【実施報告】2012年度 高校生国際協力体験プログラム〈春〉

テーマ:国際協力について考える

2013年3月29日

夏の陣に続いて開催した春の陣にも、中国地方の5県8校から高校生30名が参加しました。国際協力や海外について興味や関心を持つ生徒達に、JICA中国での2日間にわたる多彩なプログラムは、どんな学びや成果を残すことができたのでしょうか。柱となった3つのプログラムを中心にご報告します。

貿易ゲームにより世界の国の現状を疑似体験

1日目はスタッフや参加者の自己紹介が和やかな雰囲気のうちに終わると、学校の枠を超えた6つのチームを作り、さっそくワークショップ「貿易ゲーム(注1)」にチャレンジしました。

このゲームでは各チームを国家に見立て、それぞれの国に予め与えられた資源 〜(1)紙(=天然資源)、(2)お金(=国家予算)、(3)ハサミ、定規、鉛筆、コンパス等の文房具(=国の技術力)〜 を使い、指定されたサイズの丸や三角、四角の紙製品(工業製品)をたくさん作り出すことで、いかにお金を増やしていくかを競います。場合によっては他国と貿易をしながら自分の国にない紙や文房具を手に入れる交渉も必要になってきます。
たまったお金は、それぞれのチームのメンバー同士が自分たちの国をどのような国にしたいか相談しながら「食料」や「家」、「電気・ガス・水道等のライフライン」、「教育制度・学校」、「医療・福祉」、「軍隊・兵器」などのカードと交換し、理想とする国を築いていきます。ただしそれぞれの国家に与えられた資源には差があり、いくら工夫して頑張っても天然資源やお金、技術力のない国はお金を増やすことが容易ではありません。こうした体験を通じて生徒達はよりリアルに理想とする国を創れない壁があることを学んだり、国家間にある埋めがたい「格差」や「不平等」を実感することになります。

ゲームのあとには振り返りの時間を設け、開発途上国が抱えるさまざまな問題やその背景に思いを巡らせたり、先進国と開発途上国の「格差」や「不公平」を解消するためにはどうすればいいのかについて考えたりしました。生徒達からは「資源や技術のない国が理想的な国を創るのは大変困難なことが理解できた」とか、「限られた予算の中で、国づくりに何を優先するのかを考えるのは難しい」などの声を聞くことができました。

(注1)貿易ゲームとは…「貿易」を中心にした世界経済の動きを疑似体験することによって、そこから浮かびあがるさまざまな問題について学び、その解決の道を探り、考えることを目的としたシミュレーションゲームです。(開発教育協会ホームページ/http://www.dear.or.jp/book/book01_tg.htmlより)

キルギスのJICA事務所とTV会議

続いて国際協力の実態について知ってもらうために、JICAの事業内容や職員の1日を紹介し、青年海外協力隊の経験者には、トンガでの活動の様子をスライドを交えつつ語ってもらいました。

国際協力に対する生徒達の知識や理解が深まったところで、キルギス共和国のJICA事務所とのテレビ会議です。中央アジアに位置するキルギスとのテレビ電話を通してのライヴトークは、もちろん誰もが初めての体験。画面に映し出された当地の青年海外協力隊員2人が語る異国での活動報告や珍しいエピソードの数々に、生徒達は興味津々の面持ちで熱心に耳を傾けていました。

質問の時間に移ると、「キルギスの魅力はどこにありますか?」にはじまり、「キルギスと日本、それぞれの国の良いところと悪いところ」を尋ねたり、「何を勉強すれば将来役に立ちますか?」など、旺盛な好奇心のままにたくさんの生徒から積極的に質問や疑問が投げかけられました。青年海外協力隊員からも生徒達へ熱い思いを込めた激励のメッセージが贈られるなど、トークセッションも盛りあがりを見せました。

キルギス料理を味わったあとは懇親会へ

【画像】密度の濃い充実したプログラムを終えたあとは、夕食と懇親会のはじまりです。お待ちかねの夕食のメニューは、本日のプログラムを通じてすっかり親近感のわいてきた、キルギスの郷土料理。「ボルシチ」や「ラグマン(肉うどん)」などをビュッフェスタイルで堪能しました。

食事のあとは、親睦会へ。きょう初めて出会ってまだ7時間余りながら、共にワークショップに取り組んだ生徒達は、もうすっかりと打ち解けた様子で、ゲームに楽しい時間を過ごしました。

なりきり青年海外協力隊として活動に挑戦

【画像】2日目は朝礼から1日がはじまりました。キルギス国歌の斉唱に続き国旗に敬意を表したあとは、ラジオ体操です。青年海外協力隊として海外に派遣される前は、国内の訓練所で2か月間訓練を受けることになりますが、毎日朝礼時にはラジオ体操を行います。体を思い切り動かすことで気合いを入れ、元気に1日を過ごそうとの狙いがあり、高校生の皆さんにも体験してもらいました。

続いてはいよいよ本日のメインプログラム、「なりきり青年海外協力隊」です。その名の通り、生徒達には青年海外協力隊員になりきり、開発途上国に対してどんな活動をすればその国の発展に貢献できるかを実際に考え、提案してもらいます。今回の相手国は、初日に学びを得たキルギスです。キルギス国内の5つの村の現状が報告された後、その情報を基に各チームで地域の産業を持続的に発展させ、村をより良くするための課題の発見や分析を行い、それぞれが意見を出したりまとめたりしながらチーム一体となって活動計画表を作成します。

活動計画表ができたら、次は発表です。生徒全員に発表の場を与えることで、自分の意見や考えを人に伝えることの大切さを学んでもらいました。また、各チームの発表を聞くことでいろんな考えや活動の形があることを知ったり、意見交換や議論を通じて人との接し方なども学びました。「人前で発表するのは緊張するし、どうやって発表すれば聞く人にきちんと伝わるのか考えさせられた」という感想もありましたが、身振り手振りも交えながら一生懸命相手に話す姿勢が印象的でした。ちなみに活動計画の内容や計画表にはそれぞれのチームの個性が現れ、私達を感心させるアイデアを持ったものもたくさんありました。

フィナーレと参加者の声

2日間にわたるプログラムは、修了証の授与と全員の感想発表、そして記念撮影で幕を閉じました。

感想を発表する際は、各自この2日間の体験を漢字1文字で表現するという趣向もありましたが、「楽」や「笑」を書いた生徒が複数いるなど、「新しい出会いや体験、発見がいろいろあり、楽しく学べた」という声をたくさんいただきました。また引率の先生方からも「この2日間で生徒達がたくましく成長できたことを実感した」、「学校では学ぶことのできない貴重な体験ができ、視野が大きく広がったと思う」などの意見をいただくことができました。