【教師海外研修 授業実践】山口県下関市立江浦小学校

2018年11月13日

小学2年生に「世界」を教えるということ

川上 典剛 先生

下関市立江浦小学校で2年生を担任する川上典剛先生は、今年の夏、JICA教師海外研修でスリランカを訪問しました。現地での経験を、海外はおろか、日本についての学習もこれから、という年齢の児童にどう伝えるべきか。帰国してから悩み続けた結果、自身が強く感じた「異文化理解の楽しさと難しさ」、「言葉の壁を克服する工夫とコミュニケーションをはかれる喜び」を児童と分かち合いたいと、全11時間の授業展開を考えられました。
すでに数時間の授業を受けている2年生の教室には、これまでの異文化理解の時間を一目でふり返ることのできる掲示物が所狭しと貼られており、7~8歳の子どもたちが世界に目を向けてきた学びの軌跡が部屋中にあふれていました。その中には、地域のALTであるトルコ出身のエダ先生と交流した第5回目の授業についての掲示もあり、そこからは児童が感じた外国の人と触れる楽しさと、言葉の通じないもどかしさが見て取れました。

外国の人と仲良くなるために

教室にはスリランカの物が飾られていました

「エダ先生ともっと仲良くなるためにはどうしたらよいかな?」。川上先生は1枚のワークシートとともに本時のテーマを問いかけました。次回の授業では、再度エダ先生と交流する予定です。「異文化理解は相互交流であり、一方的に外国の情報を吸収するだけでは不十分である」という、スリランカ派遣前の国内研修で学んだ事柄をふまえ、次回の準備として、エダ先生に「伝えたいこと」「教えてほしいこと」「一緒にやりたいこと」を、具体的に児童に考えてもらいました。その途中、「いろいろ聞きたいけど、英語ができない」という問題に突き当たった児童には、「では、どうやったら伝わるだろう?」とさらに問いかけ、「ジェスチャーで伝える」「カタカナだったら読めるかな?」「ゆっくり、難しくない言葉で話せば通じるんじゃない?」といったアイデアを子どもたちから引き出していました。
実際に外国の方と接する貴重なALTとの時間と、海外研修の授業実践を関連づけた展開の中には、川上先生が悩み続けた「スリランカ『を』教えるのではなく、スリランカ『で』何を児童に伝えるか」という課題への一つの答えが表されていました。異文化を理解する喜びと難しさを体験することで、世界に目を向けていってほしい…。海外に通じる港町に暮らす21人の子どもたちは、そんな川上先生の大きな願いを小さな体いっぱいに受け止めてくれたことでしょう。