地方都市でフェアトレードと外国人の生活支援の展開で地域と海外をつなぐ

「中国地方において地方創生で活躍するJICAボランティア調査報告書より」NO.10  ■調査実施:公益社団法人 中国地方総合研究センター

【写真】羽熊 広大 さん広島県広島市 農業
羽熊 広大 さん

【活動の概要】

リース農園運営会社で勤務しつつ、地元の休耕田や里山資源を活用し、栽培した農産物の販売、農園レストランの運営、各種イベントの開催を通じて、吉山地区の活性化を目指す。

【青年海外協力隊での活動】

【画像】食品加工に興味があり大学に入学した。入学した大学には、戦前には農業従事者として海外に移住する者を輩出した伝統があり、また最近は青年海外協力隊に参加するOBも多かった。
大学卒業後は、ワーキングホリデーを利用して、オーストラリアの伯父の元で料理を修業していた。青年会海外協力隊の募集を知り、大学で学んだ知識と農業や食品加工に関する知識を活かしたい、さらに海外での経験をつみたいと考えた。
派遣されたのは中米のグアテマラである。内戦は終了していたが、まだまだ発展途上で治安もあまり良くない状態であった。コーヒーが主生産物の農業国である。首都から6時間の距離にある地方都市で、現地の菓子職人と2人でチームを組み、職業訓練校で農業指導を行った。
日本のハローワークで行うような比較的短期間の2〜3か月の職業訓練やカルチャースクール的な活動を行なっていた。1クラス20人程度で、パンやジャムづくりを指導した。途中からは日本料理を指導してもらいたいとの要望を受けて、うどん、てんぷら、すしづくりを指導した。
当然、食文化も違うので、しょうゆ、みそ、みりんも簡単には手に入らない。食品加工の知識は大学で得ていたが、試行錯誤しながらしょうゆ等を自家製でつくった。

【地域での活動を始めた経緯】

青年海外協力隊の終了後は日本の農業高校で臨時教員も経験したが、主には農業アドバイザーとして海外NGOや海外コンサルタント会社で活動してきた。
作物は品種が違えば当然のことながら、土壌が違っても全く別物になる。一通りの知識は持っていたが実際の農業経験がないため、コンサルタント業に限界を感じ始めていた。やはり場所を確保して自分で作物を生産する必要があると考えた。今は実家にも小さい農園があるし、近隣に畑を借りて、会社の農園とあわせて3か所で野菜等を栽培している。
また子供が生まれ、家族にも日本に落ち着きたい気持ちも出てきて、故郷である広島を拠点にしようと考えた。国内では広島しか考えていなかった。現在の会社が実際に農園を持ち、地域活性化に取り組んでいたことが縁となった。

【現在の取り組みの特徴と効果】

マルシェ出店の様子

地域での米の収穫の様子

吉山地区の里山資源の活用をした地域活性化を目指している。
荒廃していた休耕田を開拓して土づくりに3年をかけて、やっと野菜がつくれるようになった。地元の農家からアドバイスをもらい、道具を借り、まさに協力隊でやってきたことを日本で再現している。
街中の人には、気軽に野菜栽培ができるリース農園を提供している。技術指導料はいただくが、収穫した野菜等は自宅で食べてもらう。
自社農園や地域の農家で栽培した米や野菜を食材とする農園レストランを運営しながら、吉山地区のブランド化、地域の活性化を目指している。
農園レストランの開業から2年半が経過し、また地域の祭や地域清掃活動にも参加し、地元の信頼を得てきた。
この地域の農家も高齢化は進んでいるが、パエリア専用米のパエリコやズッキーニを紹介すると栽培に乗り出す農家があるなど、米以外の新しい作物を生産しようという意欲にあふれている。
生産したバジルを材料として、メーカーとコラボしてドレッシングを生産し、市内のデパートでも販売している。
広島市やJA等と連携して近くに産直市場をつくる準備を進めており、地産地消ならぬ地産地「活」の一助となるよう今後もがんばりたい。

【地域と世界を結ぶ視点】

国によって文化に当然違いがあるので、戸惑うことは多いと思うが、根本である人の営みは海外でも日本でも同じである。
地域活動を円滑に進めるには、コミュニティーに入り、地域の人々と協働しながらコツコツと仕事することが大切であるが、まさにグアテマラでの体験と同じである。
現在、自社農園で作物をつくるに当たっては、農具がそろわないグアテマラで工夫した習慣が役立っている。

【帰国後の地方定住のススメ】

日本の地方、それも里山が面白い。
地方の中小企業には青年海外協力隊の経験や個性を活かせる場所がたくさんあると思う。