【JICAだより】フィリピンから現地レポートをお届けします(2)

2016年10月1日

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広島大学
吉田 修さん(兵庫県尼崎市)
2016年9月11日(日)中国新聞SELECT掲載
※中国新聞社の承諾を得ています

自治行政学習を後押し

厳しい選抜セミナーに参加した現地の青年たち

フィリピンと言えばカトリックの国との印象が強いが、南部のミンダナオを中心に、全人口の1割強はイスラム教徒だ。彼らはスペインによる植民地支配を許さなかった誇り高い人々で、先祖伝来の自分たちの「国」に対する権利を求めて、40年以上、政府と戦ってきている。
この紛争の出口に光が見えてきたのが2012年。バンサモロ(モロ(=イスラム教徒=の国)枠組合意にフィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線とが調印し、16年、つまり今年中の「バンサモロ政府」発足が計画されたのだ。

私の所属する広島大学は広島県とともに、この新自治政府が住民のために効率的に機能することで人々が平和を味わい愛することを願って、国際協力機構(JICA)「草の根技術協力事業」を行っている。
20代の有能な青年を現地で選抜し、広島で約1カ月、破壊から復興しただけでなく、住民本位の自治主体へと変貌した当地の自治行政を学んでもらう。

フィリピンの中では例外的に台風の被害も少なく、農漁業の生産力の高いミンダナオ。穏やかで明るく、紛争がなければもっと豊かに暮らせていたであろう青年たちは、厳しい選抜セミナーで目の色が変わる。
良くも悪くも伝統的社会のしがらみの中で生きてきた彼らが、それを突き破った先にある「公共性」を、広島県の農村地帯で発見する。これは私たち自身の「学び」であり、「課題」である。