【実施報告】2018年度 第2回 国際教育研修会

2019年2月8日

・日 時:2019年1月26日(土)10:00~16:40
・会 場:(公財)ひろしま国際センター 交流ホール(広島県広島市)
・参加者:40名

【当日の内容】
・講義とワークショップ「教育ファシリテーターになろう!」(拓殖大学 国際学部 准教授、国際開発教育センター長 石川 一喜 氏)
・教師海外研修 授業実践報告①「離島の小学校で考える異文化理解」(島根県海士町立福井小学校 池田 優子 先生)
・教師海外研修 授業実践報告②「道徳で扱う「青年海外協力隊」(広島県尾道市立日比崎中学校 中下 杏美 先生)
・2018年度JICA中国 教師海外研修 報告(山口県下関市立江浦小学校 川上 典剛 先生)
・ふり返り(石川 一喜 氏)

「教師」と「ファシリテーター」、何が違う?

石川一喜先生の講義

教員や学生、広く国際教育に関心のある方を対象に行っている本研修会の第2回、今回は「ファシリテーター」をキーワードに、東京の拓殖大学からお越し頂いた石川一喜先生によるワークショップを交えた講義からスタートしました。会場に一歩足を踏み入れたときから、石川先生の参加型の講義は始まっていました。入口におかれた100枚以上のポストカードから1枚、「自分の職場を表している絵」を選び、参加者同士で自己紹介を行いました。初対面の人に自分のことを伝える作業は、場を作り、人間関係を築くために重要な第一歩。その難しさをやわらげるためにカードなどを上手く使う手法を、体験しながら学んでいきました。
また、これからの時代に求められるグローバル人材とは、そのような人材を育成するために何が必要か、といった興味深い問いに対し、様々な研究結果や分かりやすい事例を用いて解説して下さいました。そのような時代の流れをふまえ、従来の「教師」と「ファシリテーター」は何が違うのか、ファシリテーターに必要な要素はどんなことか、をお話し下さいました。
ファシリテーターの大事な役割のひとつに、参加者に安心感を与える、という項目があるそうです。参加者の多くは、石川先生の周囲を飽きさせない軽妙な語り口に安心感を抱き、それぞれが理想とするファシリテーター像を作り上げることができたのではないでしょうか。

スリランカでの学びを日本の子どもたちへ-教師海外研修参加者の報告-

これは何に使うものでしょう?

中下杏美先生の発表

川上典剛先生の報告

 午後は、JICA中国の教師海外研修に参加された先生による授業実践報告です。
 島根県海士町立福井小学校の池田優子先生は、所属校の全校児童53名を対象に行った「カルチャーボックスースリランカ編-」を模擬授業形式で発表してくれました。数種類の封筒の中に、スリランカで使われる物の写真や現物が入っており、現地でどのように使われているかを考えていきました。お金のように分かりやすいものから、何に使われるのか全く想像のできない金属製の小物まで、内容物は様々。現地の生活を想像する時間はとても楽しく、次々に回ってくる封筒を開けるたびにワクワク感が増していきました。
 「離島という狭い社会に暮らす子どもたちにも、世界に目を向けてほしい。そして、自分たちの故郷の素晴らしさも再発見してほしい」、そんな池田先生の想いのつまった授業内容を、参加者は小学生に戻った気分で体験していきました。
 
 広島県尾道市立日比崎中学校の中下杏美先生は、道徳の中で「働くということ」を考える授業を行いました。スリランカには、青年海外協力隊員として活動するボランティアや、国際協力NGOのスタッフとして駐在する方、JICAスリランカ事務所で働くスタッフなど、年齢も経験も多様な日本人が様々な使命感や想いを持って暮らしています。彼らへのインタビューをもとにした教材を通して、何のために働くのか、自分にとって最も優先される仕事の条件とは、を考えていきました。参加者の多くは社会人でしたが、現在の仕事環境を思い浮かべたり、自身の労働への考えを見つめ直したり、改めて働くということの意味ややりがいを考える時間となりました。

 最後に、山口県下関市立江浦小学校の川上典剛先生から、教師海外研修の全体報告をして頂きました。現地で見聞きしたことや感じたこと、特に印象に残った出来事、国内研修の内容などをお話下さいました。中でも「参加者全員が頭を悩ませたこと」として発表してくれたのは「スリランカ『を』教えるのではなく、スリランカ『で』何を伝えるか」という、帰国後研修での講師からの一言でした。教員である自分が、現地で最も強く感じたこと、子どもたちに伝えたいことを整理し、どう授業を作っていったのかを、悩んだプロセスも含めて分かりやすく発表してくださいました。

当日の広島市は雪が降り続く天気でしたが、興味深い発表が続き、あっという間の1日でした。参加者からは「今回初めて参加したが、話しやすく、活動にも参加しやすい雰囲気で楽しかった」「参加型で、児童や生徒の目線で受講できたのが良かった」「ファシリテーターの概念と、授業報告という具体例をつなぐことが出来てよかった」といった感想がありました。
JICA中国では、学校や地域で実践につなげることのできる、楽しく興味深い研修会をこれからも実施していきます。どうぞご期待ください!