【教師海外研修 帰国後研修】スリランカの学びを日本の子どもに伝えるには

2017年9月25日

日時:2017年9月2日(土)・3日(日)
場所:JICA中国 

スリランカから帰国して約2週間、教師海外研修に参加した7名の先生を対象に帰国後研修を実施しました。帰国してすぐに慌ただしい日常に戻った先生方に、もう一度スリランカでの学びを思い出してもらい、訪問先で抱いた感情や考えを整理してもらうこと、そして、整理した情報を研修仲間で共有し、意見交換を行いながら今後の授業実践の土台を作ってもらうことが、本研修の大きなねらいです。

学びをふりかえり、伝え方を考える

スタディツアーのCMを披露!

様々な参加型手法を体験

本研修の指導は、6月の第1回国際教育研修会にも出講して頂いた、県立広島大学の富田和広教授です。最初に、個々人でスリランカの「マインドマップ」を作成しました。これは、スリランカで印象に残っている事柄やキーワードを思い出し、どんどん書き込みながら関連する別のキーワードにつなげていき、自分自身のスリランカに関する記憶やイメージを視覚化していくものです。同じ10日間を過ごしているメンバー内でも出来上がったマップはそれぞれ異なり、この視点や価値観の違いこそ、海外研修の醍醐味だと再認識しました。
その後、スリランカのスタディツアーを各自が企画しました。この研修で最も印象に残った訪問先、出会った人々、そこで感じたことをふり返り、もし第三者が興味関心を持つ行程を作るとしたら、自分は何にフォーカスするか。それを検討することは、一つ一つの訪問先のねらいや学びを再確認することでもあります。後半では各自のスタディツアーを発表しあい、グループでツアーを再構築して、それをPRするためのCM作りも行いました。このユニークな作業を通して、伝えたい事柄をどのような言葉、表現、方法で伝えることが効果的なのかを考え、またCM作りというアクティビティから、見る側の視点や受け手の気持ちも意識することができました。

その後は、富田先生から様々な参加型学習の教材が紹介されました。豊かさ、暮らし、幸福、教育、多文化共生と民族、紛争と平和など、スリランカで考え続けたことは、いずれも正解のないテーマです。教師が回答を持ち得ない問題を学校現場で扱うのは容易ではありません。また、日本の子どもにとっても、遠い途上国で起きている問題をイメージするのはとても困難です。それらの遠く感じる話を自分の足元に引き寄せ、実は地球規模の問題が自分自身の暮らしとつながっていることを知り、自分事として捉えるために、ゲームや疑似体験を通して考えるのが参加型の手法です。様々な参加型教材を広く体験することで、7名の先生方は児童・生徒への学びの効果的な還元方法を検討していきました。

スリランカの事例「で」、子どもに何を伝えるのか

2日目の研修の様子

「哲学」と「ビジョン」を考えました

2日目は2つのグループに分かれ、それぞれが教員としてどのような「哲学」を持っているのかを共有し、それを実現化するための「ビジョン」を考えました。

教師海外研修では、開発途上国の中でも観光では行けないような場所を訪問し、様々な立場の人に会い、いろいろな話を聞きます。しかし、それらの情報をそのまま伝えることが授業ではありません。訪問国「を」伝えるのではなく、子どもたちに訪問国の事例「で」何を考えさせたいのか、が最も重要になってきます。そのためには、参加者である先生方一人一人が、毎日接している目の前の児童・生徒にどんなメッセージを伝えたいと日々考えているのか、子どもの現状と課題、彼らの未来をどうとらえるのか、という理念が必要になる、という富田先生の指導の下、各自が抱く教育ポリシーやビジョンを話し合っていきました。それらを具現化するためにはどのような授業構成が考えられるのか、時間が足りなくなるほど白熱した議論が続きました。

教師海外研修の一番の目的は、参加した先生方の目を通して、地球の未来を担う日本の子どもたちに世界を知ってもらい、グローバルな課題を自分の問題として考えてもらうこと。だからこそ、帰国後の授業実践はこのプログラムのメインともいえます。正解のない問題に真正面から取り組みながら、スリランカを訪問した7名の先生は、どんな授業を展開してくれるでしょうか。