日本も元気にする青年海外協力隊

【写真】白築 健(しらつき たけし)JICA中国 市民参加協力課
白築 健(しらつき たけし)

2012年3月からJICA中国で、青年海外協力隊をはじめJICAボランティア(注1)の募集・広報の仕事をしています。私自身、今から10年ほど前になりますが、日系社会青年ボランティアとして南米ボリビアで活動した経験があります。ボリビア第2の都市サンタクルスの日本語学校で、日系三世の子どもたちに日本語を教える仕事でした。

青年海外協力隊

2001年、ボリビアで日系三世の子どもたちに日本語を教えていたころの1枚。

さて、1965年に発足した青年海外協力隊の話です。これまで延べ約3万7300人が計88カ国に派遣され、いま現在も2128人が73カ国で活動中です。2012年の今年は、青年海外協力隊の派遣が始まって48年目を迎えます。今はやりの音楽グループの名前を借りれば、「SKK48」といったところでしょうか(笑)。

帰国した協力隊員は、都道府県ごとにOB会をつくり、自主的に活動しているのをご存じでしょうか。OB同士の親睦を図るとともに、帰国報告会を開いたり、地域の国際交流・協力イベントに積極的に参加したりしています。

青年海外協力隊広島県OB会の活動と「ちょっといい話」

ボリビア・サンタクルスの日本語学校で日本語を学ぶ 日系三世の子どもたち。 左後が筆者

タイ料理などを販売した「まちづくり市民交流フェスタ」の広島県OB会ブース。

手前みそになりますが、私が所属します青年海外協力隊広島県OB会(皿海博信会長、386人)の活動と、そこで見かけた「ちょっといい話」を紹介します。

5月19日(土)、20日(日)、広島県OB会は、広島市まちづくり市民交流プラザ(広島市中区)が主催する「まちづくり市民交流フェスタ」に出店し、タイ派遣OBが中心になってタイ料理を販売したり、タンザニアやコスタリカなどのフェアトレード商品(注2)を販売したりしました。
出店の場所は、一方通行の車道に面した交流プラザ玄関前の敷地でした。タイ料理の販売に追われていた初日の午後のことです。停車した乗用車の陰に人が倒れているのを、あるOBが見つけました。駆け寄ったところ、70、80歳代と思われる男性が額から血を流していました。何らかの原因で乗っていた自転車から転倒したようでした。
すぐに、ほかの数人のOBも駆け寄ってきました。自転車の前かごから路上に散乱した手荷物を集め、男性を介抱して安全な歩道に移しました。現場でつかえた車の誘導を行うOBもいました。

だれかに指示されるわけでもなく、だれに頼まれたわけでもないのに、率先して行動する協力隊のOBたち。
後日、交流プラザの館長より、OB会幹部へお礼の電話がありました。

青年海外協力隊のボランティア精神

「世界を元気にした人は、日本も元気にする」。青年海外協力隊のキャッチコピーの1つです。
今回の出来事を通じて、あらためてその意味を確認しました。青年海外協力隊のボランティア精神は、帰国後も一人ひとりの心と体に染みつき、生き続けているのです。

約3万5000人の帰国隊員が、それぞれの職場や地域社会の中で、社会のため、地域のために貢献しています。そうした人々と、そうした人々を生み出す青年海外協力隊事業を、誇りと自信も持って皆さんに伝えていきたいと思います。

(注1)JICAボランティアは、青年海外協力隊、シニア海外ボランティア、日系社会青年ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの総称です。
(注2)公正な取引。開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動。