【JICAボランティア活動記】「バヌアツの心を日本に」

2016年5月30日

大谷 一雄さん 
(事務所のスタッフと 右から2番目)

大谷 一雄 (おおたに かずお)さん
平成24年度3次隊・(バヌアツ)・(障がい児支援)
静岡県浜松市在住

「海外から日本を見たら?」

30数年の教師生活を終えた定年後は、JICAのシニアボランティア(SV)になれたらと夢想していました。ただ、英会話はできないし海外で暮らした経験もないので無理かと思っていました。たまたまJICAに勤めていた友人からタイのバンコクで活動しているSVの方を紹介され、お話を伺ううちにできるかもしれないと思い、英語を猛勉強し応募したのです。定年後、今までの生活を一旦リセットしてまた新たな生活を始めるには、生活の拠点を海外に移して、日本を外から見たいと考えました。それにはSVが最適だと思い、更にひょっとしたら新たな自分の能力が発見できるかもしれない…(実際は日本食が恋しくてたまらない自分に気付いたのですが。)

「人気の絵本、折り紙」

絵本の読み聞かせ

折り紙

任地は南太平洋に浮かぶ小さな島国、「バヌアツ共和国」です。社会科の教員でありながら、恥ずかしいことに、この時までバヌアツがどこにあるかも知りませんでした。地図を見て初めてオセアニアにあることを知ったのです。派遣されたのは「バヌアツ教育政策擁護連合」という教育政策を教育省に提言するNGOでした。しかし、私は日本では、教育政策を立案したことがなかったので、現場(学校、施設)に行ってその様子を知ることから始めました。施設に行ってみると、子どもたちが座るマットは汚れていたり、床もゴミが散らかっていたりしました。これは子どもたちに教える前に先ず環境をきれいにしなくてはと思い、床を掃いたり、マットを水拭きしたりしました。環境が整えられ、日本から送ってもらった絵本を現地語のビスラマ語に翻訳し、子どもたちに読んで聞かせたり、折り紙を教えたりしました。絵本は子どもたちに人気で、教室の前に絵本を持っていくと後ろにいた子どもたちが前に出てきて、表紙を開くのを待ちかねていました。特に人気があったのは「ぽぽんぴ ぽんぽん」でした。この音が子どもたちの気に入り、私が行くと「ぽぽんぴ ぽんぽん」と呼ばれたりしました。

「バヌアツの心を日本に」

数の学習

バヌアツは日本に比べれば経済的に貧しい国ですが、人々はフレンドリーで外国人である私にも気軽に「ハロー」と声をかけてきました。困っている人を見ると、黙って見過ごすことができません。ある時、税関で支払いをしようとしたときに、細かいお金がなく困っていると、そこにいた全然知らないタクシーの運転手が出てきて、お金を出しながらこれを使ってくれと言われ、びっくりした思い出があります。現地では3カ所の現場(施設、学校)に行っていましたが、そこの人たちに「カズはどうしている?」と聞かれるとの話を後任の方から聞き、うれしく懐かしく思い出します。教育面でバヌアツと日本が違うのは、バヌアツでは地域で子どもたちを育てていますが、日本にはそれがないことに気付きました。これからは地域で子どもたちの「居場所作り」の場を設けたいと思い、この4月から自宅で「寺子屋 ピキニニスクール」を開校しました。今はバングラデシュの女の子が2人しか来ていませんが少しずつ広がればと思っています。