JICAボランティアの「原爆展」とは

2004年、広島県出身の青年海外協力隊員4名が、偶然にも一緒に中米・ニカラグアに派遣されたことがきっかけで、第一回JICAボランティアの原爆展が現地で開催されました。

JICAボランティアの原爆展は、派遣中のボランティアの中から有志が集まり開催するものです。協力隊の活動現場は世界中に広がっており、また隊員の活動も、世界の安定と平和に貢献する活動であることから、原爆展の趣旨に賛同するボランティアが多くいます。その結果、ボランティアによる原爆展は着実に世界各国に広まり、現在まで60ヵ国以上で120回以上が開催されてきました。(2015年2月現在)

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広島・長崎両市は、原爆被害の実相を広く伝え、平和意識の高揚を図るため、原爆展の開催や平和学習を実施する世界各地の非営利団体、個人等にポスター及びDVD等映像資料を貸出・提供しています。JICAボランティアによる原爆展は、このような両市の思いに答える活動でもあります。

実施にあたっては、広島・長崎両市の原爆被害に関するポスターやDVDなどを広島平和文化センターから現地に送ります。また、同センターにはJICAの国際協力推進員が1名おり、実施に当たっての相談の窓口となるとともに、ボランティアの派遣前の訓練でも、原爆展の実施方法について講義を行っています。

原爆展の内容は、原爆の理解促進のための展示をしたり、折鶴を折って広島、長崎に送ったり、平和に関するワークショップを行うなど、多岐にわたります。また、開催方法も日本紹介イベントのひとつのブースとして出店した、8月の原爆投下日に合わせて現地で式典を行った、学校隊員が授業のひとつとして実施した…など様々です。

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今では開催する隊員の半数以上は、広島・長崎県以外の出身者です。原爆展を開催するきっかけは「親族に被爆した人がいたから」「幼い頃からの平和教育」「東日本大震災がきっかけ」「ヒロシマ・ナガサキを通して、改めて平和について一緒に考えたい」等、様々な隊員の気持ちから企画されてきました。しかし、自分たちが体験したことのない、痛みや辛さを伝えることはとても難しく、多くの隊員が悩み苦しみ、試行錯誤しながら開催してきました。

JICAボランティアが活動する、開発途上国の多くは、過去に内戦や紛争の歴史を抱えています。大切なことは、その国の歴史に寄り添いながら、ヒロシマ・ナガサキを伝え、お互いの歴史を共有すること。現地の人と同じ生活をし、同じものを食べ、同じ目線で活動するJICAボランティアが伝えるヒロシマ・ナガサキだからこそ、現地の人たちはより身近に感じてくれるのかもしれません。

今後も原爆展は、その国でまた次の世代へ繋がっていくよう願いを込め、これからもJICAボランティアによる原爆展は、引き継がれていくのでしょう。