人形劇を通じてヒロシマを伝える−原爆展「スリランカ」−

2011年7月7日

 6月4日、スリランカのカハワッタにあるルワンプラ教員養成大学で青年海外協力隊員による原爆展が行われ、教員、学生合わせて350人以上の方々に参加いただきました。
スリランカの原爆展の特徴は人形劇を行っていることです。もともとスリランカ派遣20年度1次隊の2名の広島県出身者が中心となり、現在の原爆展の形を作り上げました。その原爆展も今回で15回目となりました。

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オイルランプ点灯の儀式

 まず、最初にスリランカでの行事では伝統の儀式「オイルランプ点灯」から始まりました。
ココナッツオイルを使ったランプに来賓の方が次々とろうそくで点灯していくのですが今回、JICAスリランカ事務所長やボランティア調整員にも参加いただきました。その後、黙とうを捧げ、原爆展開始です。開催地副校長のあいさつの後、JICA事務所長あいさつ、そしてこの学校で活動している福島隊員のあいさつと続き、今回の原爆展開催の趣旨が伝えられます。
 そして、被爆二世の話です。両親が被爆者である隊員が派遣されていた当時は生の声で伝えていましたが、その隊員が帰国後の現在は、話をビデオにして上映しています。スリランカ公用語のシンハラ語で語られる被爆二世の話は、現地の人たちの心に届いたのではないかと思っています。

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同僚に折り鶴を教える福島隊員

 次にスリランカ原爆展のメインである人形劇なのですが、ここで突然の停電となってしまいました。スリランカではよくあることであり、急遽、順番を入れ替えて「折り鶴体験」を行いました。いつものようにシンハラ語で折り方を教えながら行いました。こちらから教える前に鶴を完成させる学生もいて、みなさん上手に鶴を折っていました。ただ、一部にタミル語を母国語とする学生がいて、折り方の指示がわからなかったようです。シンハラ語がわからない人への対応が、今後の反省点となりました。 完成した折り鶴は、広島市平和記念公園に奉納する予定です。

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人形劇舞台裏の様子

 電気が復旧した後は、いよいよメインの人形劇の上演となりました。被爆して現在まで生き残った女性が被爆当時のことを振り返るという設定です。
・・・8月6日が誕生日の女の子リサは、お母さんが夕飯においしいごちそうを作ってくれると聞いて、嬉しそうに学校に向かいます。途中で仲のよい男の子ダイシと会って、話が弾みます。そこに転がってきたボールを使い、キャッチボールを始めました。投げたボールが洞穴に入ったのでリサが取りに行きます。そこで原爆が投下されます。リサが洞窟から出てくると辺りの様子はまるっきり変わっています。ダイシはどこにもいません。ようやく、家のあった場所までたどり着くと、黒こげの物体があります。洋服からお母さんとわかり、泣き叫ぶ様子は会場の涙を誘いました。
最後に現在の広島市の様子、美しいスリランカの映像が流れ、平和を
願います。配役を入れ替えて、今回初めて演じたメンバーもいましたが、
練習の成果でうまくできました。

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隊員有志による「よさこい踊り」は大好評

 そして、原爆の被爆者の方の実体験を題材にしたドキュメンタリー『母の祈り』シンハラ語版の上映です。学生たちは真剣なまなざしで見ていました。
 今回はさらに日本文化紹介で隊員有志による合唱とよさこい踊りが披露されました。特によさこい踊りのダイナミックな動きは大好評でした。
 開催地の校長によるあいさつのあと、最後にスリランカ国歌と日本国歌を斉唱し、終了となりました。

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ポスターを熱心に見る学生たち



 会場外に展示していた原爆ポスターも、退場する際に学生たちが列を作って真剣に見てくれました。
当初5名だった原爆展メンバーも、現在は14名。今後もより多くの場所で原爆展を開催し続けていきたいと思っています。



田中 悦太郎 (21年度2次隊 理数科教師)