【JICAだより】ブータンから現地レポートをお届けします

2016年7月26日

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島根県浜田市職員 
川合香佳子さん(島根県浜田市)
2016年6月5日(日)中国新聞SELECT掲載
※中国新聞社の許諾を得ています

伝統の紙すき 技術指導

日本人技術者の指導で、紙すきを体験するワークショップ参加者。目つきは真剣そのもの

ヒマラヤの麓に位置するブータン王国は、「幸せの国」として知られている。同国と浜田市との交流は、1986年にさかのぼる。同国で古くから受け継がれてきた紙すきの品質向上のため、技術指導の依頼を受けたのである。

浜田市の伝統産業である石州半紙は、ユネスコ世界無形文化遺産に登録された技術であり、以来、旧三隅町(現浜田市)は長年にわたって技術者の派遣や同国の若き技術者を招きいれての指導、機材提供を行ってきた。

今回、国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業として3年間、技術指導を行ったタシ・ヤンツェは、首都ティンプーから車で丸3日かかる場所にある。車窓に広がる山並みや棚田は、日本の地方都市で見かける光景と似ていて、どこか懐かしさも覚えた。町々の建物は伝統的な建築様式。人々は民族衣装を格好良く着こなし、人々の暮らしの中で大切に受け継がれている文化を感じる。

中国とインドという大国に挟まれたブータンは、伝統文化の継承と自然環境の保全を行いながら、均衡ある経済発展を目指している。経済的に決して裕福とはいえない小さな王国にとって、それらを尊重することが、自国のアイデンティティーの確立に繋がるのだと聞いた。

同国の若き技術者たちが日本から学んだ技術を活用して、国の魅力や伝統をどう彼らの紙にすきこんでいくのか。これからも見守っていきたいと思う。