日本語研修を終えたメキシコ人研修員のその後(1)

2018年6月15日

2018年3月5日に来日した「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」に参加しているメキシコ人研修員は、日本語研修を受講した後、5月7日から北陸、中部、近畿地方に分かれて各専門分野の研修を開始しました。その中でJICA中部に残り、製品の品質管理や生産性の向上をテーマとした研修に参加している14名のメキシコ人研修員について紹介します。
この14名が参加する「全社的品質管理・生産性向上」研修は、JICA中部が一般社団法人中部産業連盟(名古屋市)(以下、「中産連」)に研修実施を委託して5月7日から9月14日まで実施しているものです。研修中は講義、演習、実習、見学等を通して、製品の品質管理や生産性を向上させるための方法について学んでいます。

「JIT」の体験

最初の工程を担当する研修員。真剣です。

2番目の工程で更にナットを足します。

製品検査後、出荷

納品検査は正確に

指導を受けながら「カイゼン」

今回は中産連で実施した「トヨタ生産方式(TPS):JITシミュレーション」という実習を紹介します。今や世界的に有名になったトヨタ自動車が実践するTPS(Toyota Production System)には2本の重要な柱があります。それらは「自働化」と「Just In Time」(以下、「JIT」)です。JITの考え方は「必要なものを、必要なだけ、必要なときに作り、在庫を持たないように生産工程を管理する」ものです。研修員はこのJITの考え方を理解するために、2日間に渡る講義や演習に取り組みました。

研修員はJITの概要の説明を受けた上で、様々な生産方法を試してみて、JITの考えを実践した生産方法が他の生産方法とどのように違うかを、シミュレーションを通じて体験しました。

具体的にはボルト、ワッシャー、ナットの3つの構成部品を使い製品を組み立てる作業を生産作業としてシミュレーションを行いました。14名の研修員が2グループに分かれて、2つの生産ラインを作り、夫々のグループで各研修員が工場側(各生産工程を担当する研修員)と顧客に分かれます。「工場側」ではボルトにナットを回し入れる工程、更に複数のナットとワッシャーを回し入れる工程、ナットとナットの間隔を測定する工程に分かれて作業を行いますが、生産工程には監督を担当する研修員もいます。研修員は初めての作業に戸惑いながらも、熱心に取り組んでいました。シミュレーション開始前には、上手に行えるように練習をする研修員もいて、何とか迅速かつ、正確に作業を行いたい気持ちが伝わってきました。一番始めの工程の作業量が多くて大変そうでしたが、担当した研修員は手早く製品を組み立てる為に出来る限り早くナットを回して頑張っていました。

一つの生産方法を使ってシミュレーションを行った後には、その方法について検証をして、改善点を見つけ、次の生産方法を試しました。このように研修員はJITの利点を体験するだけでなく、改善作業も同時に体験することができました。
また、演習中に研修員は疑問を残さないように、活発な質疑応答を行い、研修員の真剣さが伺えました。
研修員からは「JITの考え方を実際に体験することで、より深く理解できた」「JITの考え方を短時間で効率的に理解できた」「多くの在庫を持つことの問題点が理解できた」等の意見がありました。

「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」とは

この計画は国際社会の平和及び安全、経済問題、気候変動、核軍縮・不拡散、経済成長の推進等の地球規模の課題に対処するための「戦略的グローバル・パートナーシップ」強化に向けた若手人材育成を目的に、日本・メキシコ双方の学生・技術者を対象に研修・研究を積む機会を提供するものとして、1971年から開始された両国の交流プログラム「日墨交流計画」を課題解決のために発展させた事業です。