日本での経験を母国エジプトの発展へ -長期研修員へのインタビュー(エジプト編)-

2018年11月16日

はじめに、自己紹介をお願いします。

私の名前はワリード・マーロウスです。四大文明の一つ、エジプト文明が興ったエジプトの出身です。エジプトではEgyptian Airports Company (EAC)に勤務していました。そこでの主な職務内容は、エジプトの空港における野生生物管理計画策定と、空港およびその周辺での環境保護及び持続可能な規制を遵守することです。

三重大学での研究内容について教えて下さい。

【修士論文発表会の様子】

ABEイニシアティブプログラムの2期生として2015年に来日、三重大学大学院生物資源学研究科に入学しました。三重大学は非常に歴史があり、生物資源学の研究において有名な大学です。
三重大学では、グリーンエアポート構想に寄与する微細藻類のバイオ燃料生産と排水浄化の利用性に関する研究を行いました。
三重大学での研究生活は大変有意義なものでした。優秀な教授陣は常に協力的であり、学生の可能性を最大限に引き出そうと努力して下さいました。また、充実した研究施設や設備を使用することができ、満足できる研究を行うことができました。時には日本語が分からなくて困ることもありましたが、その度に日本学生の友人達に助けられました。親切な彼らには本当に感謝しています。
他にも、ポスターセッションや学会に参加する機会も与えていただき、中でも2016年12月に参加したシンポジウムでのポスター発表は、最優秀ポスター賞を獲得することができました。

ユーグレナ社でのインターンシップでの活動内容について教えてください。

【ユーグレナ社でのインターンシップの様子】

2018年4月から9月末まで、ABEイニシアティブの制度を利用し、三重県多気町にある株式会社ユーグレナ藻類エネルギー研究所(以下:ユーグレナ社)にてインターンシップを行いました。
ユーグレナ社では、ユーグレナ、いわゆるミドリムシを中心とした微細藻類の研究、開発、生産及び販売を行っています。ミドリムシは、自身の葉緑体で光合成ができる単細胞生物であり、その有効利用のために徹底した研究が、ここユーグレナ社で行われているのです。また、それだけではなく、ミドリムシの特性を活かして食料問題や環境問題解決にも取り組んでいます。
私はここで、ユーグレナ社の生産性向上のために実用的で生産的な新しいアイデアを生み出すという目的のもと、みなさんにサポートをいただき、ミドリムシの研究を中心としたインターンシップを行いました。

日本で得た知識や経験を今後どのように活かしていきたいですか?

研究を通じて環境保護に関する知識を深めることができました。環境保護や環境資源保全は、MDGs(※1)やSDGs(※2)でも目標として取り上げられている通り世界的に取り組まなければならない課題であり、大変重要な知識や経験を得られたと思います。
また、知識だけでなく、日本での生活から時間管理の大切さや、規則に従うことの大切さも学びました。日
本での経験のおかげで、私はより思慮深く、謙虚で時間をきちんと管理できる人間に成長できたと思います。
帰国後は復職を予定していますが、エジプトの経済や文化等の発展に貢献できるよう、日本で経験した研究及びインターンシップの経験を伝えていきたいです。
※1 MDGs:ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)
※2 SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)

日本での生活で印象的だったことは何ですか?

【研究室の皆さんと】

日本とエジプトは文化背景が大きく異なることから、印象的なことは本当にたくさんありました。この3年間の生活で特に印象的だった点を取り上げてお伝えしたいと思います。
(1)思いやりある日本人
日本人の生活はコミュニティが中心であり、また家族のつながりが深いと感じています。また、日本人は謙虚であり高齢者を尊重しています。私はイスラム教徒であり、イスラム教にも同じマナーがあるので、大変共感できる部分です。
(2)食品の品質と安全性
エジプトでは、高品質な食事とサービスを受けるためには高級レストランを探して高いお金を支払わなければなりませんが、日本では、小さなレストランでも低価格で高品質な食事とサービスを提供しています。
(3)低犯罪
(4)生活に必要な4つのキーワード
私は以下の4つのフレーズを使い分け、なんとか日本の生活をやり抜くことができました。
1.すみません・ごめんなさい
2.ありがとう・ありがとうございます
3.ください・お願いします
4.おはようございます・こんにちは・こんばんは
(5)公共交通機関
電車を初めとした公共交通機関は時間通りに正確に運行しているので、事前に予定を計画することができます。車内は静かで清潔であり、乗客にもマナーが求められます。
(6)医療サービス
日本の医師は人々を助けたいという思いから常に最善を尽くしてくれます。
(7)清潔なトイレ
奇妙なことと思うかもしれませんが、日本のトイレは清潔なだけでなく、常に便座が温かいことに驚きました。
(8)防災対策
日本では常に災害対策や復興に力を注いでいます。

何よりも、私は日本での生活から熱心に働くことや他人を思いやることを学びました。故郷を離れ、遠い日本へ行くことはとても決意のいることでしたが、今では最善の選択だったと思います。

日本の皆さんに一言お願いします。

私が皆さんにお伝えしたいことは、何事に対しても恥ずかしがらないでほしいということです。日本人は大変恥ずかしがりやですが、一度親しくなると心を開いてくれることを知っています。外国人の中には、私のように恥ずかしがりやの人もいるので、そのような外国人とコミュニケーションを取るために、どうか恥ずかしがらず積極的にコミュニケーションを取ってみてください。人生は一度きりなのですから。
最後に、Ali Ibn Abi Talib(※3)の言葉をご紹介したいと思います。イスラムの教えは私の人生にとって非常に意味のあるものであり、規律となるものです。この言葉を心に留めていただけたら幸いです。
「人生は2つの時から成る。1つは順調な時、もう1つは逆境である時。順調な時は決してうぬぼれたり無謀な行動をとったりしてはならない。そして、逆境である時は我慢し続けなくてはならない。どちらもあなたに対する試練なのです。」
※3 Ali Ibn Abi Talib:イスラム教の第4代正統カリフ(指導者)