【教師海外研修 授業実践】山口県立岩国高等学校

2016年12月21日

海外の知見を授業に活かすということ

山田 泉 先生

山口県立岩国高等学校で地歴・公民を担当する山田泉先生は、「生徒へ『生きた学び』を伝えたい」という理由から教師海外研修に参加しました。教科書にある情報だけでなく、現地の人々の生活、その国の政治や経済のシステム、宗教や言語などの異文化を知ることで、自発的な学びが深まる、と考えているからです。これまでも、ドイツやフランスを個人で訪問し、そこで見聞きした情報や集めた資料を世界史などの授業で活かしてきたそうです。ラオス研修中も、山田先生はすべての訪問先で熱心に質問を投げかけ、精力的に教材を収集していました。

ラオスを通して考える「貿易と国際分業」

国旗から貿易格差を感じよう

山田先生がラオスの知見を活かした授業を行ったのは1年生の現代社会でした。「国際経済のしくみと動向」という単元の中で、ラオスの経済やインフラを事例として取り上げました。
多国籍企業が増え、人件費の安い海外に生産拠点を移すことで、日本の消費者は安価で質の良い商品を選ぶことができる一方、国内産業の空洞化が問題になっています。国土の狭いラオスの経済規模はASEANの中でもまだまだ小さく、国内には牧歌的な風景がたくさん残りますが、一方で経済成長率は急速に上昇しており、日本企業もラオスに進出しています。

山田先生は、まず現地で撮影したベトナムとラオスそれぞれの国際空港の写真を比較することで、両国の経済規模を生徒に想像させました。また、研修中に訪れた南部の経済特区とその中で操業する日本企業、ラオスが内陸国であるがゆえの貿易上のデメリットとそれに対する日本の支援などを解説しました。
また、ホームステイした村の写真から、地域に根差した小規模なビジネス−エコツーリズムや伝統的な織物産業−についても紹介しました。生徒はそれらの身近な事例を通して、統計資料だけでは難しい世界経済についての学びを深めていたようでした。

国際理解というと、エスニック料理や民族衣装に触れ、音楽を聴き、といった直接的な体験ばかりをイメージしがちです。しかし、社会や歴史といった教科の中でも、データの裏にある人々の暮らしや習慣に思いを馳せ、自分の日常とのつながりを感じることができるのだと、山田先生の授業は教えてくれました。