【JICAだより】インドネシアから現地レポートをお届けします

2016年12月19日

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26年度3次隊 インドネシア 自動車整備
シニア海外ボランティア 
宗永 幸雄さん(広島県広島市)
2016年4月10日(日)中国新聞SELECT掲載
※中国新聞社の承諾を得ています

島の新産業 育成に努力

アブラヤシの種子皮粉砕機の内部を学生に示し、技術開発の着眼点を説明する宗永さん(中央右)。効率よく粉砕するため刃の形状を工夫して前年度の卒業研究で作った。

私はインドネシアのバンカ島にある工業系の教育機関に学校運営アドバイザーとして派遣されている。ここは古くからスズの採掘で栄えた島であるが、時代の変化の中でスズ産業は衰退して無残なスズの採掘跡だけが島のあちこちに残されている。島の人々の仕事はなくなってしまい、今この島ではスズ採掘に代わる新たな産業が求められている。

学校では毎日学生が常夏の暑さに負けずに様々な技術実習に取り組んでいる。学生の9割はイスラム教徒で1日5回のお祈りは欠かさない。この島はインドネシアの中でも経済的に貧しい地域であるが、学生たちの笑顔は決して貧しさを感じさせない。みんな日本のことが大好きで、日本のアニメや映画、日本製品を通して日本に対する憧れの気持ちを持っている。インドネシアの独立に貢献した日本人の話も島のあちこちで語り継がれている。そのため私が日本人であるというだけで慕ってくれる。

この島に赴任して1年、これまで日本のものづくりに対する考え方を折に触れて伝えてきた。目を輝かせて話を聞いてくれる彼らのために少しでも役立つことがしたい、そんな思いから学生の卒業研究に特許考案活動を取り入れてみた。先進国の後追いをするだけではなく自分たちも新しい技術の開発に挑戦しよう、島のニーズに合った独創的な機械を製作しようという試みである。彼らの創造力が大きく育って、この島の中に新たな産業を生み出していくことを心から願っている。