【JICAだより】メキシコから現地レポートをお届けします

2016年10月27日

【画像】

25年度3次隊 メキシコ 渉外促進
シニア海外ボランティア 
岩崎 敬三さん(山口県周南市)
2016年1月31日(日)中国新聞SELECT掲載
※中国新聞社の承諾を得ています

住民との触れ合い 活力

折鶴に笑顔を見せる男の子。喫茶店での出来事だった

太陽と神殿の国メキシコ。そのほぼ中央部にサンフアンデルリオ市がある。標高2千メートルの高地にあり夏でも日陰では涼しさを感じる。シニア海外ボランティアとしてこの市の大学に赴任し今月中旬、2年の任期を終え、帰国した。

役割は、品質管理などを担う他の2人とともに、自動車部品を製造している現地中小企業に対する支援だった。私の任務はコーディネーター(連絡調整・通訳など)として仲間を支えることだ。時間感覚や就業意識などの違いにより、互いの理解が得られない場合も多くある。サポートに際しては、一歩一歩焦らずゆっくりと歩み寄ることの大切さを学んだ。

週末は夫婦で市内を歩き回った。ある日、中庭にブーゲンビリアの咲き誇る喫茶店でコーヒーを飲んでいると、男の子を連れた夫婦がギターを抱えて入って来た。彼らの歌う民族音楽に魅了されたが、ふと妻がバッグから折り紙を取り出し、男の子に見えるように鶴を折り始めた。最初は興味なさそうだった少年の目は少しずつ輝き、完成間近になるとわれわれのそばにグッと寄って来た。妻が少年の手のひらにその鶴をそっと乗せると、まさにこぼれるような優しさに満ちた笑顔を返してくれた。励ますつもりが、逆に温かい幸せな気持ちに包まれた瞬間だった。

このように活動の合間には多くのメキシコ人の温かい気質と触れ合い、新たな仕事の活力とした2年間だった。