【実施報告】広島でODAによる海外展開セミナーを開催しました!

2016年12月19日

スリランカ キルギス ミャンマーへの海外展開

JICA中国所長 池田の挨拶

12月8日(木)、広島市内にてJICA中国主催の「ODAによる中小企業海外展開支援」公開セミナーを開催しました。

今回のセミナーでは、JICAがアジア、アフリカの途上国政府の外国投資受入に関わる行政機関に派遣している数多い専門家の中から、スリランカ、キルギス、及びミャンマーの3か国を選び、各国の投資環境やお国事情も交えて紹介しました。中国地方の企業の中で関心の高いベトナムやインドネシアが第1列とすれば、ミャンマー、スリランカは第2列に位置するほど関心の高い国です。企業・機関から30名を超えた出席者の多くは、JICAの支援制度に応募・採択されたことのある企業、あるいは独力でこれらの国へ出向いてビジネス活動を行っている企業の方たちでした。

セミナー冒頭の主催者挨拶で、JICA中国所長の池田より、スリランカ、キルギス、ミャンマーは世界の数多い開発途上国の中でも、開発ポテンシャルの高さはもちろんのこと、日本人との相性の良いことや訪問する日本人の多くがその国の虜になってしまうことを自身の駐在経験や出張経験をもとに紹介し、中国地方のビジネス関係者に向けたこのセミナーを有意義に使っていただきたい、との期待を述べました。

各国の投資環境について

スリランカ外国投資委員会 堀口英男専門家

トップバッターのスリランカ外国投資委員会の堀口英男専門家は、2017年政府予算案に見る投資環境の動向として法人税の見直しを挙げ、現行20〜40%を3段階(14%, 28%, 40%)に区分変更した上で、さらに投資額に応じたインセンテイブを紹介しました。また、交渉中のものも含めて、6本のスリランカのFTAネットワークについて触れ、とくにインド向け輸出の付加価値向上のために、国内企業の国際化等々に取り組んでいるとの報告もありました。最後に、取組中のスリランカ人エンジニアと日本国内の造船分野の中小企業とのマッチングが日本の労働力不足解消に貢献する可能性についても紹介しました。

キルギス経済省投資促進庁 熊切一郎専門家

2番目のキルギス経済省投資促進庁の熊切一郎専門家は、高い教育水準や安くて熟練した労働力の魅力に加えて、100%外資も可能といった自由度の高い投資環境づくりが、ロシアや中国に偏重していた頃から多様化してきていること、伝統分野の鉱業に加えて、ロシアや旧ソ連圏の近隣国市場を目指した農業及びサービス分野で着実な成長があることを紹介しました。





ミャンマー計画財務省 投資企業管理局 本間徹専門家

3番目に登壇したミャンマー計画財務省投資企業管理局の本間徹専門家は、ミャンマーへの投資実績動向、ミャンマーへの投資の魅力、現行の投資・会社設立の仕組み、新投資法(10月成立)と新会社法(審議中)並びにJICAによる投資促進支援について豊富なデータを基に紹介し、ラストフロンテイアが新政権誕生で更なる飛躍を遂げつつあることを紹介しました。





最後に登壇したJICA中国次長の日比より、ODAによる中小企業海外展開支援の制度と現状について説明があり、引き続き制度の活用を期待すると述べました。

質疑応答

質疑応答の様子

各氏30分程度の講演の後、会場と檀上の間で次のような質疑が繰り広げられました。

質疑(1)
我が社は、現在スリランカでJICA支援のもと案件化調査を実施中だが、電気不足とごみ問題の解決が急がれるとの印象が強い。スリランカの堀口専門家が講演の中でエネルギー分野について触れていたが、ごみ発電などが課題解決に貢献するのではないかと思うが如何だろう?
<堀口専門家の回答>
仰るとおり。村・町単位でごみ問題やエネルギー問題への取組が見られるが、スリランカ政府はより総合的な戦略のもとで諸外国や製品を当てはめるなどしてドナー(外国の支援機関を指す)の棲み分けを図ってもいいのではないかとも思う。

質疑(2)
ミャンマーは農業分野への投資促進を図ると見受けたが、農業といっても生産性向上やインフラ整備、食品加工などあるが、一番のポイントはどれか?(開発コンサルタントより)
<本間専門家の回答>
農業は一大産業であり、投資を呼び込みたい分野である一方、外国投資法などから投資しにくいのが課題。農業分野では、多面的な分野での投資が期待される。

質疑(3)
開発コンサルタントとしてミャンマーにおけるJICA事業とは別に民間企業の進出サポートも行っている。現地で聞くところでは、今月中に立上げを行えば、税制優遇が5年に及ぶらしいが、詳細をご存じか?
<本間専門家回答>
現在の外国投資法では、法人税優遇は一律5年である。一方、現在審議中の新外国投資法細則では、地方への進出企業に対する法人税優遇は7年、以下中間地域5年、都市部3年の内容となっている。さらにセクターにより法人税の枠組みも違ってくるようである。12月末までの起業申請は旧投資法の適用になる。

質疑(4)
キルギスでドライフルーツ産業に進出準備を進めている企業だが、キルギスはもともと高品質な果物ができているように見受けられ、加工した果物をマーケットに届けるまでの輸送コストが課題と承知しているが、どの程度のコストを見込んだらよいのか?
<熊切専門家の回答>
旧ソ連から独立した際、それまであった国営農業事業体は解散されたため、農家は細分化されてしまい今の農業形態は零細農家が殆どとなった。また、乾燥機は旧式のものが多く、日本のものが欲しいという相談が頻繁にある。輸送はトラックか鉄道のどちらか。ただ、乾燥品については湿気リスクから輸送会社が拒絶するケースもあると聞いている。その場合、自前のトラックでの輸送となる。価格は20フィートコンテナを使ったトラック輸送で、3,500ドル〜4,000ドル(各種証明書取得費用を含まない)。経済省貿易促進センターの情報では同じくヨーロッパまでのドライフルーツ輸送コストは、キロ当たり3ユーロとのこと。ご指摘のとおり加工品の輸送インフラ整備はこの国(キルギス)の課題である。

質疑の後の名刺交換では、会場内でいくつかの人の輪が生まれ、さらなる情報交換や日程打合せなどが行われていました。

セミナーを終えて

このセミナーに出席した企業・機関の皆様はミャンマー、スリランカおよびキルギスのいずれかへの海外展開の情報収集やすでに得ている知見について意見交換をしようとする意欲が高く、かつJETRO、中小企業整備機構、HIDA((一財)海外産業人材育成協会)、JICAといった公的機関からの支援獲得も積極的に行っている様子でした。

JICA中国主催「ODAによる中小企業海外展開支援セミナー」の次回開催については未定ですが、今回のセミナーアンケートで寄せられた要望を反映した内容で、今後のセミナーを行うことを検討していきます。

このセミナー開催については、広島県、中国経済産業局、中国経済連合会、広島商工会議所、福山商工会議所、JETRO広島貿易情報センター、中小企業基盤整備機構中国本部、国際機関日本アセアンセンターのご後援をいただきました。

(記:総務課西山)