グローバルカレッジ2019 大学生国際協力合宿に参加した大学生インターンの感想

2019年9月24日

8月27日、28日にJICA中部で「グローバルカレッジ2019 大学生国際協力合宿 」を開催しました。グローバルカレッジには、中部地域をはじめ、関西や北陸など様々な地域の大学から国際協力に関心のある学部生が参加し、終始活発な意見交換が行われました。今年度のプログラムは、「知る」「考える」「深める」「動く」をテーマとし、参加者自身が主体となるワークショップを中心に様々な手法で進行しました。今回、JICA中部で2週間のインターン実習を行った学生に、参加した感想を書いてもらいました。

グローバルカレッジ2019

グローバルカレッジ2019は性別、年齢、大学、学部などの垣根を越えた、「国際協力」という1つのテーマに情熱をもって取り組む学生が集まる場所として開かれました。2日間の合宿を通し、SDGsや世界の課題について知見を深め、開発途上国の課題を解決するための具体的手段をグループワークで考え、成果発表としてプレゼンテーションを行いました。また、私たちのキャリアについて考える場として、JICAの職員の方々との座談会を行い、将来、私たちがどのようにして国際協力に関わっていけるのかを考える良いきっかけになりました。

国際協力人材に必要なこと

世界の課題を知ろう

2日間の合宿を通して、「知る→気づく→行動する」が国際協力において重要だということを感じました。支援する国の現状を知らずに行動しても、それが彼らにとって最善であるとは限らないからです。合宿中には、実際に知り、気づく機会が多くありました。例えば、異なるアクターの視点から、エチオピアの教育と保健分野の課題解決のためのプロジェクトを考える国造りワークショップ(グループワーク)です。グループ毎に役割が割り当てられ、エチオピアの現状課題を知った上で、具体的なプロジェクトを考案し発表しました。グループでの話し合いや、職員の方によるプロジェクトに対する専門性の高いフィードバックから、国際協力において、今の自分に足りないものに気づくことができました。合宿中には、「行動する」を実践する機会はありませんでしたが、将来、国際協力人材になれるかどうかは自分の行動力にかかっています。合宿での気づきを基に何か行動を起こさなければ、何も考えないことと同じになってしまうと思います。合宿参加は、国際協力のスタートラインに立ったに過ぎません。知って気づいた後に、どのように行動するのかが大切なのではないでしょうか。(名古屋市立大学 大野愛希)

国際協力の現在

「国際協力への関わり方は一つではない。」今回のグローバルカレッジでのワークショップを経て私はこのことを痛感しました。ワークショップでの課題は、JICA・企業・NGOという異なる3つの組織をグループ毎に割り当て、開発途上国の抱える問題をそれぞれの立場から解決するというものでした。問題の解決には自分たちに割り当てられた組織の力だけでは足りず、他の組織の協力が必要となることがあります。そこで自分たちの組織に何が足りていなくて、どのような組織の力を借りなければならないのか、ということを考えなければならないのですがこれが大変難しく、実際に開発途上国で国際協力事業に取り組んでいる人々の苦労を垣間見る瞬間となりました。
2015年9月に国連で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以降、JICAのような国際協力を仕事とする公的機関だけでなく、利益の創出を第一とする企業も国際協力に積極的な姿勢を見せるようになってきています。世界中の様々な組織や人々が一体になって国際協力に取り組んでいる時代において、自分はどの立場に立ちそしてどのように国際協力に関わっていくべきなのか。これについて深く考えさせられました。(名古屋大学 玉崎寛太)

自ら情報を手に入れる大切さ

異なる立場から支援プロジェクトを考えます

エチオピアの教育又は保健について考え、改善のための具体例を発表するグループワークを行いました。私たちのグループの役割はNGOで、どのように教育改善を行うのかについて考えました。具体例を出す前にまず、エチオピアの現状について調べ、課題を洗い出しました。それにより様々な問題が挙げられたのですが、一番衝撃を受けたのは、エチオピアの15歳以上の識字率が2004年時点で41.5%だということです。(ユネスコ統計2004年)親世代がこの数字なので、子供世代もそれほど識字率が高くないでしょう。文字が読めない状況下で、教育を受けるということは想像もつかないほど難しく、大変苦痛であるに違いありません。もし私が今回のグローバルカレッジに参加しなければこの問題について知ることはなかったかもしれません。私自身が外国語学部であるということもあり、世界の現状について普通の人よりは知識があるのではないかと思っていたのですが、自分で調べていくと、実際は何も分かっておらず、まだまだ知らないことだらけでした。世界で起きている問題を漠然と捉えるのではなく、どのような問題が、何故おきているのか、その問題を解決するためにどのような課題があるのかをきちんと知らなければなりません。周りから流れてきた情報を得て満足するのでなく、これからは自ら積極的に新しい詳細な情報を取りに行こうと思いました。(愛知県立大学 増井綾音)

国際協力と働くこと

国際協力のキャリア形成の方法はいくつもあります

今回のグローバルカレッジに参加して、国際協力への理解が深まったのみならず、自分自身のキャリアについて改めて考える有益な時間を過ごすことができました。
ワークショップでは、グループごとに与えられたテーマに沿ってエチオピアでの新しいプロジェクトを考えました。プロジェクトを考案する際には、事業の規模、対象、資金、収益性など様々な観点から検討していくことが必要です。限られた時間の中で案を出し合い、これらを具現化していくことは非常に難しかったです。また、企業の場合には事業を継続していくにあたり、収益を生み出すことが求められます。その点、途上国支援とビジネスを掛け合わせた事業を展開していく難しさもワークショップを通じて実感することができました。
JICA職員の方々による座談会では、多様な経験を積んでこられた方々からキャリアについてのお話を聞くことができました。海外ボランティアや国際機関でのインターンなど、国際協力に携わる方法や働き方は本当に様々であるとわかり視野が広がりました。今はまだ、将来のビジョンに迷いがありますが、多くの経験を積んで、自分はどうなりたいのかを徐々に明確にしていきたいと思いました。「意思さえあれば何でもできる」、若い今のうちにしかできないことや興味があることにどんどん挑戦し経験を積んで、自分自身の可能性を広げていきたいです。(名古屋大学 高林佳音)

同じ志を持つ仲間達

10年後宣言。どんな国際協力人材になっているか楽しみです!

JICA中部に集まった出身大学・学年・学部も違う学生が一堂に会し、国際協力について考える2日間を共に過ごしました。2015年9月に国際連合で採択された、世界中の国々が一丸となって取り組む17のゴール「持続可能な開発目標(SDGs)」について学び、これらのゴールは世界の国々が取り組まなければいけないゴールであると同時に、世界中に住むすべての人々の個人的な問題でもあるということを強く認識しました。また講演会やJICA職員との座談会では、職員の方々の経験談を聴くことができました。それらを通して、自身のキャリアをどのように国際協力に結びつけることができるのかについて再考し、自分自身の将来像を少しでも明確にすることができたように感じます。2日間を通して、「途上国でインフラ整備をしたい」、「途上国で大使館勤務をしたい」などの様々な目標を掲げる人たちに出会いました。今回参加したすべての人が同じものを学び、同じ目標を設定していないのにもかかわらず、確かに同じ志を持っていると感じました。それは、世界で苦しんでいる人、困っている人を助けたい、生活をよりよくしたいと強く願う気持ちです。この気持ちを基にこれから私たちは無数に枝分かれしている国際協力への道へとそれぞれ進んでいくのだと思います。そして、同じ志を持つ者として多種多様なフィールドにおいて活躍し、別々になった個々の力がいつか大きな力となり、国際協力に大きく貢献していくのではないでしょうか。(名城大学 島田祥之介)