日本理解プログラム(地域振興)-佐木島(鷺浦町)の地域振興政策

2018年11月19日

佐木島へ

三原港9時発のフェリーに乗船

 11月11日(日)JICA中国の研修員、21名が広島県三原沖の佐木島を訪問しました。21名の内訳は以下の通りです。

・「学びの改善のための教育政策策定及び分析能力開発」(受入期間2018年10月24日~11月27日)に参加中の研修員13名(アフガニスタン1名、バングラデシュ1名、カンボジア1名、エジプト1名、ケニア1名、ラオス1名、マラウイ1名、ネパール2名、パレスチナ1名、セネガル2名、ザンビア1名)
・「道路維持管理(D)」(受入期間10月26日~12月6日)に参加中の研修員8名(カメルーン1名、コートジボワール1名、コンゴ民主共和国1名、エチオピア1名、ナイジェリア1名、タンザニア1名、ザンビア1名、ジンバブエ1名)

地域振興を学ぶ

鷺港での暖かい出迎え

 佐木島は芸予諸島の島々の1つで、周囲約12キロメートルの離島です。三原港からフェリーで約25分。1990年からは夏に「トライアスロンさぎしま大会」が開催される等、豊かな自然を活かした島の活性化が図られています。当日も「第6回佐木島エコマラソン」の開催日で、島内を走るランナーを見かけました。
今回の訪問の目的は、島しょ地域の地域振興政策の現場の視察、体験や人々との交流を通じて、研修員に日本をより多面的に知ってもらうことです。元三原市地域おこし協力隊員の田中政敬氏のアレンジで、海浜セラピー、鷺浦小学校、さぎしまファーム等、多様な見学先が準備されました。また、島内では土田美千恵様をはじめ、「さぎしまを愛するボランティアガイド」の方々にお世話になりました。

海浜セラピー体験&さぎっこ祭見学

美しい海岸(大野浦)で海浜セラピーを体験

 三原港から約25分で佐木島の鷺港に到着。ご用意いただいた鷺浦小学校のマイクロバスで大野浦に向かいます。大野浦では「海浜セラピー」を体験。膝を高く上げて砂浜を歩いたり、海に向かって大声を出したり、時間の都合で、ほんの一部のみの体験となりましたが、佐木島の海のエネルギーを体に取り入れた一行は、年一回の「さぎっこ祭」が行われている鷺浦小学校に向かいました。
「さぎっこ祭」では、全校児童11名の礼儀正しい態度や、英語の歌「Twinkle,Twinkle,Little Star」を含む、息の合った合唱に「素晴らしい児童たち」との印象を受けたようです。

佐木島ファーム見学

甘くて美味しいスイートルビー

 小学校から約10分のバス移動の後、(株)広島アグリネットファーム 三島佐木島ファームに到着。所長の越智洋三氏から、設立の経緯や施設の概要が説明されました。ここでは佐木島の陽光と風を活かして、ミニトマトをビニルハウス内で溶液栽培していて、この時期は1日に約300㎏を収穫しているとのことでした。採りたてのトマト(スイートルビー)を試食させていただいた研修員は口々に覚えたての日本語で「おいしい!」。
将来的には島の観光資源と農業を融合させて、島外からの観光客を対象とした農業体験施設・宿泊施設の設置も視野に入れているとのお話しもうかがいました。
研修員からは、「流れている音楽はトマトのため?働いている人のため?」「なぜ大きいトマトを作らないのか?」「施設全体の建設費用は?」等の質問が相次ぎました。

サギコミュニティーセンターにて昼食

さぎしま御膳をいただきました

 昼食は「さぎしま御膳」です。今回は研修員の宗教、食文化にもご配慮いただき、海藻や三原名物のタコは使わずに、島で収穫された野菜を中心とした献立となりました。佐木島特産の「ワケギ」を使った「ヌタ」等、慣れない味付けの料理にも、研修員は好奇心いっぱいで挑戦していました。食事の後は厨房を訪問し、料理を作ってくださった地域の方々と交流を深めました。

鷺浦小学校の特色/子供たちとの交流

子どもたちは英語で自己紹介

鷺浦小学校によこそ

How to use KENDAMA

折り紙でボートを作ります

羽根つき初体験

最後に子供たちと記念写真

 昼食の後は再び鷺浦小学校に戻り、校長の新山欣二先生先生から、鷺浦小学校の存続のための取り組みをご紹介いただきました。
佐木島の人口減少に伴い、1995年には40名以上だった児童数は現在11名、うち6名は2002年から開始された「小規模校入学特別認可」(通称「特認校」)として、島内ではなく、海を渡った三原市から通学する児童との事でした。
島外からの児童を集めるために「特色ある教育の充実」「積極的な情報発信」「積極的な募集活動」を3本の柱として取り組み、2019年度4月からの入学予定者も11月の時点で3名いるそうです。
「特色ある教育の充実」としては、島の自然、人材等を活用した体験活動とともに、英語教育に力を入れ、週4日、3名のALT(外国人英語指導助手)と共に過ごすことで、英会話力の育成を目指しているとのこと。また、今回のように外国人の訪問者を受け入れて、ALT以外の外国人と話す機会を提供することも年に数回あるとのことでした。
上述の通り、日頃から英語に親しんでいる子供たちなので、研修員との交流にも積極的です。「けん玉」「福笑い」「羽根つき」「折り紙」「めんこ」を子供たちは英語で研修員に教えます。研修員も童心に帰って楽しみます。子供たちの明るい笑顔に癒された様子でした。

みかん狩り体験

収穫体験後、西原様を囲んで

 最後は鷺浦地区の西原様のみかん畑で、みかん狩り体験です。佐木島はみかんの栽培に適した土地で「さぎしまみかん」は三原市のふるさと納税のお礼の品にも選ばれています。  研修員は皆、自ら収穫したみかんをお腹いっぱいいただきました。そして、それぞれが佐木島の方々の優しさを胸に、お土産のみかんを手に、17時10分の三原港行きフェリーに乗船、帰路につきました。
見送りの方々の手を振る姿、鷺港から聞こえてくる「やっさばやし」。佐木島の皆さま、本当にありがとうございました。

母国での業務のヒント

ありがとうございました!

 今回のプログラムに参加した研修員の母国の状況は各国様々ですが、経済発展に伴う国内での地域間格差の拡大は多くの国が抱える課題となっています。地方から中央へ、農村、漁村から都会への急速な人口の流入が社会問題化するケースも存在します。
 研修員は全員が母国の行政に携わっています。今回の体験が何らかの形で、帰国後の各研修員の業務に活かされることを願っています。