メキシコ研修員30名が日本語研修を修了!-日墨・日本語研修のご報告-

2019年5月21日

2019年4月1日から5月10日までの約1ヵ月半、メキシコからの研修員が日本語を学びました。

1971年、メキシコ(墨国)・日本、両国間の相互理解と友好親善を増進することを目的として「日墨交流計画」がスタートし、2010年以降は「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」として、両国のニーズを反映させた研修を実施しています。
JICA中部では、第47回となる今年度のコースで30名の研修員を受け入れました。本コースは来日前にメキシコで約2ヵ月間、日本で約1ヵ月半の日本語研修を行い、修了後は専門分野ごとに分かれて、日本各地で技術研修を行います。JICA中部で実施した約1か月半の日本語研修の様子をご報告いたします。

日本語クラスでの取り組み

有松の魅力をプレゼンテーション

桜・松・竹・梅の4クラスに分かれて日本語を学びました。それぞれとても個性豊かなクラスとなりました。どのクラスもチームワークは抜群で、分からない部分があれば研修員同士で助け合い、一生懸命学ぶ姿が印象的でした。
さらに、日本語上達にはテキストでの勉強だけでなく、実践的な練習が効果的ということで、電話・メールでのやりとり、インタビュー、会話練習、作文発表、メキシコを紹介するプレゼンテーションなど様々な実践練習を行いました。「日本語がきちんと伝わった時、本当に嬉しかった。」「自分の発表についてたくさん質問をしてくれて嬉しかった。」「日本語は難しいけど、もっと日本人と話せるようになりたい。」と研修員の自信と意欲に繋がる、有益な学習方法だったようです。

課外授業(施設・地域訪問、広島平和研修)

工夫を凝らした有松マップ

週に一度、地域や施設を訪問する課外授業として、名古屋市港防災センター、大須、有松を訪れました。
有松では、地元の方々にお話を伺ったり、各所の歴史や伝統、生活の様子を感じながら探索したりと、有意義な時間を過ごせたようでした。課外授業の後には、クラスごとに、有松を紹介する有松マップを作成しました。丁寧に書かれた日本語、手書きの地図やイラスト、写真も添えられており、研修員ならではの視点から見た、有松の魅力が詰まったマップとなりました。
広島では世界で唯一原爆が投下された国として、歴史や被害の様子を理解しました。平和公園を散策すると当時の悲惨さは感じられなかったでしょうが、原爆資料館の見学後の研修員の様子はかなり深刻そうで、被害の甚大さや平和の尊さを痛感した様子でした。
課外授業では、様々な日本を体験するとともに、そこで出会った日本人との会話を通して生きた日本語を学ぶことができました。

日本語スピーチ発表会

一生懸命スピーチしました

チームワーク抜群!

日本語研修の最終日。これまでの日本語学習の集大成として実施した「日本語スピーチ発表会」では、研修員一人一人が自由にテーマを設定し、日本語でスピーチを行いました。
テーマは、日本各地での思い出、メキシコの街・文化の紹介、日本とメキシコの違い、相撲、親切な日本人、曖昧な日本語、など様々。研修員たちは、これまでしっかりと学んできたことが分かる、見事なスピーチを披露してくれました。
また、自分の発表だけでなく、仲間の発表を見守り応援する様子からは、研修員同士のチームワークの良さを改めて感じることができました。
この、共に助け合いながら、いつも笑顔で前向きに取り組む姿勢は、これからの日本での研修生活の助けになってくれると思います。
これからも、より多くの日本人と交流し、日本語の勉強を続けていってほしいと思います。

30名の新たなスタート -ご協力いただいた皆様、ありがとうございました-

写真も使って詳しく説明

松クラス、みんなでウェーブ!

閉講式、最後にみんなで撮影!

現在、日本語研修を修了した研修員は、専門知識・技術を習得するために、各技術研修コースに分かれて、以下の専門分野・研修実施先のもと、約3ヵ月半から7ヵ月間にわたる研修を開始しています。
彼らが今後の研修でより多くの知識・経験を得て、それを日本とメキシコの相互の発展・理解へと繋げ、日本とメキシコの架け橋になってくれることを期待しております。

<中部地域>
「全社的品質管理・生産性向上」11名 ・・・愛知工研協会
「電子回路・計測制御」3名・・・豊橋技術科学大学
<北陸地域>
「予防医学」1名・・・金沢大学
<関西地域>
「日本のデザインと伝統技術」3名・・・京都工芸繊維大学
「知的財産権」3名・・・大阪工業大学
「情報科学・エンジニアリング」3名・・・立命館大学(草津)
<中国地域>
「ベンチャー創出とイノベーション・エコシステムの構築」6名・・・広島大学

※「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」について
国際社会の平和及び安全、経済問題、気候変動、核軍縮・不拡散、経済成長の推進等の地球規模の課題に対処するための「戦略的グローバル・パートナーシップ」強化に向けた若手人材育成を目的に、日本・メキシコ双方の学生・技術者を対象に研修・研究を積む機会を提供するものとして、1971年から開始された両国の交流プログラム「日墨交流計画」を課題解決のために発展させたもの。