【イベント報告】第2回HIROSHIMAピーストーク -カンボジア編-

2016年11月7日

初めてのカンボジア編

10月22日(土)、今年度2回目となるHIROSHIMAピーストークを開催しました。昨年度から始まったこのピーストーク。今回初めてカンボジアについて取り上げました。現在、広島大学大学院国際協力研究科(IDEC)で教育について学んでいるJICA研修員のポポさんとスレイネットさんに話をしてもらいました。39名の参加者が、会場である広島経済大学 興動館に集まりました。広島経済大学 興動館には「カンボジア国際交流プロジェクト」という学生グループがあり、そのメンバーも多く参加していました。

涙を浮かべながら話してくれたポポさん

お母さんの体験を、涙ながらに語るポポさん

始めに、ポポさんがカンボジアの簡単な歴史とポルポト政権下で起こった大虐殺について説明しました。スライドを使っての説明には目を覆いたくなるような写真が何枚も含まれていました。逆さに吊り下げられたまま水の中に浸けられている人、爪を剥がされている人、積み上げられた骸骨、血の海の中で息絶えた人。犠牲者は200万とも300万とも言われます。しかも、実際に虐殺を行ったのは同じカンボジア人の10代の若者が主だったという事実に、参加者は驚きを隠せません。

ポポさんは、小さいときから何度もお母さんに繰り返し聞かされてきたというお母さんのお兄さん(ポポさんの伯父)の話をしてくれました。当時人々はポルポト政権によって田畑で農作業をさせられていたそうです。銃を持った兵士に見張られ、休日も与えられず、わずかな食料で働き、少しでも怠けようものなら罰を与えられてしまうほど、それは大変だったそうです。ある日、当時15歳だった彼女の伯父さんは、「今日は仕事をしたくない。1日休みたい。」と言ったそうです。そして皆が止めるのも聞かず、ポルポト兵士に「今日1日休ませて欲しい。」とお願いしました。すると兵士は、「いいよ。じゃあついて来て。」と言いました。「行ってはダメだ。」と言う皆の言葉に「大丈夫。大丈夫。」と伯父さんはついて行ったそうです。しばらく行った所で兵士は、「今日1日休みたいんだな?」と尋ねると、「じゃあ、ずっと休んでろ!」と伯父さんの後頭部を叩き、伯父さんは亡くなってしまいました。その様子を、心配で後を付けていったポポさんのお母さんは、木の陰から一部始終見ていたそうです。その時彼女は10歳。声を出すことも助けることも出来ませんでした。ポポさんは涙を浮かべながらこの話してくれました。何度も聞いた話なのに、何十年も前のことなのに、まだまだ心に深い傷が残っているのです。

スレイネットさんの叔父の体験

続いてスレイネットさんも彼女の叔父さんの体験を話しました。
叔父さんが5〜6歳の頃、彼はポルポトの兵士に畑仕事をするように命令されましたが、まだまだ幼く、仕事をしないで遊んでしまいます。仕事をしないで怠けているところを見つかった叔父さんは、兵士に連れて行かれ、電気ショックを受けさせられ、山の頂上で水も食料も与えられず数日放置されてしまいました。幸いなことに、数日後、彼の母親が兵士に懇願し解放され、命は無事だったそうです。たった5〜6歳の子どもにもそんな仕打ちを与えるなんて・・・参加者一同、声も出せず、つらい表情でスレイネットさんの話を聞いていました。
その日、参加した広島大学のカンボジア人留学生がポツリと言った言葉が胸に刺さりました。
「カンボジアで、“身内に誰もこの大虐殺の犠牲者がいない“という人はいないですよ。私も母方の祖父母は、富裕層だったというだけで殺されてしまいました。」

まだまだ知りたい、カンボジアのこと

イベント終了後も、話が尽きない様子の留学生と参加者

二人のプレゼンテーションの後、2グループに分かれて、質疑応答の時間を設けました。質問だけでなく、お二人の発表を通して気付いたことや感想なども話してもらったところ、さまざまな質問が出されました。
「現在、若い世代の人達はこの大虐殺についてどう思っているのでしょうか?」「カンボジアの教育現場では、今でも教師にチップを払うと聞いたことがあるのですが、本当ですか?」「カンボジアのフン・セン政権がもうかなり長いですが、1つの政権がこんなに長くて何か弊害がないのですか?」
新聞やテレビ、インターネットなどで情報を得られるようになった現代においても、私たちの情報源は限られています。カンボジアの人に直接質問することで、参加者にとってはカンボジアのことをより身近に感じることが出来たのではないでしょうか。

平和を実現するためには?

どうしたら平和が得られるのか話し合う参加者

最後に、少人数のグループに分かれて、「どうしたら平和が得られるのか?」「カンボジアでこれから必要となる教育」「カンボジアと日本、互いに協力し合えること」 というテーマで話し合いました。参加者からは、「教育が大切」という意見が多く上がっていました。教育と言っても学校だけではありません。第一に家庭教育、そして政府が教育についての政策をきちんと立てることも大切という意見もありました。
ポポさんは言います。「わたしの両親は私が小さいときからポルポト政権下での辛い経験を話してくれました。それを聞いて私も平和の大切さを自然と理解したのだと思います。家庭での教育や環境が大切です。」 
また、「現地の方の生の声を聞けたのが良かった。」という意見も多く寄せられました。直接話を聞くことで、新聞やニュースと違って「その国の人の心情に触れることができ、身近に感じました。」というコメントもありました。
ピーストークは、過去の紛争を歴史的事実として知ることだけにとどめるのではなく、自分の出来ることから平和へと進んでいくきっかけを参加者に提供していきたいと考えています。

次回の開催は、12月3日(土)ルワンダの研修員と平和について語り合います。皆様のご参加をお持ちしています。