【教師海外研修 授業実践訪問(生徒発表)】広島県立府中高等学校[広島県]

−高校生よ、「ベトナム・カイゼン・プロジェクト」を立ち上げよ!−

2014年10月7日

生徒たちがプロジェクトを発表しました

広島県立府中高等学校教員の笹田氏は、高校3年生で大学受験を控えた生徒たちに「大学受験はもちろん大切だけど、受験勉強以外の『学び』や『学ぶ』意味を考えてほしい。そしてその楽しさを感じてもらいたい。」その思いで本授業を組み立てられました。

【画像】今回、3年6組の生徒の皆さんは、「ベトナム・カイゼン・プロジェクト」と題された3つのプロジェクトから1つ選択し、グループで計画を立て、その成果を他クラスの生徒に発表しました。

プロジェクト1「小学校で平和学習を取り入れよ!」

【画像】平和学習という授業がないベトナムの小学校で平和学習を実施し、ベトナムの子供たちが平和について深く学ぶにはどういう授業が有効か考える。

【他クラスからの意見】
●終戦が4月なので、それに向けて行事を組むのはよいと思いました。
●ベトナムの子どもたちに、平和の意識を根付かせるために楽しいしおりづくり平和の知識を取り込みやすくする、実際に社会見学を通して知らなかったことを知ってリアルに戦争を感じる、まとめ学習をイオンモール(ベトナム ホーチミン市に初進出しています)に掲示することによって小学生からベトナム全土に平和意識を広めるという考えがよかった。

【6組生徒・発表者の学び】
■聞いた感想の中で、日本の戦争に対する悪いイメージを強要することは悲しい、という意見があって、その通りだと思った。教育するときに必要なものの一つとして、多面的に見るということがやっぱり大事になるんだと感じた。自分たちでプロジェクトを考えたけれど、その前の段階として調べることをあまりしなかったので、質問に答えにくかったりした。でも、自分たちで案を出そうとするなら、現状では知っておくべきことだと思うので、調べる姿勢を大事にしようと思った。
■今回の学習をしなければ、ベトナムのことをこんなに深く考えることはなかったと思う。自分たちの国と違うからといって、日本の思想を押し付けるだけでは平和につながらないんだなと思った。国ごとに違う思想を持っているので、教えることは大変だとわかった。本当の平和学習とはどのようなものかわからなくなった。

プロジェクト2「新しい環境ビジネスを立ち上げよ」

【画像】発展するベトナムで今問題になっている環境問題。企業人としてどんな事業を展開できるか、ベトナムにとっても日本にとってもプラスになるビジネスを考える。

【他クラスからの意見】
●広島とのコラボというのがおもしろい。環境だけでなく経済や雇用の面まで考えているのも良かった。
●交通渋滞や大気汚染を改善のために路面電車を走らせるというのは新しいアイディアだった。
●広島と絡めて考えてあって、交流することも視野に入っているのがよかった。結果論としてはよかったけれど、そこまでの過程がちょっとよくわからなかった。
●路面電車や商店街ができるまでの交通渋滞や大気汚染の改善策は?路面電車はそんなに簡単にできるのか?
●ごみを燃料にして双方に利益があって環境ビジネスの考え方もよくわかった。発表の仕方もうまかった。企業の利益はあまりないと思った。
●ベトナムのごみ問題について説明してくれたのが分かりやすかった。仮想の株式会社を作って、具体的にゴミをどうなくしていくかが詳しくて、あとちゃんとビジネスになっているのがよかった。
●相互に利益があるところがよいと思った。住民の意識から改善できるところもすごいと思った。

【6組生徒・発表者の学び】
■一つの問題を多面的に考えることで、プラスな面とマイナスな面の両方をバランスよく保つことは難しかった。プロジェクトを考えるとき、必ず二面性の問題が出ると思ったので、完全にプラスのプロジェクトを考えることは不可能で、必ずどこかでマイナスの問題が起こると思った。
■エコステーションやリユースボトルの案はなかなか良いと思ったが、他の面から見たときに、じゃあそのボトルを作ることによって環境破壊が進まないのか、水かどこから持ってくるのか、そういったデメリット面について考えていなかったように思う。もっと多面的にメリットやデメリットについて考え、かつ援助する国の文化や国民のことを考え、何をするのが役に立つのか、どうすればwinwinの関係になれるのか、第三者の眼になって考えたい。
■ベトナムのごみはプラスチックの方が多いのではないかという意見があって、燃えるごみを集めるだけのシステムでは、実際にはごみ問題が解決できないし、ビジネスとしても難しいと思った。

プロジェクト3「人身取引ホットラインを広めよ」

【画像】他国の都市で働くと高額収入が得られるという言葉に騙されて人身取引の被害者となる事例が多発しているという国境付近の住民。 彼らがいつでも相談できるホットラインを開設したがまだ周知できていない状況がある。まずはホットラインを広めることがプロジェクトの目標。

【他クラスからの意見】
●facebookいい案!フェアトレードは弊害がある。その前の世界の売り上げが必要。ちょっと理想的過ぎるとも思う。フェアトレードは反対ですが、facebookは非常にいいね!
●人身取引は資本主義の安い労働力を求めるために起こると分かった。
●子供や老人などのfacebookを使えない人はどうか?
●日本でも人身取引が行われていることが分かった。facebookとかだと途中で間違った情報に変わってしまうので、危険なのでまた別の方法をした方がよいと思った。
●この発表は立場の強い人々の意識を変えることに着目しているが、弱者の意識を変えることも必要では?

【6組生徒・発表者の学び】
■ベトナムについて調べて、人身取引について考えたことがなかったけど、調べてみて、ホットラインがあるというものがあると分かったし、人身取引の怖さや危険さも知ることができた。ホットラインについての質問で、答えるのに難しかったこともあったけど、協力して終えることができた。人身取引が起こる背景やホットラインを使えない人についてなど、もっと調べてみたいと思った。
■ベトナムの現状とその背景について調べてみて、まったく知らなかったことが分かった。私は一番の原因は、ベトナムの中での格差だと思う。私たちの班は人身取引ホットラインを広めるために現在ベトナムで流行しているfacebookを利用するという考えに至った。これも、facebookをするための端末を持っていない人もいるし、使いこなせない人もいる。格差をなくすことも力を入れていく必要があると思った。
■啓発活動も自分たちはこれでよいと思っても、きれいごとだったり考えの押しつけになってしまったりするんだろうなと思います。新たに気づいたことから日本のカイゼンにもなると思います。

全体を通して…

【画像】■やっぱり人がたくさん集まるといろんな考えが生まれるんだなと実感した。準備ではそれぞれが役割分担して取組、遠慮することなく意見をぶつけ合えたのでやりがいを感じた。また、大きな問題に対処するときには、何かアイディアを出しても、問題点がどんどん出てくるので、多面的に見るのって難しいし大切だなと思った。
■いくら私たちが「カイゼンだー!カイゼンだー!」と言って頑張っても、それは本当に相手国のためになっているのかな…と思う。意識改善がごみ問題よりも大きな問題だと思った。私も個人的に何かしたいと思った。たとえば、ハンドメイド雑貨を作ったりして、女の子に喜んでほしい。でもこれって自己満足?映画「僕たちは世界を変えることができない」を見て、改めて支援が自己満足にならないか不安になった。
■日本とベトナムでは生活習慣も考え方も違っているということを前提にして考えていくのはやっぱり少し難しい部分があった。でもみんなでいろいろ考えていくことで、一人では考えつかなかったアイディアが浮かんできたりして、みんなで協力して考えていくことは大切だと改めて思った。コメントの「日本の考えを押し付けてはいけない」というのは大切だと分かっているけど、難しいことだなあと思った。