日本語研修を終えたメキシコ人研修員のその後(2)

2018年7月10日

改善案を思案中

2018年3月5日に来日した「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」に参加しているメキシコ人研修員は、日本語研修を受講した後、5月7日から北陸、中部、近畿地方に分かれて各専門分野の研修を開始しました。その中でJICA中部に残り、製品の品質管理や生産性の向上をテーマとした研修に参加している14名のメキシコ人研修員について紹介します。
この14名が参加する「全社的品質管理・生産性向上」研修は、JICA中部が一般社団法人中部産業連盟(名古屋市)(以下、「中産連」)に研修実施を委託して5月7日から9月14日まで実施しているものです。研修中は講義、演習、実習、見学等を通して、製品の品質管理や生産性を向上させるための方法について学んでいます。

「標準作業の作り方と運用」実習

自分で計算等を行い知識の定着を図ります

今回は中産連で実施した「標準作業(以下「SW」)の作り方と運用」という実習を紹介します。
安定した品質の製品を効率良く生産するには、必要な作業を決められた順序、手順で、決められた時間で行うことが求められます。これらの「決まり」が記載されているのがSWです。SWは、ある製品の作り方におけるルールを明確化でき、その作り方を改善する際に活用できるツールとしての役割があります。また生産工程内のボトルネック(能力が劣っている作業)を見つけ出すツールとしても活用できます。今回の実習では、このSWの作り方とその運用方法について、演習も含め3日間に渡り学びました。

模擬生産ラインを利用して生産の順序の違いを理解しました

まず講義においてSWのメリット、重要な点、作成する際の注意点を理解し、次に演習を行いました。SWの運用においては以下のような順序で行われます。作業工程の観察⇒標準作業表を作成⇒改善案の検討⇒改善版標準作業表の作成⇒現場作業員に指導⇒実際に生産。標準作業表の各段階では計算演習を行い、実際に研修員が手を動かす機会を得ることで、知識の定着が図られました。

みんなで改善案を探りました

今回の実習では3つのグループに分かれて様々な演習を行いましたが、各研修員が役割を持って演習に取り組みました。研修会場に設置された模擬生産ラインを活用して改善案の抽出を担当したり、机上で現場作業員の最も効率的な動線を模索したりしました。各グループが熱心に演習に取り組み、講義で得た知識を実際の作業と結び付け理解しようと努める姿が印象的でした。

「こんな改善案はどうかな?」

演習中に研修員は疑問を残さないように、活発な質疑応答を行い、研修員の真剣さが伺えました。
研修員からは「新しい知識で参考になった」「この研修内容は2週間後の現場実習で利用する予定のツールなので、実際に利用することを楽しみにしている」等の意見がありました。一方、今回の実習で利用した表に時間軸の表記がありました。研修員は普段、上から下への垂直方向に時間経過を記載するのですが、日本では左から右の水平方向に時間経過を記載することに戸惑ったことを教えてくれました。同じ作業でも日本とメキシコでは色々な違いがあります。その違いに戸惑いながらも、柔軟に対応し、知識や経験を学ぼうと熱心に取り組む研修員。彼らのその姿勢は、今後の研修で様々なことを学ぶ上でも役立つことでしょう。

「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」とは

この計画は国際社会の平和及び安全、経済問題、気候変動、核軍縮・不拡散、経済成長の推進等の地球規模の課題に対処するための「戦略的グローバル・パートナーシップ」強化に向けた若手人材育成を目的に、日本・メキシコ双方の学生・技術者を対象に研修・研究を積む機会を提供するものとして、1971年から開始された両国の交流プログラム「日墨交流計画」を課題解決のために発展させた事業です。