【JICAボランティア活動記】「地球の反対側で障害をもつ子供達に音楽を」

2017年8月28日

■写真:後藤 さゆりさん(CEDAI での授業風景)

後藤 さゆり(ごとうさゆり)さん
平成26年度2次隊
ウルグアイ・音楽
岐阜県岐阜市在住

「『何かしたい』と思いながら何十年も」

私は54歳で、初めてJICAシニアボランティアに応募し、音楽教師として南米ウルグアイに派遣されました。「子供の頃から、または学生時代から海外に興味を持っていた」、「出前講座やポスターを見て」、など早い時点で応募を目標に行動される方が多い中、私は自分の子供を持った頃から、世界で困っている子供達に何かしたい、と思いながらも子育てと仕事、親の介護など、この年齢まで海外に行ける状態ではありませんでした。子供の就職を機に、やっと念願叶い、応募までたどり着いたのです。

「何をすれば?」

一緒にピアノを弾きたいと言って練習に励む

活動内容は、音楽の授業にピアノを取り入れ、障害をもつ子供から大人までの施設や学校を巡回して音楽を教えるというものでしたが、ピアノは無い、または壊れていて使えない物ばかりでした。ギターを弾く音楽教員は楽譜を読めなくても南米ののりで話が上手く、冗談を言っては生徒を笑わせ、楽しそうな授業をしていたので、自分は何をすれば良いのか悩みました。言葉の壁もあり、ただのマンパワーとしか思われていない様な自分に焦っていました。しかし、現地業務費でキーボードを購入し、生徒達が全く知らないクラシック音楽や日本の音楽を紹介していると、生徒達はどんどんピアノに興味を示しました。肢体不自由で思うように話すことが出来ない生徒から、「一緒にピアノを弾きたい」と言われた時に、「自分に出来ることをすればいいんだ」と気づき、それから自分らしい授業が出来るようになりました。

スクールバスとプレハブの贈呈式でのコンサート

ピアノを使って音楽療法や合奏、また日本なら当然ある音楽室や講堂がなく、人前で自分たちの演奏を聴いてもらう機会もない子供達に、発表する喜びを感じて欲しいとコンサートの企画をし、帰国までに3回、コンサートを開くことも出来ました。全くピアノを弾いたことのない知的障害をもつ2人の生徒は、始めは1本の指だけでしたが毎日練習し、簡単な曲を帰国時には両手で弾くことも出来るようになり大喜び。コンサートでは保護者が感激の涙を流しながら子供達の様子をビデオに撮る姿に目頭が熱くなりました。場所の関係で、生徒全員参加は叶いませんでしたが、たくさんの拍手をもらい自信に満ちた生徒達の笑顔は忘れられません。

「誰でもその人にしか出来ないことはある」

最後に行った3校合同コンサート

言葉の壁や安全管理、文化の違いなど様々な理由で海外に行くことを躊躇う若者が多いと聞きますが、行ってみないと分からないことだらけ。現地の人と共に働き、ぶつかり合い、新しいことにも挑戦できるこの活動は毎日が新鮮です。また、自分の存在自体がその国の人々に日本を知ってもらうチャンス。日常生活上で知り合った人や職場で多くの友人も出来、ずっと交流を続けています。自分には特技がない、自信がないと思う人に、「誰でもその人にしか出来ないことがある」と言うことを知ってもらい、恐れずに海外に目を向けて欲しいと願っていますので、自分の経験をこれからも多くの方に紹介したいと思います。