安定させます。きれいな生活用水が安定的に供給されることで水汲みの重労働から解放され、トイレを日常的に使用することで衛生習慣・健康状態が改善され、子供達は学校へ通う時間ができるなど生活にゆとりが生まれ、貧困から抜け出すための第一歩となりうるのです。

モットーとしている国際協力に対する考えや姿勢などあればお聞かせください。

何事にも「敬意・誠意・熱意」を持って取り組む事を心がけています。この姿勢は自ずと私の国際協力活動・ボランティア活動にも当てはまります。個々の意志に基づいて展開する活動こそが、援助を必要とする人にとっては欠かせない重要な要素です。とは言え、行う側と受ける側が多様な柔軟性を持ったコミュニケーションをすることで初めて双方の理解につながり、やがてそれが共感を生むことになります。一方、このような活動をすることにより、様々な知識、技術が身についたり、いろいろな問題に直面してその解決方法を見いだしたり、他人や自然を慈しむ心が育まれるなど、私にとっては国際協力への関わり自体が未知の自分自身を試すことであり、自己形成に大きな効果を持っています。さらに加えるなら、心の中から無意識に出てくる優しい感情で行動することで、いつも純粋な心を抱かせてくれる素晴らしい力を持っています。