日本の総合的な廃棄物管理を学ぶ研修員 -名古屋市鳴海工場訪問-

2018年2月13日

廃棄物受入プラットフォームでの様子を動画に録画

最新の設備を誇る中央管理室

2018年1月10日に来日した課題別研修「総合的な廃棄物管理(D)」コースは8か国13名のグループです。参加国はアジア諸国で、中には暖かい国からの参加者もいる為、冬場に実施される本研修では研修員の体調管理に注意が必要です。
本研修はJICA中部が特定非営利活動法人 中部リサイクル運動市民の会(名古屋市)(以下、「中部リサイクル」)に研修実施を委託して1月12日から2月23日まで行われます。開発途上国では生活水準の向上や都市化に伴い、廃棄物の量が増加しています。しかしながらそれらの廃棄物の処理に関する対応は遅れがちで、管理制度の構築や処理技術の確立が求められています。このような開発途上国の課題を解決すべく、参加研修員は日本の廃棄物行政、廃棄物処理や管理の実状等を講義、演習、見学を通じて学びます。見学では愛知県をはじめ、岐阜県、神奈川県、三重県、京都府の施設や組織を訪問し、各地の「グッド プラクティス」を学びます。日本もかつては廃棄物の問題が深刻な時代がありました。本研修ではグッド プラクティスだけでなく、日本が反省すべき事案も紹介して、同様の過ちを研修員の国で犯さないように警鐘します。
そして、研修終了時には日本の研修で学んだことを参考に、帰国後に実際に行動するための「アクションプラン(行動計画)」を作成します。研修員は中部リサイクルの担当者の指導を受けながら、このアクションプランを完成させるため、日々の研修に積極的に取り組んでいます。

今回は、名古屋市緑区にある名古屋市鳴海工場(以下「鳴海工場」)を見学した際の様子をご紹介します。

見学中に真剣且、熱心に質問

見学後の質疑応答でも真剣な様子

鳴海工場に到着後、案内ご担当者から鳴海工場の概要説明がありました。鳴海工場は2009年7月から運転が開始され、日量530トンが処理できる最新鋭のガス化溶融炉を持つ廃棄物焼処理施設です。ここでは、周辺の瑞穂区、南区、緑区、天白区の4区で収集された廃棄物、名古屋市内にある他の廃棄物焼却炉で発生した焼却灰、粗大ごみ処理施設で破砕された可燃ごみの3種類が処理されています。住宅地の中に立地しているので、公害対策は万全に行われています。敷地内の緑化やガス化溶融炉の廃熱を利用して発電も行い、炭酸ガスの排出削減にも努力されています。
概要説明後にDVDも鑑賞し、さらに理解を深められました。

その後、見学用の通路を通って見学へ向かいましたが、廃棄物特有の匂いは全く無く、研修員からは「本当に廃棄物を扱っている施設か」と、驚きの声が上がりました。

廃棄物受入プラットフォーム、ごみピットでのクレーン操作、中央管理室、ガス化溶融炉、廃熱利用の発電機を見学しました。

研修員は各施設の前で熱心にメモを取り、写真や動画も撮影していました。ごみピット内の廃棄物の均一化はどのように行っているのか、排煙を処理するバグフィルターの再生はどのように行うのか等、運転に関するものを中心に、概要説明を受けた際には無かった質問が見学中には多くありました。実際の工場を見学することで研修員の興味が増し、学ぶ気持ちが強くなっている様子を感じました。

見学後の質疑応答でも「廃棄物と一緒に石灰を入れているが何故か。また自国には石灰の他にも天然鉱物が豊富にあるのでそれを同じ目的で利用できないか」「鳴海工場の処理能力はどのように決定したのか」「この事業のPFIとは何か」「鳴海工場の土地と施設の所有者はだれか」等、多くの質問がありました。

見学後に研修員から感想を聞いたところ、「この施設はハイテク過ぎて自国での応用は困難とは思うが、参考になった。特に生成物が熱、スラグ、金属でありこれらは自国でも再利用できる」「PFIの事例は参考になった」との意見があり、とても有益な見学となったようでした。

まだまだ、寒い日が続きますが、研修員は最後まで頑張って研修に取り組んでくれることでしょう。そして帰国後には、本研修で得た知識や経験を自国の発展のために役立ててくれることと期待しております。

【参考】PFI: Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の略で、公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間部門(プライベート)の持つ経営ノウハウや資金(ファイナンス)を活用することで、低廉かつ良質な公共サービスを提供することを目的とした新しい公共事業の手法です.