【JICAボランティア活動記】「アートで世界を広げて」

2018年1月26日

■細谷佳代さん(学校を休んだ子の家へ。いつのまにかお客様状態。家族、親戚まで集まってきた。)

細谷 佳代(ほそや かよ)
平成17年度3次隊
バングラデシュ・青少年活動
愛知県名古屋市在住

「希望した国ではないけれど」

村は緑や水が豊か。本当に美しい。竹の一本橋、高さ2メートルはあるのを恐るおそる渡る。

私は、2006年5月から2年間、バングラデシュのボリシャルという町で活動していました。
職種は、青少年活動。要請は「青年を対象とした職業訓練校のグラフィックコースでの指導」。応募のきっかけは、セルビア、マケドニアで子どもたちと造形ワークを行ったことでした。
東欧で子どもたちと活動したいと思って応募した私にとって、辞退しようか迷う内容でした。しかし、「要請はあくまで要請。割と自由にできるよ。」と背中を押してもらい参加することにしました。
いざバングラデシュに着いてみると好奇心が刺激される毎日でした。街を探検して子どもたちと仲良くなったり、ホームステイ先の家族と時間を過ごしたり。バザールやぶらぶら時間を潰すお茶屋さんなど、本当に楽しいことがたくさんでした。
一方で配属先では苦戦。暗い教室とホコリっぽいコンピュータールーム、生徒がパソコンの前に座っておしゃべりしています。停電が多くて先生は来ないし愚痴ばかり…。そんな状態に生徒たちは「何かすごいことを教えて!」と大きな期待と圧力をかけて来ます。「…。」
プレッシャーを感じつつ先生や生徒たちとただおしゃべり。居心地の良くない毎日でした。

「突然の閉鎖、チャンス到来?」

2ヶ月が過ぎたある日、生徒たちが入口に集まっています。「閉まっちゃった」。配属先が閉鎖になってしまったようです。
実は、予算が下りないにも関わらず数年間、なんとかなるだろうと継続していたのでした。先生にはお給料が支払われず、やる気がなかったのはこのせいだったようです。「こんなことってあるんだ…」。驚きながらまず最初に思ったのは、「これはチャンスかもしれない」。
その頃私は、地元のNGOの方たちと知り合い、スラムにある小さな学校に顔を出していました。「こっちの活動がメインだったらよかったのに。」そう思っていた矢先の閉鎖。
JICAオフィスとも相談し、しばらくの間、地域のNGOをベースに活動させてもらうことになりました。

「スラムの学校、絵を描く時間」

NGOが主催するスラムの学校。子どもたちはいつも元気いっぱい。

町外れのスラム、小さな小屋の扉を開けるとそこは小さな学校。
20人くらいの子どもたちが床に教科書やノートを広げて座っています。働いている子どもたちのためにNGOが毎日開いている学校です。先生が来ると子どもたちが集まり読み書き計算が始まります。
「学校=楽しいところ」だから歌や踊り等の楽しい時間も大切にし、教材はイラストがたくさん。英語の時間もありました。家の近所で働きながら通え先生が子どもたちの家族と繋がっている(=ドロップアウトを減らす工夫)、そんな学校でした。
「外国人が来た!」ここで私は、子どもたちを集めるための人寄せパンダ。時には先生と一緒に、来ない子どもの家に行き家族とお話し。近所の人たちで人だかりができて、質問ぜめになることもよくありました。
そこでは絵の授業に参加させてもらいました。学校では勉強ができない子は放置。歌は上手な子だけが歌う、絵に自信のない子はかかない。だからこそ自由に紙の上で遊ぶこと、一人一人の意思や感覚、個性を大切にしました。
こうして子どもたちと過ごしながら、表現の楽しさや大切さを再確認。きちんと美術の勉強をしたいと思い任期終了後インドへ留学。就労とスタジオでの制作を経て2015年、日本に帰国しました。

「協力隊の経験を元にして」

日本に戻ってもうすぐ3年。現在、協力隊の経験がきっかけで名古屋市で働いています。
様々な国の人と関わる楽しい仕事です。同時に、作品制作にも少しづつ取り組んでいます。アートを通して心を開放する、そんなワークショップも行なって行きたいと考えています。
任期終了後さらに海外に7年、この9年間の経験があるからこその今。「ゆっくりでもいい、やりたいことをやろう」。焦るたびにバングラデシュでもらった勇気を思い出し励みにしています。