研修員受入事業を通して

【画像】下田 旭美(しもだ あさみ)

JICA中国 研修業務課
下田 旭美(しもだ あさみ)

2011年5月より、JICA中国にて、研修員受入業務(教育分野)に従事しています。
ここでは、研修員受入業務を通して思うこと、感じたことをお話させて頂きます。

研修員受入について

 JICAは、開発途上国から、主に当該分野の開発の中核を担う人材を研修員として日本に招き、それぞれの国が必要とする知識や技術に関する研修を行う「本邦研修」(国・課題別研修/青年研修など)、相手国や日本以外の第三国で開催する「在外研修」を実施しています。JICA 中国国際センターでは、平成21年度は48のコースを実施し、300人以上の研修員を受け入れました。
 私自身は、これまで4コース、17か国50名の研修員を受け入れました。対象地域は、アジアとアフリカで、主に初中等教育レベルの教育省、教育センターの行政官や指導主事、教員養成校の講師、小中学校の校長先生や教員を対象者としました。上記の研修では、日本の教育概要やシステム等に関する一般的な講義を大学の教授や、教育委員会、教育センターから受けたのち、学校視察、授業参観、体験実習等を行いました。また、研修後半には、研修員一人一人が、「日本で学んだことを帰国後どのように活かしていくのか」をまとめた業務改善計画を作成します。研修員は、世界各国から参加しており、社会的な背景や価値等が異なるため、その計画が具体的で、また、実施可能となるように、日本で現場を直接見て、関係者から話を聞き、課題や工夫点等を話し合い、実際に体験することは、重要であり、研修のカギの一つだと思っています。

ザンビア授業研究支援プロジェクト

 JICA中国に来る前、私はアフリカのザンビアで実施されているJICA技術協力「授業研究支援プロジェクト」で働いていました。このプロジェクトの目標は、ザンビアに存在はしているが、あまり機能していない初等・中等学校教員の校内研修に、日本で誕生した「授業研究」の方法を取り入れ、校内研修の円滑な実施と、質の高い研修の提供を行うことでした。現地では、日々、ザンビア人のカウンターパートと一緒に、州や郡の教育事務所や、学校を回り視察をすると共に、ザンビア色の授業研究にするために、どのような取り組みが必要なのかを考えていました。
 その取り組みの一つとして、日本の研修への、カウンターパートの推薦があり、最終的に、プロジェクト関係者のうち数名を日本へ送り出すことができました。
 研修員がザンビアに帰国すると、通常習得した知見や経験を他のカウンターパートと共有するため、報告会が開催されます。報告会では、日本での学びを説明すると共に、その知識・経験を活かして、ザンビアでどのような活動をするのかが発表されました。実際に、帰国研修員は、日本で学んだ問題解決型のデモ授業を公開授業で実施したり、教育事務所や学校に日本で学んだ仕組みを工夫しながら取り入れたりと、その研修効果を観察することができました。その他にも、日本での生活に刺激され、帰国後は、時間を正確に守ったり、仕事への態度が変わったり、いろいろと工夫をしながら仕事をしたりと専門的知識以外でも、多くを学んできたように感じました。

広い視野で、具体的に学ぶことができる大きな機会

 ザンビアでの経験から、いろいろな条件が異なる研修員にも、日本ならではの経験を研修を通して学ぶことはできると感じています。もちろん、ザンビアでもワークショップや勉強会等で学ぶ機会はあるのですが、JICAの研修は、研修参加者の国の現状と異なる日本で、実際に人と出会い、話し合い、仕組みを体験することで、より広い視野で、より具体的に学ぶことができる機会であると思っています。そして、その機会をより効果的に活かせるように、研修で発信頂く講師の先生方に、研修員の属する社会的背景を分かり易く伝えたりする等の工夫を凝らすことが、担当の役割だと考えています。研修効果をより高いものできるよう、今後奮闘していきたいと思います。

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研修風景

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ザンビア授業研究支援プロジェクト(授業研究の様子)

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研修参加者と一緒に