【教師海外研修 授業実践】広島山陽学園 山陽高等学校

2017年12月21日

クイズから知るスリランカという国

梶本 秀樹 先生

広島県の山陽高校で教鞭をとる梶本秀樹先生は、今年の夏、JICAの教師海外研修に参加し、スリランカを訪問しました。現地で見た風景、聞いた話、そして自分自身が体験したエピソードから考えたことを、現代社会の授業の中で生徒に伝えました。

はじめに、国の位置から現地の食文化、また、市販の紅茶飲料のラベルから見る日本とスリランカの経済関係など、生徒はクイズ形式でスリランカの国の概要を学んでいきました。
そして、クイズの内容は、梶本先生自身が現地で体験したエピソードに移っていきます。蟻塚を壊してしまったときの現地の人の反応、世界遺産にも指定されている有数の観光地「シーギリアロック」にあるスズメバチの巣と観光客を怖がらない野生のサルやトカゲの話、現地の子どもへプレゼントした昆虫のおもちゃが喜ばれなかったことなどから見えてきた、スリランカの人々の生き物全体への優しさ、自然との共生感を、現地の宗教事情も絡めて生徒に共有していきました。

「賢者は歴史から学ぶ」−なぜ世界の戦争を振り返るのか—

「戦争が起こる理由」を考える生徒

平和構築と教育のつながりを考える

情報の少ないスリランカという国を、クイズを通して少し身近に感じ始めた頃、梶本先生の質問は急に難しくなりました。「スリランカで内戦が勃発した理由を、これまで学んだ戦争の歴史を振り返って考えよう」という問いに、生徒は、スクリーンに示されたスリランカ内戦の年表を見つめ、授業で学習した内容も思い出しながら、「民族問題」「宗教対立」「独立紛争」といった答えをあげていきました。生徒の回答を受けた梶本先生は、研修中に訪れたかつての激戦地であるスリランカ北部の写真を見せながら、様々な背景が複雑に絡み合い、長期化した内戦について解説していきました。今も銃弾の跡が生々しく残る建物や空爆によって倒された巨大な給水塔…。教科書の中でしか触れることのなかった「どこか遠い国の戦争」が現実的に感じられ、それまで楽しみながら回答を考えていた生徒の笑顔が、一瞬で厳しい表情に変わっていきました。

最後に出された2つの質問はさらに難しく、正解が分からないものでした。「どうしたら戦争がなくなるか」、そして「戦争をなくすために、今の自分になにができるか」というものです。生徒は真剣に、「過去を反省する」「対話することを諦めない」「武器を捨てる」などを挙げ、そのために「人に優しくしたい」「他者を『赦す』という視点を持つ」「学んだ歴史を後世に伝える」といった“自分にできること”を考えていきました。

最後に梶本先生は、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という格言を引き合いに、教育が人間にとっての武器になること、教育によって私たちは過去の負の歴史も学ぶことができること、学びは他者理解につながり、それは思いやりの心を育むだろう、と生徒に語りかけました。
「だから君たちも“学ぶこと”を止めないでほしい」、スリランカでの知見をふまえた梶本先生のメッセージを、41名の生徒は真剣な面持ちで受け止めていました。