【実施報告】2015年度 第2回 国際理解教育研修会

「伝える」から「考えよう」へ −子どもと先生が一緒に考える世界と日本−

2016年2月12日

「まともな」開発を考える

パーム油が使われた商品

パーム椰子について学ぶ

2016年1月30日(土)、職員や教員を目指す学生、国際理解教育に関心のある方々を対象に、今年度2回目となる国際理解教育研修会を行いました。当日は、広島はもちろん、岡山、山口、島根など県外からも多くの方にご参加いただき、40名の参加者が世界の課題について学び合う、充実した時間となりました。
午前中は、マレーシアの森林破壊と経済成長を事例にしたワークショップ*です。スナック菓子やインスタントラーメン、チョコレートや洗剤など私たちの日常にあふれる様々な物に使われているパーム油。その多くがマレーシアで生産されていることをご存じですか?開発途上国の経済成長と自然環境の保護、伝統的な生活スタイルを維持しながら森林で生活する少数民族の権利と企業の利益、そして同じ国の住民でも異なる考え方…。多くの問題がある中で、どのような解決策が考えられるのか。事例の中に出てくる登場人物に成りきって考えるロールプレイの手法を用いて、正解のない問題について、全員で頭を悩ませました。

教師と児童・生徒がともに「考える」授業とは

「ラオス探しに行こうよ」

昼食後は、今年度のJICA教師海外研修でラオスを訪問した3名の先生たちによる模擬授業です。
広島県立特別支援学校で幼稚部を担当する松田奈緒美教諭が披露したのは「ラオス探しに行こう」。「シン」「セパタクロー」「カオニャオ」といったラオスにまつわる言葉にそって、幼児になりきった参加者は、その文字数に合わせた人数のグループを作ります。その後、それらの言葉がどんな物なのか、松田教諭が写真を使って解説してくれました。体を動かしながら異文化を知ることのできるゲームでした。 

ラオスで学ぶ、すごろく教材

岡山にある清心女子高等学校の菅沼祐子教諭は、ラオス研修で自身が見て、聞いて、知って、感じたことを生徒が疑似体験できるすごろく形式の教材を作成しました。すごろくの目には「朝市で、赤ちゃんを連れたお母さんが近付いて来て、お金を入れる箱を差し出して来ました。貴方ならどうしますか?」「『ラオスではお皿やお箸を紙ナプキンで拭いてから使う方がいい』と聞きましたが、貴方ならホームステイ先で出された夕食を食べる時にお皿やお箸を拭きますか?」など、海外で実際に出くわすシーンが書かれ、自問自答しながらコマを進めていきます。悩ましい問いをグループで共有することで、同じ国民、友だちの中でさえ「異文化」が存在することに気づかされる教材でした。

グループで選んだ「お土産」を発表

萩市立紫福小学校の松本英一教諭が取り上げたのは、ラオス研修中に参加した8名全員が悶々と考え続けた「お土産」についてでした。私たちが現地の人に善意で贈るプレゼントが、彼らの生活習慣や文化にどんな影響を及ぼすのだろうか。その延長線上にある「援助」「支援」といった行為によって、彼らの伝統がどう変わってしまうのか…。大人である教師が、子どもである児童・生徒に他国の情報や教員自身の想いを「伝える」だけでなく、地球市民という同じ立場で、正解のない問題をともに頭を悩ませて考える授業内容に、参加者は時間が足りないほど白熱して話し合いを行いました。

【参加者の感想】

・私自身もこんな授業をしたい!どう変えたら自分の学年でできるだろうかと考えることができた。
・日頃の授業実践を反省するきっかけになった。開発のあり方と教育とは共通する点が多いと感じた。
・実際にラオスに行かれた先生方の模擬授業が面白かった。実践的でとても参考になった。
・バラエティーに富んだプログラムで飽きることがなかった。
・たくさんの意識の高い方と一緒にワークショップに参加できて良かった。3人の先生の授業って贅沢!
・発展とは、援助とは、深く考えることができた。
・自分一人で考えても深まることに限りがあるので、いろいろな人の話がとても刺激になった。
・疑問を解決するのではなく、投げかけられる形でとても考えさせられた。

JICA中国は、これからも世界と日本の教室を結ぶ架け橋として、より充実した研修会やプログラムを提供していきます。どうぞご期待ください!

*「パーム油の話−地球にやさしいって何だろう?」:パーム油を通して、生産国で起こっている問題を知り、その問題の構造を理解し、さらに私たちの消費社会とのつながりを学んで、何ができるかを考えることをねらいとした教材で、特定非営利活動法人 開発教育協会(DEAR)の著作物です。詳細は以下をご参照ください。