環境を守り、未来のために(JICA中国研修員「廃棄物管理総合技術」コースAnfasさん、 元シニア海外ボランテイア隊員 仙波 正さん)

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JICA中国研修員「廃棄物管理総合技術」コース Anfasさん
元シニア海外ボランテイア隊員 仙波 正さん

平成20年5月から8月までの3ヶ月間、JICA中国で実施する研修、「廃棄物管理総合技術」コースに参加しているスリランカのAnfasさんに、研修コースのこと、スリランカのこと、日本人へのメッセージなど、様々な思いを語ってもらいました。

Q:「廃棄物管理総合技術」コースに参加しようとしたきっかけは何ですか?また、このコースに期待することは何でしょうか?

A :スリランカのコロンボ市役所でDistrict Engineer(技術系職員)として働くなかで、同市においてゴミの問題が日増しに深刻になっていると感じており、また市役所もこの問題にどのように取り組めばよいか頭を抱えているように思います。コロンボ市内の北部では、ゴミ捨て場はどんどん膨れ上がり、悪臭被害も生じるほどです。ゴミは排水溝や歩道、道路、運河などのあちらこちらに捨てられ、それにより自然の美しさも損なわれています。

また、コロンボ市内の排水溝はほとんどその能力の限界を超えており、雨が30分も降れば洪水を引き起こすくらいです。他方、私個人としては以前から、家庭レベルにおいて、堆肥を利用してバイオガスを発生させることに関心を持っています。こういった背景の中で、私自身がそれらの諸課題の解決に多少なりとも貢献できればと思い、JICA の研修コースへの応募を決意したのです。

この研修コースでは、日本におけるごみの最小限化、中間処理、環境教育・環境啓発、E.I.A (環境影響評価)に関する技術や手法について学びたいと思っています。また、家庭の台所から出るゴミを利用したメタンガス発生方法についても学べれば幸いです。研修コースで習得する技術や方法論をもって、コロンボ市内の廃棄物問題の解決に寄与したいと思っています

Q:スリランカでの大きな環境問題は何ですか?

A :特に都市部における廃棄物問題や森林破壊による土壌浸食および土砂崩れや洪水(1920年代、スリランカ国内の49パーセントは森林に覆われていましたが、2005年にはそれが29.9パーセントにまで落ち込んでいます)。他には、石灰産業のためのさんご礁発掘による土壌浸食や海の生態系への悪影響も環境問題として挙げられます。水質汚染(固形廃棄物、汚物、化学肥料、殺虫剤、有毒物質などが運河沿いの河川を通じて海に達し、海の生き物へのダメージを引き起こします)や都市部(特にコロンボ市内)における空気汚染も重要な環境問題です。

Q:日本で学んだもののうち、最も有益だと思われるものは何ですか?

A :3Rコンセプト。つまりゴミを減らし(リデュース)、もう一度使い(リユース)、再利用する(リサイクル)という考え方です。

Q:スリランカに帰った後、どのような活動を通してスリランカの廃棄物管理の向上に努めたいと思いますか?

A :まず、私の担当している地域を、スラム地域とそうでない地域の二つに分類します。そして、スラム以外の地域では家庭内のゴミの堆肥化を推進し、スラム地域では、「ごみステーション」を利用したゴミの収集方法(注1)を取り入れたいと思います。

(注1)現在Anfasさんが担当されている地域では、ゴミ収集車が各家庭を回ってゴミを集めるという制度を取り入れており、それが収集効率を悪くしているため。

Q:日本人や日本文化についての印象はどうですか?

A :日本人はとても親切で礼儀正しく、また人を助けることを厭わない、信頼できる人々だと思います。また、日本文化はとても速いペースで西洋化しつつあるように感じます。

Q:最後に、日本人へのメッセージをお願いします。

A :日本の技術や環境保全レベルは世界でもトップクラスだと思います。これは、今の若者のおじいさん、おばあさん世代の方々の尽力によるものであり、その恩恵を今の若い人々が受けているのです。「環境を守り、未来の世代のために技術を向上させ、同時に、今の生活もエンジョイできるようにして欲しい。」心の底から、日本人の成功を祈っています。

元シニア海外ボランテイア隊員 仙波 正さん

Anfasさんはコロンボ市役所でJICAシニアボランティアの仙波正氏と深く関わっていました。仙波氏は平成17年10月から平成19年10月までの2年間、Anfasさんが勤務しているコロンボ市役所の市技術部下水道課で下水道施設保守管理にかかる指導を行っていました。

仙波氏は、ご帰国された今、愛媛県在住。この度、研修のために来日したAnfasさんと久々の対面を果たしました。その仙波氏にAnfasさんとの出会いやスリランカでの思い出を語っていただきました。

Q:スリランカにいらっしゃった頃のAnfasさんとの関わりについて教えてください。

A :スリランカに赴任し、配属となったコロンボ市役所での新任挨拶でAnfasさんに最初に出会いました。その後、清掃現場へ同行し、Anfasさんからいろいろな説明を受けました。当時、Anfasさんは私の配属部署である下水道施設保守管理とは直接的な関係はありませんでした。

しかしながら、Anfasさんは時々私のオフィスに来ては、日本の技術や制度についていろいろと聞いてきました。また逆に、彼は私に対してコロンボ市役所が抱える問題点や日々の新聞記事について教えてくれました。Anfasさんのおかげで、コロンボ市役所やスリランカの実情を知ることができたといっても過言ではありません。

Q:Anfasさんのような開発途上国の方々が日本に来て研修を受けるということに対して、どのようなお考えを持っていますか?

A :スリランカに関して言えば、技術者の知識レベルはかなり高いです。しかし、実務・運用に関しては経験不足です。スリランカ国内で、研修などの技術移転プロジェクトはしばしば実施されています。これは私見ですが、そういったプロジェクトは機器操作等の現地業者に対しては効果が見られても、Anfasさんのような行政の管理者に対しては成果が必ずしも十分でないように思われます。

その原因は、管理者が日常業務と兼務で研修などに参加すること、そしてプロジェクトの実施側も定められた期間内でとりあえずの成果を求めざるを得ないため、密度の小さい研修になりがちなのではないでしょうか。来日して一定期間の研修を受けるシステムは、このような現地研修の欠点を補うことができ、かつ体系だった研修となるので有効だと考えます。

ただ、危惧することもあります。それは、彼らが帰国して研修内容に関係する部署に配属されないこともあるということです。将来、彼らが研修に関連する業務に配属された場合に、フォロー(技術支援)を受けられるシステムがあるのでしょうか。研修を、そして日本の支援を長期的に効果的にするめにはこのようなシステムが必要不可欠かと思います。

Q:A nfA sさんのような開発途上国の方々に、日本のどんなことを知ってもらいたい、もしくは経験してもらいたいと思われますか?

A :前述したように、彼らには実務、運用経験や成功体験が少ない。技術的、制度的、法的背景も含んだ実務、運用のテクニックを知り、体験してもらいたいと思います。

Q:Anfasさんに激励の一言をお願いします。

A :Anfasさん、JICA の研修コースから多大なことを学び、スリランカに戻った後、それを是非活用して欲しい。大きな前進は小さな成功の積み重ねであることを忘れずに。「Take it easy!」 また会いましょう。

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