【実施報告】2017年度 第1回 国際教育研修会

2017年7月4日

【画像】●日時:2017年6月25日(日)10:00〜16:30
●会場:JICA中国(東広島市・ひろしま国際プラザ内)
●参加者:60名

【内容】
  午前の部:「貿易ゲーム−国際会議編−」  
    講師:富田 和広 氏(県立広島大学 教授)
  午後の部(1):「学校から世界を知ろう、感じよう」〜教師海外研修を活かしたワークショップ〜
    講師:野村 麻衣 教諭(坂町立坂小学校)
  午後の部(2):「教材づくりワークショップ−いま、ここで世界を考えるために−」
    講師:富田 和広 氏

ゲームを通じて知る、世界の格差と不条理について

富田 和広 先生

「貿易ゲーム」で交渉中の参加者

教員や学生、広く国際教育に関心のある方々を対象に毎年行っている本研修会、今年も第1回を実施しました。今回の講師は県立広島大学の富田和広先生。世界を知る参加型教材の中でも古典ともいえる「貿易ゲーム」*に新しい要素をたくさん盛り込んで、国際会議編を展開して下さいました。スタート段階で大きな格差を抱えながら勝ち負けを競うこのゲームには、様々な場面で現実の市場経済のシビアさを体感できる仕掛けがあり、今回も白熱したゲーム進行になりました。
日本で日々生活をしていると、各国の経済格差や開発途上国が抱える現状を実感するのはとても難しく、現地の人々の気持ちに思いを馳せるのも簡単ではありません。この貿易ゲームでは、物がないという環境やその気持ち、また先進国とされる私たちが他国の人々から一体どう思われているのかなど、様々な立場の感情を体験することができます。そんなたくさんのモヤモヤを全員で共有しながら、世界の問題を学んだ時間でした。

*「貿易ゲーム」:「貿易」を中心に、世界経済の動きを擬似体験することによって、そこに存在するさまざまな問題について学び、その解決の道について考えることを目的としたシミュレーションゲーム。今回活用した「新・貿易ゲーム」は、オリジナル版『貿易ゲーム(THE TRADING GAME)』の制作・発行者であるクリスチャン・エイド(Christian Aid/イギリスの開発NGO)より、その著作権および版権の使用に関して協力を得て2001年に開発教育協会と(財)神奈川県国際交流協会が共同で制作したものです。

海外での体験を子どもたちに伝えるには

野村麻衣先生の模擬授業

「ラオすごろく」体験中

午後は、昨年度教師海外研修でラオスを訪問した先生による模擬授業です。
昨年、小学1年生を担当した野村麻衣先生が作成したのは、ラオスという遠い国の話を楽しく身近に感じられる「すごろく」教材でした。ラオスの18地域にちなみ、18問のクイズをすごろくで止まった目の番号と合わせながら解いていく教材で、外国という知識のまだない児童でも楽しみながら異文化に触れることのできる内容でした。「まずは、自分たちとは違う生活や文化の中で暮らす人々がいるということを知り、それを受け入れ、違いを楽しめる態度を養うきっかけにしてほしい。そして、すごろくという共同作業を通じて、隣の友達と力を合わせる大事さも学んでほしい」。野村先生のそんな想いがつまったすごろく教材に、参加者からは「子どもが世界に目を向けるきっかけづくりは大切だと再認識した」「最初は『小学生だからできる授業かな』と思ったが、すごろくを進めながら自分自身が純粋に楽しめていることに気づいた」「子どもたちの良さや反応を細かいところまで見つめ、それに感動する野村先生の姿勢にこそ感動を覚えた」などの感想が出されました。

プログラムの最後は、富田先生による教材づくりワークショップ。オリジナルの教材作成というと、テーマやねらいを決め、対象をしぼり、手法を検討し、実際に作って…と時間がかかるイメージがあります。だからこそ、「学校の先生は忙しいので、参加型教材を作るのは難しい」という意見も。しかし、今回富田先生が展開した「プロトタイピング」の方法では、まずモデルを作ってみて、体験しながら改善を加えて完成形にしていく、というプロセスで、課題の選定から試作モデル体験までをわずか1時間半で行いました。参加者からは「思考の仕方が分かった」「プロセスの1つ1つを実際に行うことで体験的にアイデアが共有でき、ワークショップの喜びを感じることができた」「失敗しても良いから素早く→改善、を繰り返すというプロセスがとても新鮮だった」と、目からウロコの方法に感嘆の声が上がっていました。


当日は中国5県から、国際協力や教職に関心のある学生からベテランの教員の方々まで、幅広い方々にご参加いただき、とても充実した研修会となりました。
第2回は2018年1月27日(土)に実施します。どうぞご期待ください!