【教師海外研修 授業実践】尾道市立日比崎中学校

2018年12月6日

なんのために、どう働くのか?

中下 杏美 先生

尾道市立日比崎中学校で保健体育を担当する中下杏美先生は、今年の8月、JICA教師海外研修でスリランカを訪問しましたが、研修に応募したときから、海外での知見を道徳の授業で生徒に伝えたい、と考えていました。帰国後の授業実践を見据え、青年海外協力隊員やJICAスリランカ事務所のスタッフなど、現地で出会った日本人全員に海外で働くことについての想いや感想を聞きました。その回答をもとにした道徳の授業を、2018年11月16日(金)、自身が担任する2年1組の生徒36名を対象に行いました。
まずは「将来働きたいか」「どんな会社で働きたいか」という問いを、それぞれ4つの選択肢を用意して生徒へ投げかけました。さらに、14の選択肢がある「働く上で大切にしたいことは?」というワークシートを配り、各自が順位付けしていきました。2学期に職場体験学習を経験し、わずかながらも働くという貴重な機会を得た生徒は、将来の夢を思い浮かべながら、各々の想いをワークシートに記入していきました。

世界で働く日本人から学ぶ

与えられた情報からスリランカでの「働きがい」を考える

その後、生徒は中下先生がスリランカで出会った日本人の写真を見ながら、協力隊員らが回答した「スリランカで働くやりがい」「どんな思いで働いているか?」を推察していきました。そして「スリランカで働く日本人は何のために働いているのだろう?」という問いを与えられた生徒は、各自でその想いを考えていきました。「スリランカがもっと発展するために」「困っている人の手助けをするために」といった現地の人のことを最優先に考えた答えもあれば、「自分が新しいことに挑戦したいから」「日本ではできない経験をするため」といった、現地での活動が自身の成長につながるのでは?と考えた生徒もたくさんいました。
中下先生はこの授業の中で、海外で働く人はすごい、世界に羽ばたくことが素晴らしい、といった肯定的な意見を述べませんでした。もちろん、否定的なコメントもしませんでした。働くということは多様であり、勤労に対する想いや姿勢もまた人それぞれである、そして海外で活動するということを特別視してほしくない…。海外や国際協力に強い関心を持っている中下先生だからこそ、生徒の多様な意見や価値観を尊重する今回のような授業実践となったのでしょう。