【教師海外研修 授業実践】山口県立大津緑洋高等学校

2017年1月12日

遠い国の小さな村に自分ができること

小川 弘敏 先生

山口県立大津緑洋高校で英語を教える小川弘敏先生は、ラオスでの体験を冬季休業中に行われる課外授業の中で生徒に伝えました。
過去2回の授業の中で、日本の商業高校の生徒が、小さなビジネスを通じてラオスの教育支援活動を行った話や、小川先生が実際にホームステイしたドンコー村について、生徒は英語で情報を得ていました。2017年1月6日の授業では、それらの情報をふまえ、「ドンコー村に対して自分たちができることはなにか」を考えていきました。まずは個人作業として、以下の選択肢から「私にできること・できないこと」に順位をつけていきました。

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A.ドンコー村を支援している現地のNGOの活動にお金を寄付する
B.ドンコー村やラオスのNGOについてもっと学ぶ
C.ドンコー村の学校に寄付を続ける
D.ドンコー村やラオスのNGO活動について、日本の周囲の人々に伝える
E.ドンコー村にしばしば訪問して交流を深める
F.ドンコー村の村人のニーズを把握するための調査を行う
G.ドンコー村の人々を日本に招き、講演会を開いたり、日本の村を視察する
H.特に何もしない方がよい
I.(あなたが考えるその他の項目)
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実際に訪問したドンコー村は、ラオス南部の都市から比較的近いところにあり、メコン川の中州に位置する小さな島です。しかし、船で対岸に渡れば大きなマーケットが広がり、島の中には小さいながらも外国の支援が入った学校があり、村の人々の生活を体験する「ファームステイ」を楽しむ外国人用に英語の看板があったりもします。豊かな水田が広がり、村のあちこちにバナナやマンゴーの木が茂り、目の前のメコン川で魚を獲ることもできます。テレビでは隣国タイのバラエティー番組を見ることもできる豊かな日常をおくる村に、果たしてどのような協力が必要なのか、大人でも頭を悩ませる問題を、生徒は与えられた条件と小川先生が撮影した写真をもとに、考えていきました。

ラオス「で」世界を考える授業

小川先生がラオスで収集した英語の教科書

グループ発表では「ドンコー村やラオスについて日本の人に伝える」という選択肢で、「ドンコー村の人もスマホや携帯を持っている、と聞いたので、SNSを活用して村の魅力や状況を発信することが可能だと思う」といった、高校生ならではのアイデアが出されました。また、協力活動を行うにも、現地の人が何を希望しているか、どんな課題があるのかが分からなければ計画が立てられない、という考えから「ニーズを把握する調査を行う」という項目を選んだグループもありました。
一方で、深刻な財政問題を抱える日本が他国を支援する余裕が果たしてあるのだろうか、様々な問題を抱える途上国はたくさんあるのに、その中でラオスに支援を行う背景や理由はなんなのだろうか、といった国際協力の意義や必要性を考えるときに必ずぶつかる疑問を述べてくれたグループもありました。小川先生は「国際協力や支援については様々な意見がある。自分も学生時代には、先進国が行う途上国への支援に反対だった。でも、実際に海外に行ったり、様々な立場の人から話を聞く中で、異なる価値観に触れ、考えが少しずつ変わっていった。大学に入ると、スタディツアーなどで途上国に実際に行くチャンスも増えてくる。若い皆さんだからこそ、海外を知って、いろいろな視点に触れてほしい」と生徒へメッセージを伝えました。
国際協力とはなにか、援助・支援とはなにか、日本に暮らす今の自分になにができるのか…。「ラオスを知る」ことにとどまらず、小川先生の「ラオスで考える」授業を受けた生徒たちは、世界の中の日本について、諸外国との関係と自分とのつながりについて、これからも考え続けてくれることでしょう。