笑顔でつながる… −JICA中国 平成19年度教師海外研修に参加して−

【画像】教諭 田中 紀子

山口市立大歳小学校
教諭 田中 紀子

私は7月29日から2週間の日程で、西アフリカのガーナへ、中国地方5県12名の先生方と行ってきました。 折しも、今年はガーナ建国50周年。赤・緑・黄のアフリカ色に彩られた数々のデコーレーションと「アクアバ=ようこそ ガーナへ!」のあたたかい言葉に迎えられ、緊張気味だった私たちの心も和みました。

バスを北に走らせると、ブロック塀が続く家並みから一転、泥で塗り固められた壁と、藁をきのこ型に組んだ屋根の風景に変わりました。私たちが8月に帰国後、この北部地域は恵みの雨を通り越して大洪水に見舞われたと聞きました。藁葺きで土塀の家々には、被害が甚大であったのではないかと、心を痛めずにはおれません。

北部滞在中は、教員養成大学、小中一貫校、NGO支援によるシアバター(シアの実からとれるバターで、化粧品等に使用)工場、寄生虫対策に携わる青年海外協力隊員の活動現場、未亡人・孤児支援施設等を見学しました。

中でもギニアワームと呼ばれる寄生虫病に感染した子どもたちの治療の様子は、あまりにも衝撃的でした。泥で汚れた素足から顔をのぞかせているギニアワーム…。長さは10cmくらいあったでしょうか。体内に成虫が入っても痛みやかゆみといった自覚症状がなく死に至らないこと、さらに消毒された透明な水よりも、ミルク色の泥水の方が甘くておいしいと、住民は感じているとのこと。(これは、日本人が、生の魚介類に寄生虫がいると知りながら、美味しいので生で食べるのと同じことだと日本人専門家は言っていました。ー編集追記—)そこで、住民の間には危機意識も低く、予防が進まないのが現状だと青年海外協力隊員の方が嘆いておられました。

その国の発展のための経済的、人的支援は、私たちが常に考えていかなければならないことです。支援の結果、経済が成長することで解決する問題もありますが、その反面、その国に根付いている伝統や文化を否定することにならないかと、この度の研修から帰って考えるようになりました。

帰国後、勤務校の小学生にガーナの水事情について話をしました。日本では水道の蛇口をひねればいつでも使える水だけど、ガーナではとても貴重なものであることに、子どもたちは驚きを隠せなかったようです。私の勤務校の子どもたちとガーナで出会った子どもたちを対象に意識調査をした結果、次のようなことが分かりました。日本の子どもたちにとって大切なものは、ゲーム、パソコン、スポーツ道具など生活をより豊かに楽しむためのモノ、ガーナの子どもたちにとって大切なものとは、食べ物、水、空気、教育など生活の根幹に関わる必須のアイテムなのです。

ガーナでは、どこの視察先でも私たちを乗せたバスが到着すると、たくさんの子どもたちが手をふりながら、満面の笑みを浮かべて近寄ってきます。
“笑顔はもらっているのかな あげているのかな”
私は、ガーナと日本で、たくさんの子どもたちの笑顔に出会い、この笑顔が子どもたちとつながるきっかけとなりました。自分は、子どもたちに笑顔をもらうばかりで、笑顔を返しているのでしょうか…。
自分の目の前にいる子どもたちの笑顔のために、そして世界各地で自分たちの生活を守りながら精一杯生きている子どもたちの笑顔のために、私自身がガーナで見聞きしたことを伝えていきたいと思っています。 そして、子どもたちにいつでも笑顔のお返しができるよう、心の扉を全開にしておきたいです。

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ようこそ、ガーナへ! 出迎えてくれたガーナの子どもたち

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泥の壁と藁の屋根が連なる、ガーナ北部の村

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寄生虫病に感染した患者の治療風景

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精一杯生きているガーナの子どもの笑顔