【実施報告】2013年度 第1回 国際理解教育研修会

2013年7月8日

  • 日時:2013年6月23日(日) 10:00〜16:00
  • 会場:JICA中国国際センター(東広島市・ひろしま国際プラザ内)
  • 参加者:31名
  • テーマ:「自分の生活を見つめ、世界とつながる私たち」

【内容】

[午前の部(講演)]
「教育現場における国際理解教育の実践方法『日本と世界のつながり』」(講演)
講師:神原 一之氏(広島大学附属東雲中学校副校長)
[午後の部(ワークショップ)]
「実践のコツを学ぶ!ワークショップ体験−BAFABAFA(バファバファ)−」
ファシリテーター(進行役):濱長 真紀(広島市JICAデスク)
「全体振り返り」
進行:石倉 さやか(JICA中国市民参加協力調整員)

教育現場における国際理解教育の実践方法『日本と世界のつながり』

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講演の様子

講師:神原 一之氏(広島大学附属東雲中学校 副校長)

「国際理解は、自分理解から始まる。」この言葉から今回の講演は始まりました。
東雲中学校では、校内での国際理解教育活動をはじめ、海外の学校と姉妹校提携を結び、姉妹校訪問や姉妹校生徒の受け入れなど数多く実施され、様々な交流をされています。また、海外との交流をすると同時に、自分理解・自国文化の理解を大切に授業や課外活動を展開されています。
具体的には、神原先生の専門教科である数学において、日本にも「和算」があり、庶民に親しまれるとともに高度な算術を用いる専門家がいたことを当時の算術問題を使って生徒に伝えられる授業をされました。この研修会でも、参加者には「さっさ立て」を紹介していただき、問題の解き方を考えていただきました。
尚、この「和算」の授業は2010年11月6日放送のNHK歴史秘話ヒストリア「ちょんまげクイズ合戦!−江戸の彼氏は数学がお好き−」にも取り上げられました。

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「さっさ立て」を実践

「さっさ立て(佐々立て)」とは?
磁石又はコインを30個用意します。
1人が後ろを向いている間に、別の人が「さっ」と声をかけて、磁石を1個か2個ずつ取ります。取った磁石が1個なら左に、2個なら右に分けます。
これを、磁石がなくなるまで声をかけながら続けます。
後ろを向いている人は、かけ声の数だけで左右に分けられた磁石の数を当てます。
19回「さっ」というかけ声が聞こえました。
さて左右の磁石の数はそれぞれいくつでしょうか?解き方についても考えてみてください。
→ヒント:連立方程式を使いましょう。

東雲中学校の特徴として、ノーチャイム、学年を超えた縦割りクラスター活動(合宿、清掃、レクレーション、体育祭)、月に1回程度生徒自身が材料を調達し、作ったお弁当を持参する『弁当の日』などを実施されています。
実社会ではチャイムが鳴って行動することはありませんし、様々な年齢の人たちと関わって生活します。社会の現実と乖離しない、実社会を意識した学校生活の様子、子どもたちが自主的に行動している様子などお話しいただきました。

神原先生からは、「国際理解は、自分理解から始まります。これは、様々な文脈の中に位置づけられる自分を見つめることです。学校生活の中で、他者との交わりを通じて学ぶことで、他者(ひと・こと)を自分の中に取り込んでいくことです。学校は、そのような学びの『実の場』を提供する場所であり、この提供の仕方は、学校の特徴に応じて考える必要があります。」とのメッセージで講演は締めくくられました。

神原先生ご自身が生き生きと話されている姿に参加者の皆さんも感銘を受けられたご様子で、「まずは所属校の実態に合った活動を展開したい」、「姉妹校提携の方法についてもっと話を伺いたい」などの声をいただきました。

参加者からのメッセージ

  • (海外の学校との姉妹校提携について)フェリーで偶然の出会いから海外の学校とつながったというお話は驚きましたし、そういう風につながりができていくのだと学びました。
  • 学校での取り組みの様子がよくわかりました。「社会にチャイムはない」→ノーチャイムが実施できるようにしたいと思いました。ありがとうございました。
  • 学校での国際交流では、年間を通してたくさんの活動をしており、勉強になりました。特に「実の場」を与える、という言葉が印象的でした。中学校教員として、なかなか総合や道徳の時間に目が行かず、浪費しがちな現状です。自分から機会を作り、「実の場」を子ども達に与えることをすべきだと実感しました。
  • 「国際理解は自己理解」ということに強く納得しました。他の国を知ることで、日本のことを知ることの大切さを今までにも感じていましたが、"自己理解"ということまでは考えていませんでした。
  • (国際理解教育の)実践者やコーディネーター、管理職など様々な、お立場から楽しまれている点に多大な触発をうけました。
  • 数学のスペシャリストとしてのお顔しか知らなかった私にとって、国際理解教育について語る神原先生のお姿はとても新鮮でした。特に「国際理解教育は、自分理解からはじまる」という言葉に感銘を受けました。
  • 子どもたち実社会とつなげていく、取り組みこそ、本当に必要だと思いました。グローバル時代には、自分をよく知り、他者を受容できる人材が必要だと思います。そのためには様々なトレーニングを学校で積んでおく必要があると私は思いました。

実践のコツを学ぶ!ワークショップ体験 『BAFABAFA(バファバファ)』

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BAFABAFA

ファシリテーター(進行役):濱長 真紀(広島市JICAデスク)

今回体験していただいた「BAFABAFA(バファバファ)」は、青年海外協力隊・派遣前訓練研修の一講座、「異文化の理解と適応」として実施しており、途上国へ派遣される前の協力隊員が、ワークショップを通して異文化理解の難しさや理解するための心構えを学んでいます。

BAFABAFA(バファバファ)とは…
2つの異なる文化や行動様式を持つ国を設定し、それぞれの国に属した参加者が交流を通して異文化摩擦を疑似体験します。異文化摩擦を体験し、自分たちの反応を意識することでどうすれば異文化理解につなげられるかを考えるワークショップです。

今回は、以下を目的にこのワークショップを実施しました。

  1. 自己を振り返る
    • 異なる文化に出会った時の、自らの行動様式と異文化に対する自分の態度を知る。
  2. 他者を知る
    • 世界には多様な文化があり、それぞれの土地にはその土地の風土や環境、歴史や宗教などが深く関していることに気づく。
  3. 相互理解への気づきを促す
    • 普段の生活の中で、知らないうちに自分の中で作り上げている「思いこみ」「固定概念」に気づき、自分の中の当り前が、世界の当り前ではない事を知る。
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ワークショップ終了後、「BAFABAFA(バファバファ)」を実際に中学校で実施されたという参加者の方にお話を伺いました。ワークショップ実施に当たり、実施側の情報共有(事前に一度ゲームをして内容を把握すること)をするなどの準備の負担、実施中はワークショップにのめり込んで泣き出す生徒もあり、難しさを感じたとのことでした。
今回ファシリテーターを務めた濱長推進員も振り返りを特に丁寧に実施しました。ワークショップ中の自分たちの行動をしっかりと振り返り、学びを共有すること、個人的な感情のぶつかり合いにならないよう、ファシリテーターが配慮しながら実施することが大切だということでワークショップは終了しました。

参加者からのメッセージ

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全体振り返り

  • いつもワークショップをやった後のシェアリング、難しさを感じています。今日はファシリテーターとしての進行の仕方なども勉強になりました。またWSの紹介など、よろしくお願いします。
  • はじめての場所、はじめての人などと関わり合う時に、素の自分(固まってしまう自分)が出たと思いました。場所や人に合わせる、理解した上で自分を変えなくてはいけないということを強く思いました。ありがとうございました。
  • 難しい課題ではありましたが、よく理解することが出来ましたし、自己を知る良いきっかけになりました。イベント企画を立ち上げたりしているので、自分でもやってみたいと感じました。
  • バファバファを初めて体験しました。ちょっとつかれましたが…楽しくできました。小学生にはむずかしいかもしれませんが、他者を理解することで、自身を理解するような実践を考えてきたいと思います。
  • 「ん?何のためにするの?」と思っていたワークショップでした、まとめを聞いた後、色々なことを考えるきっかけとなりました。答えはもちろんまだ見えていませんが、これから国際理解教育を進めていく中で、徐々にみいだしていければと思っています。今後ともよろしくお願いします。

ご参加いただきありがとうございました。
次回第2回国際理解教育研修会は10月26日(土)、会場は島根県松江市です!
皆様のご参加、お待ちしています!!

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