【実施報告】イスラムを知る!3本だてシリーズ第1弾 「はじめまして、イスラム」

2017年2月20日

【画像】・日時:2017年2月11日(土)13:30〜16:30
・会場:広島市総合福祉センター5階 ホール(広島市)
・参加者:98名
・主催:JICA中国
・企画/運営:イスラムを知る!3本だてシリーズ実行委員会(JICA中国、ひろしまジン大学、武田高校、広島イスラーム文化センター)

【内容】
前半:イスラム教基礎講座(広島イスラーム文化センター 代表理事 アブドゥーラ・バセム氏)
後半:イスラムについて直接聞いてみよう!(いろいろな国のムスリムとの交流)

「知る」ことから始まる異文化理解

アブドゥーラ・バセム氏の基礎講座

アザーンのデモンストレーション

お祈りのデモンストレーション

あなたは「イスラム教」と聞いて、どんな印象を受けますか?どんなイメージを抱いていますか?
新聞やテレビで流される紛争・内戦、テロなどのニュースに日々触れる中で、イスラム教やムスリム(イスラム教徒)について誤った情報が蔓延していないでしょうか。偏見や思い込みを捨てて、白紙の状態でイスラム教やその文化を知ってみよう、それらを大切にしている人々と会って話をしてみよう、会話を通じてイスラム文化への誤解が解けたら…。そんな想いを抱いた様々な立場にある人が集まって、本イベントが企画されました。
 当日は定員をはるかに超える約100名もの皆さんの参加がありました。「異文化に興味があった」「普段はイスラム教に触れる機会がないから」「ムスリムの友達がいるので、彼らの文化をもっと配慮してあげたい」「中東問題に関心があり、当事者の気持ちが聞きたかった」など、参加者の動機は様々でしたが、「イスラムをもっと知りたい」という気持ちは共通で、みなさんとても熱心に耳を傾けていました。
基礎講座では、イスラム教の教えが詳しく説明されました。1日5回のお祈りが決められていることやその時間は融通がきき、仕事や学校といった日常生活と両立できること、いまやスマートフォンのアプリでお祈りする方角やハラルフードが分かること(!)など、厳格な印象のあるイスラム教の意外な側面を知ることができました。中でも、最も厳しく感じる「断食」の習慣が「空腹の状態を意図的につくることで、世界中の貧困や飢えに苦しむ人々へ想いを馳せる」という理由からきていると聞き、ムスリムの人々の優しさ、分かち合いの文化の背景を知ることができました。また、実際にお祈りの時間を知らせる合図の「アザーン」やお祈りの様子も見ることができ、日常では体験しがたい貴重な時間になりました。

普段から感じている疑問、ニュースで見て気になったこと

トークセッションの様子

たくさんの出会いがありました

後半は、10グループに分かれてトークセッション。様々な国のムスリムの方へ普段から感じている疑問、ニュースで見て気になったことなどをぶつけました。また、食事などの日常的なことも質問があがりました。
長く日本に暮らすムスリムの方からは「来日当時は食事に関する情報もなく、数少ないハラルフードは高くて困ることが多かったが、今はハラルレストランも昔よりは増え、食材もネットショップで簡単に買えるようになった」と、私たちが知らない日本国内の変化についても教えられました。
また、日本で暮らす中で困ることは?という質問に対する「街中でお祈りができる場所があると便利」「ムスリム女性の服は選択肢が少ないので海外から買うしかない」といった答えには、日本がよりグローバルな社会になるためのヒントがたくさん含まれていました。
女性の多いグループでは、ファッションに関する話題でもちきりでした。髪を覆うスカーフの結び方にも流行があること、全身を覆う服を着るか、スカーフはつけても普通の服で過ごすかは地域の文化や個々の価値観で自分が決める、など、通り一遍の情報からは分からない日常文化の話を聞くことができました。生まれてからずっと日本で暮らすインドネシア人の高校生は、最後にこう言いました。「私は普段学校ではスカーフをつけていません。今日のようにイスラム教に関する行事のときはスカーフをつけるけど、服も普通のジーンズなどが多いです。イスラム教徒であってもみんなが同じじゃない。誰かに強制されることではなく、一人一人の心の問題だから」。
イベントの最後に、スタッフの一人が言いました。「メディアに溢れる世界の問題を自分事としてとらえるのは正直難しい。けれど、知っている人の顔が浮かべば身近に感じることができる。このイベントを通して、遠い国のニュースを見たときに今日出会ったムスリムの皆さんの笑顔が浮かぶようになってもらえたら」。グローバルな社会が謳われる反面、「自分の国さえ良ければ」という内向き傾向が強くなっている今だからこそ、初めて会う人と言葉を交わし、分からないことを率直に聞き、知らない文化を知るという簡単な第一歩に価値があるのではないでしょうか。連絡先の交換や写真撮影がしばらく続いた参加者の笑顔から、そう強く感じさせられた日となりました。