【実施報告】2012年度 第2回 国際理解教育研修会

2013年2月13日

  • 日時:2013年1月26日(土) 10:00〜17:00
  • 会場:JICA中国国際センター(東広島市・ひろしま国際プラザ内)
  • 参加者:38名
  • テーマ:「本当に伝えたいことを子どもたちにどうに伝えるか」

【内容】

第1部
「本当に伝えたいことを子どもたちにどうに伝えるか」
講師:舟之川 聖子氏(株式会社エンパブリック根津スタジオ)
第2部
「実践のコツを学ぶ!ワークショップ体験−体育の授業で『貿易ゲーム』を実践!」
講師:北原 和明氏(岡山大学教育学部附属小学校教員)
「実践のコツを学ぶ!ワークショップ体験−『チョコレートでつながる私と世界』」
講師:森木 由加里(鳥取県JICAデスク)

第1部 「本当に伝えたいことを子どもたちにどうに伝えるか」

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講師:
舟之川 聖子 氏(株式会社エンパブリック根津スタジオ)

講師に舟之川 聖子様を招いて、同日10時半から3時間、教員や教員を目指す学生、そして国際理解・異文化理解教育に興味をお持ちの方などが参加されて、「本当に伝えたいことをいかに伝えるか」をテーマにした研修会を開催しました。授業を参加型にするために、目的や期待する成果を整理した上で、「教える」といった教師の立場から「自ら学ぼうとさせる」ファシリテーターの立場への段階変化が重要であると説明されました。

そこで早速、ファシリテーターの役割がいかに重要かということを実際に体験するべく参加型の授業を展開されました。「貿易という言葉から何を思い浮かべるか」についてディスカッションし、気づきをグループ内で共有しました。そして、「グロバール時代において、日本や地域のこれからのために、私たちにできることは」というテーマで話し合いをさらに深め、短時間でも参加型手法を用いれば話し合いを深められることや、気づきを引き出すには問いかけが効果的だと実感されているようでした。その後、異なる視点や考え方を参加者間で共有しながら議論を深めていく、「ワールドカフェ(注1)」という手法を使い、意見を共有しました。

最後に、ワークショップの基本構造やワークショップを取り入れたプログラムの作成ポイントについて講義を受けた上で、参加者自身が実際にどのようなプログラムをつくりたいか考え、発表しました。

参加者からは、「本当に伝えたいことを伝えるためには、楽しい体験だけで終わらないように、ふりかえりの時間を設けることが重要であると感じた」ことや、「いかにして相手に気づきを与えるかを念頭に参加型授業を構成していきたい」といった感想をいただき、今後、国際理解教育の実践をさらに深めていただけるのではと期待しております。

(注1)ワールドカフェとは…4〜5人のグループに分かれ、それぞれのテーブルに置かれた模造紙に自由にメモをとりながら、20分程度の話し合いを行います。その後、メンバーを変えて同じテーマで話し合いをします。これを3回程行うことで、様々なアイデアを共有することを目的としています。カフェで話すようなリラックスした雰囲気の中で創造的にアイデアを出す手法です。

第2部 実践のコツを学ぶ!ワークショップ体験 

岡山大学教育学部附属小学校教員の北原 和明様を招いての「体育の授業で『貿易ゲーム』を実践!」と鳥取県JICAデスクの森木 由加里による「チョコレートでつながる私と世界」のどちらか1つを選んで、ワークショップを受けていただきました。

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【1】体育の授業で「貿易ゲーム(注2)」を実践!
講師:北原 和明氏(岡山大学教育学部附属小学校教員)

(注2)貿易ゲームとは…紙(資源)や道具(技術)を不平等に与えられた複数のグループ(国家)の間で、できるだけ多くの富を築くことを競い、世界の貿易を疑似体験することで不均衡な世界の貿易システムやこれからの国際協力のあり方を考えるワークショップ

このワークショップでは、「体育で貿易ゲーム?」と不思議に思われた参加者も多くいらしたようです。体育の授業で国際理解教育についてどのように取り組まれているか、小学校4年生の子どもたちに実践した内容をもとに説明されました。

北原氏によると、「授業で通常の貿易ゲームを実践させたところ、グループによって貧富の差が生じ、子どもたちは不公平感を持った。そこで体育の授業で、各グループの人数や使える道具、遊び方など不平等な条件のもと、できるだけたくさん遊び、より楽しくなるにはどうすればよいか考えることを目的にアレンジしたスポーツゲームを実践し、その経験を踏まえ、再度通常の貿易ゲームを実践したところ、各グループの貧富の差は少なくなり、全体的に豊かになるという効果が出た」そうです。
また、「子どもたちは、スポーツゲームの中で、各グループが段々と合流し、人数や道具、遊び方が増えることによって楽しさが増し、楽しくするためには交流が大切であることを学んだようである」とおっしゃっていました。
今回、参加者にもこのような体験をしてもらうために、スポーツゲームを実践されました。ゲームでは、あらかじめ設定された不平等な初期条件のもとで遊び、参加者はグループ間で交流しないときよりも、グループ間で交流し、仲間が広がっていくにつれて楽しさも拡大していく仕組みを実感されていました。

参加者は、貿易ゲームが体育の授業に応用できることに驚き、異なった視点で国際理解学習に取り組んでおられる事に感心されており、今後の国際交流におけるスポーツ交流の可能性、パートナーシップの大切さを理解されたようです。

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【2】チョコレートでつながる私と世界
講師:森木 由加里(鳥取県 JICAデスク)

チョコレートの一人当たりの年間消費量や発祥の地など、意外に知らないチョコレートにまつわる話をクイズ形式で出題し、その問題に参加者自ら答えるアイスブレイクを通して、会場の雰囲気は大いに和んでいました。

その後、カカオから作られるチョコレートを題材にしたワークショップが始まりました。まず、参加者はチョコレートを作るために必要なカカオ豆を生産する農家と、そのカカオ豆を使ってチョコレートを作る業者に分かれました。生産農家と買取業者、それぞれの立場で取引を行うことによって、なぜいくら生産しても農家の暮らしが良くならないのか、なぜ買取業者は非常に低い価格で農家からカカオを買い取ってしまうかなど、チョコレートを取り巻く問題を体験され、自分の立場だけではなく、このように異なる立場で体験し、理解することで、問題解決の糸口を見つけることができると実感されていました。

参加者からは、「チョコレートの話から、結果的にはフェアトレードについても深く考える良い機会になった」、「興味を持ちやすい身近な題材を扱うことで気づきを促しやすくさせ、問題理解につなげる工夫を学べた」という声が聞かれました。

今回、たくさんの皆様にご参加いただき、ありがとうございました。
今回の研修会が国際理解・異文化理解教育の一助となることを願っております。